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「アドバンスド大戦略」・・・戦略シミュレーションゲームが好きな人ならば、名前くらいは聞いたことが有るだろう。
記念すべき第一作目が、セガからメガドライブで1991年6月17日に発売された「アドバンスド大戦略-ドイツ電撃作戦-」である。
元々メガドライブには「スーパー大戦略」という名作が有り、当時存在した大戦略シリーズの中でも群を抜いて高いクオリティーを誇っていた。
このアドバンスド大戦略においてはMD版スーパー大戦略を下地に、以下のような要素が追加された。
- キャンペーンモードの採用
- 索敵モードの採用
- 同盟システムの採用
- ユニットの進化、改良の採用
- セーブデータを複数作れる様になった(3箇所)
- マップエディットの採用
- 天候の採用
- 艦艇ユニット以外も「補充」が可能になった
特に索敵・同盟・補充・マップエディット・複数セーブなどの要素は魅力的で、これらの要素をスーパー大戦略に逆移植してリメイクして欲しいと思ったものだ。
MD版スーパー大戦略では、ユニットの数を回復させるためには「合流」するしかなかった。
例外的に艦艇ユニットのみ、港で補給することで「補充」が行えた。
お蔵入りになったメガCD版「スーパー大戦略3」が発売されていたら、おそらく上記の様な要素が盛り込まれていたであろう事を思うと、つくづく残念である・・・!
このメガドラ版「アドバンスド大戦略」を皮切りに、主にWindowsにてシリーズは展開していくことになる。
情報によると90年代末にはシリーズ累計で100万本を売り上げたとのこと。
その後、2006年に発売された「アドバンスド大戦略5」を最後に関連タイトルの発売は終了しており、それ以降はすっかり御無沙汰状態となっている。
発売から時間が経過していることも有り、現在では特にPC版の価格が高騰して入手が困難になっている。
さらに最新OS上での起動が出来ないという問題も加わって、戦略SLGに名を刻む名作で有りながら、プレイするのが非常に困難になっているのが悔やまれる。
私は初代から全タイトルを所持している生粋のファンなので、当コーナーでシリーズ作品の魅力を語ってみようと思う。
もし魅力を感じたなら、機会があれば是非一度プレイして欲しい。
Windows10や11等の新しいOS上でプレイする方法は一応存在する。
詳細は後述しているので参考にして欲しい。
アドバンスド大戦略シリーズ各タイトルの概要

「アドバンスド大戦略シリーズを紹介する」と言っておきながら、いきなり別のゲームを紹介している訳だが、こちらはメガドライブ版「スーパー大戦略」である。
同じセガからメガドラで発売されたゲームであり、メガドラ版「アドバンスド大戦略」にとっては先輩・先祖とも言える重要タイトルだ。
メガドラの比較的初期の頃に発売されたタイトルだが、名作過ぎて軽く1000時間以上は遊んだと思う。
元々PC作品からの移植ではあるが、移植に当たってセガオリジナルのアレンジが色々施されており、この当時の大戦略シリーズの中でも屈指の完成度を誇っていた。
このゲームの下地があったからこそ「アドバンスド大戦略」があれほどの名作になったと言えるのでは無いだろうか。
「なんで3本も持っているんだ?」と疑問に思うかも知れない。
実は3本どころか10本近く持っているのだ・・・!
MD版「スーパー大戦略」には細かいバージョンが存在し、それによってゲームシステムが細かく異なっていたり、BGMの再生方法が違っていたりする。
買ってプレイしてみるまでどのバージョンかが分からないため、マニアはこうして複数購入している訳だ!
メガドラ版「スーパー大戦略」に関しては、改めて専用コーナーを作って紹介しようと思う!

