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今回の旅で最も長く辛い、薬師岳を目指す三日目
室堂を起点とした立山連峰縦走の旅も今日で三日目。
本日はいよいよ名峰・薬師岳に登頂する事になる。
今回の旅は四日間にわたるが、初日はアルペンルートを使う関係で登山は無く、最終日は基本下るだけなのでさほど辛くは無い。
なので二日目と三日目が本番な訳だが、特に今回の三日目が厳しい。
コースタイム(山と高原地図に拠る)で実に10時間を越える上に、コース上にはアップダウンが多い。
岩稜地帯のような難所こそ無いが、間違い無く大変な一日となるだろう。
おまけに途中に有る唯一の山小屋「スゴ乗越小屋」は既に今年度の営業を終えている。
物資の補給もままならないため、その辺の準備も抜かりなく行う必要が有る。
気合いを入れて出発だ!
超ロングコースを考慮し、朝4時に五色ヶ原山荘を出発


縦走職人の朝は早い。
現在午前四時。 既に私は朝食と出発準備を終え、五色ヶ原山荘を後にしていた。
と言うのも、本日歩く予定のコースは標準コースタイムで実に10時間を越える超ロングコースである。
通常通りの時刻に出発していたら到着は16時頃になってしまう。
これでは不測の事態に遭遇した際に次の小屋(薬師岳山荘)への到着が日没後になるかもしれない。
また、最大の目的である薬師岳に到着した頃にはガスが掛かっていて展望が楽しめない恐れもある。
(通常、山岳地帯では正午頃からガスが湧いてきて展望が失われる事が多い。)
そこで、朝食を弁当に変更し、三時に起床して朝食をとり、四時には五色ヶ原山荘を出発するというプランにした。
通常よりも二時間の前倒しである。 これなら時間にも余裕があるという訳だ。
丁度昼食時にスゴ乗越小屋を通過するのだが、残念ながら既に今年の営業を終えている。
なので、朝食用弁当と一緒に昼食分も作って貰った。
嬉しい事におかずの内容を少し変えてくれたとのこと。 ありがとうございます!
昨日出会った台湾人のおじさんは既に出発済みだが、この後追いつき、その後ずっと行動を共にする事になる。
お世話になった五色ヶ原山荘を後にして、一路薬師岳へ向かって出発!
秋の午前四時。 周囲は完全に闇であり、ヘッドライトの光を頼りに歩く。
足下の岩には霜が降りていて滑りやすく、道が急角度で曲がっている箇所も多いので注意だ!
山小屋の朝は早く、一般的には四時起床、五時から朝食となる小屋が多い。
午前六時にはほとんどの宿泊者が出発し終わっているのが基本だ。
長距離を歩く人は更に早く、夜明け前から出立することも珍しくない。




出発して1時間40分程、場所は「越中沢岳(えっちゅうさわたけ・2591.4m)」付近で御来光を迎えた。
この辺は非常に展望が良く、立山三山・薬師岳・水晶岳など、周囲の山々がよく見える。
目指す薬師岳はまだはるか彼方。 長い旅になりそうだ。
なお、この付近にある標柱には「近くて遠いはスゴの小屋。アップダウンが続くよ!」と書かれている。
その通り、冗談抜きでアップダウンがキツく、そしてスゴ乗越小屋は遠かった・・・


目の前に巨大な岩の塊が出現!
北アルプスの烏帽子岳の様にも見えるし、大崩山の湧塚の様にも見える。
コースはあの岩を巻いて通っているようで、あの頂に立つことは出来ない様だ。
この付近はアップダウンを別にすれば難所というような所は無く、精々斜面にトラロープが貼ってある程度だ。
油断は禁物だが、素早く確実に通過する。


越中沢岳を通過して30分程度経った頃、小休止ついでに周囲を見渡してみる。
こうして見ると、前も後ろも大きなアップダウンだらけである。
このコースが純粋な距離以上に厳しい理由は、まさにこのアップダウンのきつさに有る訳だ。