ズラリと並んだアドバンスド大戦略シリーズ作品。(一部派生タイトルを除く。)
この他にも一部のPC版にはパワーアップキットや、それを内包した「完全版」が存在する。
これら全て合わせて何千時間くらいプレイしたのだろうか・・・
どれも個性的で熱中したものだ。
では、これら各タイトルの特徴を説明していこう。
なお、PC版にはお馴染みの「パワーアップキット」が発売されたタイトルが存在する。
本コーナーではパワーアップキット込みでレビューしているので注意して欲しい。
【MD】メガドライブ版「アドバンスド大戦略 -ドイツ電撃作戦-」

記念すべきシリーズ第一作目である「アドバンスド大戦略 -ドイツ電撃作戦-」。
メガドライブのROMカセットとして1991年6月17日に発売された。
セガとしての大戦略一作目(?)である「スーパー大戦略」共々、これだけのためにメガドライブを購入してもおつりが来るほどの超名作だった。
前述の様に、キャンペーンモード、索敵、同盟、進化・改良、そして待望のマップエディットや複数のセーブスロットなど、前作「スーパー大戦略」から大幅に進化を遂げているのが特徴で、第一作目にしてゲームの基本システムはほとんど完成していたと言える。
もちろん、その後発売されたシリーズ作品においても優れたシステムは色々導入されるのだが、基本的な部分は概ね初代である本作の物を踏襲している事から、本作がいかに高い完成度を持っていたかが分かるだろう。
500種類を越えるとんでもない量の収録ユニット数や、史実を元にしたマップの数々など、とても家庭用ゲーム機向けのタイトルとは思えないボリュームでSLGファンの度肝を抜いた。
個人的に高く評価しているのが戦闘シーンである。
書き込まれたグラフィックにより迫力があるのはもちろんだが、ゲームプレイを阻害しないテンポの良い演出であり、かつ彼我の戦果(被害)が分かりやすいという点でも優れていた。
演出とはこうあるべきだという素晴らしいお手本と言える内容だった。
また、忘れてはならないのがゲームを盛り上げるBGMで、「スーパー大戦略」同様にテンポの良い名曲が揃っており、特にイタリアとソ連のテーマ曲は個性的で記憶に残っている人も多いだろう。
なんと、実はメガドライブ版「スーパー大戦略」や「アドバンスド大戦略」のサントラCDが存在する!
是非入手して余韻に浸っておこう!
一方、システム面での課題も色々存在した。
先ずは敵の思考時間が長すぎるという点。
特に中盤以降は多くの陣営が大量のユニットを配備しているため、とにかく時間が掛かる。
敵のターンを待っている間に食事を済ませて戻ってきても、まだ終わっていない位に長かった。
もっとも、これはゲームのボリュームはもとより、当時のゲームのスペックを考慮すると仕方が無い。
同時代の他のSLGも同様に長く待たされたので、本作個別の問題点とは言えないだろう。
この他、一部の年代における特定戦域のマップが収録されていない等も有るが、これは8Mbit(たぶん)という容量を考慮すれば仕方が無いだろう。
メガドラもその後は16~24Mbit程のゲームが出現したので、本作がその頃発売されていたらと思う事も有るが、ボリュームに関してはWindowsでの続編が解決してくれる訳だ。
キャンペーンモードの後半シナリオになると、米英軍による上陸作戦シナリオが多数登場するのだが(ノルマンディー上陸作戦など)、これらマップにおける敵拠点の扱いも課題が残った。
敵戦力は海路と空路で侵攻してくるわけだが、ゲームの進行に不可欠な生産拠点を確保するため、実在しない謎の海上都市群がマップ内に存在するなど、不自然さが目立つ場面もあった。
この点に関してはPC版において改善されることになる。
輸送艦や輸送機は最初からユニットを搭載した状態で配置できるようになった他、視認できないマップ外の拠点から出撃出来る様にもなった。
駆逐戦車が移動後に攻撃できない点や、爆撃機の爆弾(Bバクダン)が地形攻撃専用で汎用性が無い等、今思えば試行錯誤の面影が有るシステム面の問題も色々有った。
(この辺のシステムは後の作品で色々改良が図られていくことになる。)
上記の様な気になる点は有ったものの、総評としては文句なしの名作であり、間違い無くゲームの歴史に名を刻む作品と言えるだろう。
シリーズの出発点でありながらこの完成度、素晴らしい作品だった。
大戦略は元々パソコンゲームとして始まったシリーズでだが、当時の家庭用ゲーム機は容量の面でPCゲームに対して大きなハンデを抱えていた。(CD-ROMを除く)
本作は家庭用ゲーム機向けのタイトルとは思えない程、下手なPCゲームよりも遥かにボリュームの有る内容だった。
まだまだ改善の余地が有る箇所も存在したが、一作目にして既に大まかな基幹システムが完成されていたという点は驚愕に値するだろう。 文句なしに名作である。
なお、本作はその後PS2にて「セガエイジス2500シリーズ」としてリメイク版が発売されるが、戦闘シーンがガラリと変更された上に、致命的なバグも存在するなど、少々問題を抱えた内容である。
一応現在でも入手は可能だが、ゲームディスクがバグの修正版かどうかは運次第である。
コレクターならば買っておくのもアリ?
【SS】セガサターン版「ワールドアドバンスド大戦略 -鋼鉄の旋風-」

初代「アドバンスド大戦略」から約4年後の1995年9月22日に発売されたのが「ワールドアドバンスド大戦略 -鋼鉄の旋風-」だ。
ハードもセガサターンとなり、シリーズでは初のCD-ROMとなった。
(と言うより、初代のみが唯一のROMカセットと言うべきか。)
ハードの性能が大幅に向上したことにより、前作の最大の問題であった「思考時間の長さ」が大幅に解消された点は嬉しい。
今思えば、あの待ち時間の長さは、当時でしか味わえない、ある意味で貴重な体験だったのかもしれない。
開発後記を読むとゲームの方向性に関してはかなり議論が有ったようだが、「ワールド」の名前が示すように複数のキャンペーンモードを搭載することと、プレイに際しての敷居を低くすることに重点が置かれたようだ。
また、今作においてはシリーズの他作品では見られない独自のシステムが採用されている点も特徴だ。
- キャンペーンモードはドイツ・日本・アメリカの3種類から選べる。
- 戦闘シーンは3DCGを用いたリアルタイムアニメーションに変更された。
- マップの途中で援軍という形で増援部隊が登場する。
- 歩兵や牽引ユニットはそれ自体が輸送ユニットに変形する。
- 地形「首都」が「司令部ユニット」に置き換えられた。
- 航空ユニットの移動力は航続距離を元に数値化される。
- 工作部隊が補給車に統合された。
- 海軍ユニットに個別艦名を持つユニットが追加された。
等々、良くも悪くも本作独自のシステムが多数採用されている。
以下で詳細を見てみよう。
キャンペーンモードの最大の特徴はドイツに加えて日本やアメリカのシナリオも用意されている点で、関連する太平洋戦域のマップや兵器類が収録されている。
シリーズでお馴染みの「ifシナリオ」も健在で、アメリカ本土上陸作戦や、インド方面での日独激突シナリオなど、架空戦記ファンにはたまらないマップが有るのも熱いところだ。
太平洋戦域マップが収録されたことに応えて、前作では「クチクカン」「バトルクルーザー」のように汎用ユニットだった艦艇ユニットも大きく様変わりし、「大和」や「ビスマルク」など、固有名を持つユニットが多数収録された点も嬉しい。
一部の艦艇ユニットは相変わらず汎用ユニットだったりするが、地味に生産国別に性能が異なるユニットが存在する。
例えば日本の駆逐艦は歩兵などの一部地上ユニットを搭載可能。(鼠輸送を再現?)