うーむ、何度も書いているがアップダウンが多い。
せっかく苦労して登っても直ぐに下り、そしてまた登り返す・・・
この辛さというか虚しさ、これは実際に歩いた者にしか分からないだろう。
体力的はもちろん、精神的にも辛いのである。


看板が朽ち果てており、もはや何が書かれてあったのかは不明だが、とにかく何かの小ピークに到着した。
後ろを振り返ると越中沢岳の姿が見えるが、改めて勾配が凄いと感じる。
地図にもわざわざ「急坂」と書かれているし、逆向きに歩いても辛いことだろう。


前方には雄大な薬師岳の姿が見えるが、その遥か手前、右手の方に注目して欲しい。
そこにポツンと見える赤い屋根こそが「スゴ乗越小屋」である。
こうして見ると直ぐ近くのように感じるが、実際はあそこに到着するのはまだ70分も後の事であった。
「お、近いじゃん!」と思える山頂や山小屋って、大抵の場合直ぐに着かないのよね。


本日はスゴ乗越小屋で大休止を取る予定なので、まずはそこへ向かって前進再開だ!
程なくして「スゴ乗越」へ到着。
特徴的な名称ということもあり、色々な意味で本日の目玉となる場所だ。
「乗越(のっこし)」とは山と山を繋ぐ尾根(稜線)において、登りと下りが転じる場所を指す。
日本語では「峠」や「鞍部(あんぶ)」、英語では「コル」や「パス」とも言う。
「スゴ」という名称に関してだが、「太郎平小屋50年誌 別冊」によると、かつてこの付近で行われていた狩猟に由来するとの情報が有った。 興味がある人は是非調べてみよう!


スゴ乗越を通過すると、地形はやや緩やかになった様に感じる。
やはり越中沢岳付近がこのルートにおける核心部だろう。
そろそろ疲れも溜まってくる頃だが、相変わらず天気も展望も最高である。
大自然の息吹に励まされ、薬師岳を目指すオッサンの足取りは軽い。


振り返ると越中沢岳があんな遠くに・・・
厳しいアップダウンに苦しめられたが、いざ遠く離れていくと寂しさも感じる。
今度は逆方向から歩いてみたいが、こっちはこっちで辛いんだろうなぁ。


スゴ乗越を通過して30分弱ほど進むと、ちょっとした崩壊地が出現。
おそらく土砂崩れでもあったのだろうか、斜面の草地がゴッソリ流出している。
傾斜角はさほど大きくなく、ロープも有るのでさほど難易度は高くない。
ただ、途中で道が大きく進行方向を変えるので、そこだけは見落とさないように注意しよう。
目印代わりの木の板が設置してあるので要チェックだ!
遠いようでホントに遠かったスゴ乗越小屋


スゴ乗越を越えて30分程進むと、平坦で開かれた場所に到着。
そう、ここはスゴ乗越小屋が管理するキャンプ指定地である。
小屋からはほど近くて地面はフラットで見晴も良好。 地形としては悪くないと思う。




キャンプ指定地から一分ほどで「スゴ乗越小屋」に到着。
この小屋は「ロッジ太郎」グループが経営する小屋の一つで、五色ヶ原~薬師岳間の中継地点として好適な位置に有る。
展望が良くてテント場も有るので、このロングコースを歩く際に活用しよう。
出発してから約四時間半。 そろそろ疲れも溜まってお腹も空く頃合いである。
小屋の裏手に有るお立ち台(?)をお借りして、ここで昼食を兼ねて大休止を取った。
ロッジ太郎が運営する山小屋には「スゴ乗越小屋」「太郎平小屋」「薬師沢小屋」「高天原山荘」の四つがある。


前述の様に前日までで年内の営業を終えており、この日は丁度小屋締め作業の真っ最中だった。
窓を全て塞ぎ、看板などを小屋内に仕舞い、さらにはヘリを使っての荷下ろし・・・
山小屋の運営はさぞかし大変なことだろう。 お疲れ様です。