また、アメリカ軍の軽巡洋艦はアトランタ級防空巡洋艦を元にしているらしく、対空火力が強力だったりする。
細かいシステム面で見ると、前作では地形の一種だった「首都」が「司令部」というユニットに置き換わった。
爆撃機のBバクダンではなく通常攻撃で破壊可能になった点が新しい。
これにより、前線を迂回して後方の首都を空挺占領するという戦術が取れなくなっている。
「増援」の要素も面白い。
これは特定マップにおいて、特定ターンになると友軍ないし敵軍の増援部隊が出現するという物で、例えば真珠湾攻撃マップにおいて、終盤になると近海に居た米空母部隊が出現したりする。
ここで撃沈しておくと後のマップで出現しなくなるなど、シナリオ進行に影響を及ぼす場合も有る。
シナリオの途中で新たな勢力が参戦するというシステムは、これ以降のシリーズ作品においても踏襲されていく。
これにより、新勢力が参戦する前にクリアを狙ったり、敢えて参戦させたりといった駆け引きが生まれた。
本作の最大の魅力はなんといっても3DCGを駆使した戦闘シーンであり、2DCGのサイドビュー戦闘シーンんでは味わえなかった圧倒的な臨場感が魅力的だった。
特に戦艦大和などの大型艦艇同士の砲撃戦は大迫力で、能汁が噴出すること間違い無しの臨場感は多くのSLGファンを虜にしたことだろう。
格段に早くなった思考時間、圧倒的な迫力の戦闘シーン。
この二つが「次世代機の凄さ」を実感するのに十分な要素だったと思う。
セガサターンというハードの性能を活かしてパワーアップした「ワールドアドバンスド大戦略 -鋼鉄の旋風-」だったが、一方で個人的には微妙に感じた点も多かった。
まず、最大の売りである3DCGを駆使した戦闘シーンだが、シーンの前後にCDのデータ読み込み時間が発生するのが大問題だった。
ロープレにおける戦闘シーンと同様、シミュレーションゲームにおける戦闘シーンも、ゲームクリアまでに数え切れない程目にする物であるが、そこで長い待ち時間が発生するのは致命的だ。
確かに大迫力ではあるのだが、一々見ていると非常に長い。
間違い無く敵の思考時間よりも読み込みを含めた戦闘シーンの方が時間が掛かる。
正直なところ、一通り見終わったら戦闘アニメはオフに設定してしまったという人も多かっただろう。
リアルな戦闘シーンという最大の売りが、長いローディング時間という最大の問題点になってしまった。
一生懸命3DCGデータを作ったデザイナーにとって、折角作った物を見て貰えないという事ほど悲しい物は無い。
私自身がゲーム制作を生業としているのでよく分かる。
しかし、ユーザーとしては作り手の都合はどうでも良いわけで、長いからオフにする、それだけの話しなのだ。
今作における戦闘シーンは、仮にローディング時間が無かったとしても長めでテンポが悪い。
サターンは当時最強の2DCG性能を持っていたので、メガドラ版をさらに発展させたテンポの良い2DCG演出でも良かったのではないかと個人的には思う。
ただ、完全に3DCGの時代になっていた当時、それを使わないという選択肢は無かっただろうという事も理解は出来る。
それでも結局オフにされる演出に意味は有るのかという疑問は残るわけだが。
歩兵ユニットや野砲などの牽引ユニット自体が輸送ユニットに変形して移動出来るという点は新鮮だった。
しかし、これにより、「オペル・ブリッツ」「Sd Kfz 251」「Ju-52」などの輸送ユニットがゴッソリ消滅した点は見過ごせない。
確かに「変形システム」の導入で敷居は低くなった。
難易度を下げることでユーザー層の拡大を図るという意図も有ったのだろう。
しかし、本シリーズのユーザー層を考慮すると、輸送ユニットをほぼ全廃してまで簡素化(低難易度化)する必要があったのかは疑問だ。
後のアドバンスド大戦略シリーズにおいては輸送ユニットは復活を果たす。
しかも搭載するユニットの「重量」まで計算する必要が生まれるなど、ゲームの方向性はマニアック路線に回帰することになる。
本作における総マップ数や兵器数はメガドラ版の初代と概ね同じだ。
ただ、マップにおいては3種類のキャンペーンモードで分け合っている関係上、一つのキャンペーン辺りのボリュームはかなり減ってしまった。
例えばドイツキャンペーンの場合、ポーランド戦や北欧戦は存在せず、いきなり対フランス戦から始まり、その最初のマップをクリアすると、これまたいきなりバトルブリテンに進むという駆け足ぶりで、北アフリカなどの地中海戦線や1944年以降の東部戦線も登場しない。
多くのキャンペーンシナリオが僅か10~15マップ程で最終マップに至るなど、いくら何でもボリューム不足である。
シナリオ上のマップ数が少ないため、上位の兵器に進化させる暇が無く、仮に進化できても活躍させるマップが無いというのが悲しい。
また、全体的に狭いマップが多く、陣営毎のユニット数も少なめで、スケール感が小さくなってしまった。
新ハードにおける人気タイトルの続編ということで、おそらく開発チーム内でのプレッシャーも相当有ったと思われる。
斬新な独自のシステムや大迫力の戦闘シーンは、多くのユーザーに新しい体験を提供する事に成功した事だろう。
その一方で、前述の様に戦闘シーンという最大の見せ場が長いローディング時間で台無しになってしまったり、全体的にボリューム不足になったりと、多くの問題が存在したことも否めない。
ただ、個人的には評価出来るポイントも多く、プレイする価値が有る意欲作だと思う。
【SS】セガサターン版「ワールドアドバンスド大戦略 -作戦ファイル-」

「ワールドアドバンスド大戦略 -鋼鉄の旋風-」に続くセガサターンの二作目として1996年に発売されたのが「ワールドアドバンスド大戦略 -作戦ファイル-」である。
「作戦ファイル」というサブタイトルからも分かる様に、本作は前作「鋼鉄の旋風」の追加データ集的な位置づけになっており、前作には無かったマップやユニット、新しいキャンペーンモードなどを搭載している。
一応新作ではあるが、基本システムやグラフィックなどは前作の物をそのまま引き継いでいる。
本作単体でもプレイ可能であり、特に前作との連動などは無い。
なので、パワーアップキットというよりはファンディスク的な物と表現した方が適切かも知れない。
ユニットの種類は微増程度に留まっているが、その代わりにキャンペーンモードが強化されている。
その一つがソ連用のキャンペーンシナリオであり、これまで強敵として立ち塞がったT-34やJS(IS)重戦車などを操ることが可能だ。
パッケージにソ連軍が描かれている事からも、このモードが本作最大の売りという事なのだろう。
また、架空の大陸・国家を舞台に戦う仮想キャンペーンも有り、こちらは日・米・英・独・ソから陣営を選択可能で、陣営や勝利条件などによってルートや難易度が変化するシステムである。
この他、前作では何故か立った10種類ほどしかプレイできなかったスタンダードモードが改善され、専用マップを含めた30程のマップでプレイ可能となった。
新たなキャンペーンモードが搭載された事自体は嬉しいのだが、全体的にどうにも微妙なのが困る。
例えば売りの一つであるソ連キャンペーンの場合、シナリオ数はたった7つしか無い上に分岐も存在しない。
あまりにもボリュームが少なすぎる。
仮想キャンペーンも総マップ数は8と短いのだが、こちらは分岐が存在し、担当する生産タイプによって難易度が変化するなど、一応ボリューム自体はそれなりに有る。
ただ、それでも全8マップを使い回している事に違いは無く、やはりボリューム不足は否めない。
そもそも、史実を元にした歴史シミュレーションゲームと架空シナリオでは相性が悪すぎる。
「もしイギリス本土に上陸していたら?」とか「ミッドウェイ海戦で勝利していたら?」みたいな史実ベースの架空シナリオならともかく、全く存在しない架空世界での戦いに熱くなるのは難しい。
青い日の丸を描いたハポナ国の零戦・・・この設定で盛り上がるのは私には厳しかった。
スタンダードモードに関しても、やはり遊べるマップは限定されており(キャンペーンモードでしか遊べないマップが多い)、しかも全体的に狭いマップが多く、生産可能数も少なめだ。
もっとこう、64×64で生産上限64というスケールの大きなマップが欲しい!