スゴ乗越から薬師岳を目指し、ひたすら登り続ける後半戦


先ほど説明した通り、「乗越」とは稜線の登りと下りが切り替わる場所だ。
五色ヶ原山荘からは概ね下りが中心だったが(きつい登り返しも多かったが・・・)、ここから先は薬師岳に向けて登りが中心となる。
スゴ乗越~薬師岳間のコースタイムを見ても一時間以上の差が有り、どれだけ上り勾配が辛いかがよく分かる。
幸いにも天気は最高、そして展望もまた最高である。 最高の環境に恵まれたオッサンの足取りは軽い。


進行方向向かって左手に見える沢は黒部川である。
この辺では既にダム湖である黒部湖は姿を消しており、黒部川の源流域もここからそう遠くない場所に有る。
黒部ダムから見て上流側を「上ノ廊下(かみのろうか)」、下流側を「下ノ廊下(しものろうか)」と呼んでいるらしい。
上ノ廊下は渓流釣りや沢登り愛好家にとって憧れの場所らしいよ!


縦走路から上ノ廊下を挟んだ反対側、丁度標高が同程度くらいの場所に、なにやら平坦な場所が有り、池塘らしき物も見える。
まるで大自然の中にぽっかりと現れた桃源郷の様な場所に見えるが、あれは何だろうか?
気になって調べたところ、あそこは「薬師見平」と呼ばれる場所で、池塘の様な物は「薬師見の池」らしい。
赤牛岳から北西に延びる尾根上に有る高層湿原で、太古の昔に出来た溶岩台地とのことだ。
かつては高天原付近から薬師見平へ至る登山道が有ったらしいが、現在では完全に廃道となっており、その痕跡すら不明との事。
現在でもあそこを訪れる猛者は居るようだが、いずれのルートも沢登りや藪漕ぎなどが要求される高難易度のバリエーションルートであり、現実的に日帰りも難しく、幕営を前提とした完全に熟達者向けのルートである模様。
興味は有るが・・・私にとっては近寄ってはいけない場所なのは明白だ。
登山道が整備されて欲しい気もするが、無理に開発されること無く、ひっそりと自然の中に佇むままにすべきだという気持ちも有る。
遠くから眺めるだけの、手の届かない自然。 そんな場所が有っても良いじゃ無いか!


ふと後ろを振り返ると、一昨日泊まった室堂はもちろん、五色ヶ原やスゴ乗越すら、もうはるか彼方である。
快晴の青い空、程良く色づいた紅葉。 大自然の美しさにオッサンの心も晴れやかである。


前述の様に薬師岳へ向けては基本的にひたすら登る。
登るのだが、ビックリするような急勾配は無いのでさほど苦しさは難じない。
むしろ前半部の越中沢岳付近の方が遥かに辛かった。 この辺は穏やかだね。


この辺には池塘が点在しており、長旅で疲れたオッサンの心を癒やしてくれる。
仮に沸かしたとしても、さすがに飲料としては使えないだろう。地図に水場とも書かれていないしね。
このコースはとても長いので、飲料水は必ず多めに準備しておこう。
地図を見る限り、今回のルートには水場は存在しない。
必ず小屋で給水しておこう。 営業期間の確認もしっかりと!


ハイマツと砂礫にザレ場・・・ もうこれぞ北アルプスって感じの縦走路だ。
勾配もそれなりに有ると思うのだが、本当に気持ちの良い道なので辛さも特に感じなかった。


ふと気が付いたら「間山(まやま・2585.4m)」に到着。
平坦な場所なのであまり山頂って感じはしないが、約2600mも有る堂々たる高峰である。


薬師岳は巨大だし、付近の山とも隣接しているので、いったいどこからが薬師岳なのかは分からない。
ただ、目の前に見える塊あたりから薬師岳が始まっているような気がする。
目的地は近い! 気を引き締めて突撃だ!


右手後方を振り返ると、室堂から麓に向かって、非常に穏やかな傾斜を持つ大地が続いている。
地図を見ても等高線の間隔が非常に大きく、いかに緩やかな傾斜であるかがよく分かる。
あそこには富山県側のアルペンルートが有り、「立山高原バス」が走っている場所だ。
道路を通すにはここしかない、そんな場所ですな。
ところで、この付近を歩いているとき、我々は見てはいけない物を見てしまった。
そう、それは大層立派な「ウ○コ」を。
しかも登山道のど真ん中に、これ見よがしにデカデカと!
あまりの衝撃に、しばらく言葉を失って立ち尽くしてしまった程だ。
で、私はまさか人間がこんな登山道のど真ん中で堂々と「犯行」に及ぶはずは無いと思った。
となると、このサイズからして、これは熊の物だと断定。
「この付近には熊が居る・・・!」この事実に私は戦慄した!
こ、これって熊のウ○コじゃないの!? 怖い!!
いやいや、人間のウ○コでしょ。 だいじょ~ぶだ!
うろたえる私を余所に、台湾の彼は実に落ち着いている。
彼曰く「これは人間のウ○コだから何も心配する事は無い。」との事。
これが本当に人間の物だった場合、それはそれで別の意味で大問題な気がするが・・・
まあ先は長いし、よく考えたらそこまで熱心に議論する物でも無いので、我々はその場を後にした。
よく考えたら、ウ○コの有る無しに関わらず、日本アルプス全域に熊って生息しているよね・・・
上高地や室堂にすら出没する訳だから、何時何処で熊と遭遇してもおかしくないわけだ。
笑い話の様だが、これが仮に人間の物だった場合、ある意味より事態は深刻である。
というのも、人糞には自然界に存在しない菌(大腸菌とか)などが含まれているらしい。
こういった場所で排泄してしまうと、雷鳥などの野生動物がそれらの菌に感染するリスクが有るとの事だ。
そもそも登山道のど真ん中でする事自体が非常識極まりない事なので、心当たりが有る人は猛省して欲しい。
なお、私は登山に行く際には必ず携帯トイレを持参している。
もっとも、排泄のタイミングをコントロールして必ず山小屋で済ませる様にしているので、幸いにもそれのお世話になったことは今の所無い。
薬師岳への最後の登り




思わぬ伏兵に翻弄された(?)我々だったが、気を取り直して前進再開。
目指す薬師岳はもう目の前である。
この辺は二重稜線の様な地形になっており、谷間を登っているかのような雰囲気となっている。
向かって左側だけガレているのはどういう理由なのだろうか?


結構な斜面を登り切ると、ついに眼前に薬師岳の勇姿が出現!
う、美しい・・・! そしてやはりデカイ。 なんて神秘的な山なんだ。


この辺には大小様々な岩が転がるガレ場が有る。
中岳(北ア)や悪沢岳に有るガレ場に雰囲気が似ている気がするな。
ペンキのマークを辿りつつ、浮石に注意して速やかに通過だ!


西側を見下ろすと大きな湖が有るが、あれが「有峰湖」ですな。
明日は折立登山口からバスに乗って帰宅するわけだが、富山方面へ至る道路は有峰湖の湖畔を通過するはずだ。


左手(南側)に見えるのは、赤牛岳から水晶岳へ至る稜線である。
そのさらに向こう側に見えるのが裏銀座コースの有る稜線で、遠方には槍ヶ岳の姿も確認。
遠方からでも一目でそれと分かる槍ヶ岳はやはり美しい。


上ノ廊下を挟んで反対側に延びる尾根が「読売新道」で、それを登った先にあるのが「赤牛岳(あかうしだけ・2864.4m)」だ。
北アルプス屈指の奥深く、そして通好みなエリアだと聞いているが、一度は行ってみたい場所である。
行くとなると水晶小屋と奥黒部ヒュッテに泊まるプランとなるだろうが、歯応えがありそうなコースだ。
この辺から下って上ノ廊下を徒渉し、そこから登り返して薬師見平へ行ったというレポートを読んだことがあるが、まずここを下るだけでも相当大変そうだ・・・
対岸も切り立っているし、素人が踏み込んだら無事じゃ済まないな。
読売新道とは、読売新聞社が記念事業として開拓した登山道で、1966年に開通したとの事。
各地には「○○新道」という登山道が点在し、大抵は開拓に尽力した人物名が付けられる。
(例)喜作新道、柏原新道、重太郎新道など。


おお、あれが薬師岳か! ・・・と思いきや、あれは「北薬師岳」だ。
名前の通り、薬師岳の北隣に有る山である。


まずは「北薬師岳(2900m)」に到着。
2900mも有る堂々たる高峰だが、隣に主役の薬師岳が有る為、どうにも地味な存在だ。
もの凄く質素な朽ち果てた標柱が、なんとも寂しい感じがする。




北薬師岳を通過し、いよいよ残るは薬師岳のみ。
ここからが意外と遠く、コースタイムでも40分も有る。 慌てずゆっくりと行こう。
ご覧のように薬師岳の南側には巨大なカール(圏谷)が複数存在する。
手前から順に「金作谷カール」「中央カール」「南陵カール」と名付けられている。
「カール(圏谷)」とは、氷河活動によって削り取られた窪地の事を意味する。
中央アルプスの「千畳敷カール」や北アルプスの「涸沢カール」などが有名だ。
「虚構推理」というアニメの第二シーズンで雪女のエピソードが有るのだが、その舞台となった雪山が薬師岳に似ている気がする。
この辺の稜線の地形や雰囲気とか、見た瞬間に薬師岳か!?と思った。
なかなか面白い作品だったので、興味があれば見てください。


北薬師岳から先は一気に高度を下げ、ガレた痩せ尾根を通過する。
少し大キレットっぽい雰囲気の場所だが、あそこほどの難所は無い。
もちろん油断は禁物、慎重に通過する。
カールの底に溜まった岩がなんとも面白い形をしており、大変興味深い。
斜面は安定角に達しているのだろうが、何らかの拍子に少しずつ崩れているはずで、その内山自体が無くなってしまわないのかと思ってしまう。
現在でも隆起が続いている南アルプスならともかく、火山活動で出来た北アルプスは今後土や岩の供給が無い訳で、崩れた分はやっぱり標高が下がったりするのだろうか?




おお! これはまた、なんとも北アルプスらしい岩稜地帯ではありませんか!
やっぱり北アルプスに来たら岩稜地帯を歩かないとね。
遠くからは割と穏やかそうに見える薬師岳だが、近くで見ると結構荒々しい。
だが、実際に歩いてみるとそこまで難所という程でも無い。 このギャップに次ぐギャップがまた楽しい。
立山連峰の名峰「薬師岳」


ついに「薬師岳(2926m)」に到着!
長いようで本当に長かった。 お疲れ様でした。
頂上には祠が有り、中には金色の仏像が納められていた。
山岳信仰の山だからね。 私も一つ拝んでおこう。




薬師岳の標高は2926m。 ほぼ3000mですな。
出発地点の室堂とは500m程の標高差だが、その間に数え切れない程のアップダウンが有り、累積標高差ははるかに大きくなる。
この辺が登山の大変な所であり、同時に面白いところでもある。


3000m近い高峰だけあって、薬師岳からの展望は実に素晴らしい。
360度どこを見渡しても素晴らしい展望だ。
眼下には上ノ廊下が見えるが、周辺の険しい地形は安易に立ち寄ることを拒んでいるかのようだ。
あれを辿っていくと観光客で賑わう黒部ダムに至るというのがにわかには信じられない。


南の方を見ると槍ヶ岳から穂高連峰に至る3000mの稜線が見える。
やはり槍ヶ岳は北アルプス随一のランドマークだと再認識させられますな。
なお、薬師岳の頂上付近から南の方へ伸びる尾根は「東南稜」と呼ばれる物だ。
昭和38年に、吹雪の中で道を誤ったパーティーがあそこへ迷い込むという大量遭難事故が起きた場所でもある。
薬師岳頂上を後にして、本日のお宿・薬師岳山荘へ


薬師岳の頂上で展望を楽しんでいると、西の方からモクモクとガスが登ってきた。
これは山岳地帯では良く有る光景で、気温の上昇と共に海風に流されてきた大気中の水分が稜線付近で冷やされ、今度は雲や霧に姿を変えた物である。
大体正午頃からガスがかかり始めるので、展望を楽しみたいなら可能な限り早く登る必要が有る。
これは登山における鉄則の一つだ。
もちろん一日中ガスがかからずに展望を楽しめる日も有るし、逆に早朝からガスに包まれる日も有る。
運試しの要素も多いので難しい。
ともあれ、薬師岳からの大展望を楽しむために早立ちするという狙いはバッチリだったようだ。
本当にギリギリだったね。
本日の最終目的地である薬師岳山草を目指し、ザレた斜面を慎重に下る。




薬師岳の頂上から下ること約20分。 ついに「薬師岳山草」に到着!
五色ヶ原山荘を出発して約8時間30分での到着となった。
コースタイムが約10時間だったので、まあまあ良いペースで歩けたという事かな。
2010年に建て替えられた薬師岳山荘はとても美しく、女将さんも気さくな人で良い雰囲気の小屋でした。
薬師岳に登頂するなら是非利用して欲しい小屋である。


薬師岳山荘は尾根上に建つ小屋なので、水の確保は大変そうだ。
と思って調べたところ、付近の沢からくみ上げているらしい。
これならある程度は安定して水の確保が出来ているかもしれない。
水の確保を天水に頼っている小屋は結構多い。
雨が降るとお客が減るが、雨が降らないと水が確保できないという、山小屋特有のジレンマが有る訳ですな。


小屋に入って直ぐ左手が売店を兼ねた受付になっている。
定番の登山バッヂをはじめとした商品も有るので、登頂記念に是非ゲットしておこう。


入り口から見て右奥が談話室、左が食堂、二階への階段は正面に有る。
館内にはdocomoのアンテナが設置してあった。
山岳地帯で電波状況が良いのは圧倒的にdocomo、これはもはや常識である。
山岳地帯での電波状況を主要キャリアで比較すると、大体こんな感じになる。
docomo > au >>> SoftBank・その他


客室は二階に有り、基本は大部屋で、数は少ないが個室も有る。
大部屋は現在は簡易パーティションで区切られており、昔よりもゆったりと寝られるようになった。


アップダウンの激しい超ロングコースを踏破したので、とにかくお腹が空いた。
この小屋はスイーツが充実しているとの情報を得ていたので、食堂でフルーツポンチを注文。
美味い、実に美味い。 疲れたおっさんの五臓六腑にしみわたる・・・
ついでに注文したのはC.C.Lemon。
これまで多くの山小屋を訪れたが、ポカリスエットとC.C.Lemonはほぼ間違い無く置いてあるね。
そしてお待ちかねの夕食である。
アジフライ、オムレツ、パスタ、肉じゃが、水餃子・・・
かなりのボリュームで味も良し。 薬師岳山荘の夕食は最高でした。
オムレツにケチャップで「やくし」と書いてあるのが可愛らしいですな。
立山連峰大縦走・3日目を振り返って
コースタイムで10時間にも及ぶ超ロングコースだった三日目。
三時起床で早立ちした事もあり、ガスが掛かる前に薬師岳への登頂を果たし、午後の早い時間に小屋まで到着できるという、ほぼ完璧な内容で終えることが出来た。
入念にプランを練り、体力作りにも励んできた甲斐が有ったという物だ。
私の登山はいつもは大抵一人旅となるのだが、今回は台湾のおじさんと一緒に歩けたのも良い経験だった。
連れが居る登山というのも、いつもとは違った面白さが有って良い物ですな。
途中で巨大なウ○コ(持ち主不明)と遭遇するという事件(?)も有ったが、何時の日かこれも良い思い出になるのかもしれない。 ・・・いや、なるのか?
残すところあと1日。
最終日の明日は折立登山口へ下るだけだが、油断せず旅を締めくくりたいところだ。





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