(小さいマップ自体が嫌いな訳では無いよ。)
イギリスやソ連でもプレイ可能なキャンペーンモードなど、やろうとしている事とその熱意は評価できる。
しかし、どうにもその方向性がズレてしまっている様な気がする本作である。
「ワールドアドバンスド大戦略」シリーズは、全体的にボリュームの少なさやスケールの小ささを感じる内容だ。
ただ、ハード自体がメガドラ時代よりも一般受けを指向していたと思うし、その流れで本シリーズも敷居を低くしようという意図が有ったのかも知れない。
その辺を踏まえて評価するならばまた違った内容になるだろう。
しかし、アドバンスド大戦略を名乗る以上、相応の基準での評価になるのもまた事実だろう。
【PC】アドバンスド大戦略98 STORM OVER EUROPE

プラットフォームをWindowsに移して1998年に登場したのが「アドバンスド大戦略98 STORM OVER EUROPE」である。
これ以降のアドバンスド大戦略シリーズは基本的にPCで展開していくことになる。
(家庭用ゲーム機でも発売はされるが、主流はPC版となる。)
PCゲームはプレイする人によってマシンスペックが異なるわけだが、一般的なスペックであれば、「思考時間の大幅な短縮」「HDDにインストールすることによる高速化」「大容量HDDを使った複数箇所セーブ」「高解像度による見やすさの向上」「マウスによる操作性の向上」など、家庭用ゲーム機版に対する優位性が数多く存在する。
アドバンスド大戦略はPC向けのゲーム内容だったため、今作においてようやく快適な環境が整ったと言えるだろう。
ゲーム内容的にはメガドライブ版の正統進化版といった感じで、標準仕様でマップ数60以上、兵器数1500以上とかなりの大ボリュームとなっている。
さらにアップデートパッチやパワーアップキットを使用することでマップ総数は100を越える。
おまけにマップエディット機能も追加されるので、マップの総数はまさに無限とも言える。
また、シナリオ毎の最大ユニット数が増加しており、最大で64ユニットx8陣営の512部隊という大規模な戦いが展開される。
これだけのユニット数が存在しても、PCならではの高速な処理で思考時間が短いのも嬉しい所だ。
アドバンスド大戦略98で追加・変更となった要素には以下のような物が有る。
- 兵器やマップの大幅な追加。
- キャンペーンモードでは最大128部隊のユニットを持ち越すことが可能になった。
- 新たに「スペイン内戦」に関するマップが追加された。
- 航空攻撃に対して自動で反撃する「対空防御射撃」システムが追加された。
- 首都を爆撃で完全破壊することができなくなった。
- 同一ターン内で複数回セーブを行うと、回数に応じた費用が必要になった。
- ユニットに「重量」の要素が追加された。
- シナリオの途中で陣営が変化するシステムが導入された。
- 駆逐戦車が移動後に攻撃可能になった。
この中で最も重要なのは「対空防御射撃」だろう。
これは地上ユニット(艦船ユニットも含む)に対して航空攻撃が行われた場合、自動的に反撃が行われるという物だ。
これだけだと今までと変わらないように思えるが、「敵航空機の攻撃に先だって反撃が行われる」というのが最大のポイントである。
つまり、空爆された側が先に攻撃を仕掛けるという意味になる。
また、周囲に対空射撃が可能な味方ユニットが居た場合、そいつらも反撃を行う点も重要だ。
例えば輸送トラックが空爆を受けた際、それ自体が対空攻撃能力を持っていなかったとしても、周囲に居る対空戦車などが一斉に攻撃してくれる訳だ。
場合によっては事前に行われる対空防御射撃で相手航空機が全滅し、攻撃を仕掛けられたが無傷で済むという事も有る。
この対空防御射撃は対空砲が多連装であるほど威力を発揮するので、特に「Sd.kfz.7/1」や「ヴィルベルヴィント」などは、敵の航空攻撃に対して鬼神のごとき猛威を振るうことになる。
対空戦車はもちろん、戦艦や空母などの対空攻撃力が高い兵器に空爆をしかけることは自殺行為と言える。
これまでは、敵の航空攻撃から地上ユニットを守るためには、戦闘機や対空戦車のZOCで囲む必要があった。
しかし、今作からは対空防御射撃の範囲内に居れば良いので、戦い方が大きく変化したと言えるだろう。
このシステムは今後のシリーズで引き継がれるので、まずは本作で仕組みを理解しておこう。
この対空防御射撃は地形に対する戦略爆撃に対しても行われる。
この場合は高射砲などの重対空砲が反撃を行うのだが、やはり爆撃に先だって攻撃が行われるので、敵高射砲の密集地で爆撃を行うと、対空防御射撃で壊滅的な被害を受ける事が有る。
対空防御射撃は間接攻撃扱いなので、場合によっては攻撃が全て外れるという事も起こりうる。
味方地上ユニットを空爆から守る場合、複数の対空戦車でガードする事が重要だ。
シナリオの途中で陣営に変化が生まれるようになった点も大きい。
(前作でも一応味方陣営の拠点を爆撃することで強制的に変化させることが出来た。)
シナリオ開始時点では中立状態の陣営が存在する場合が有り、それらは特定のターンになると敵ないし味方として参戦してくる。
また、逆に特定ターンになると中立状態になる場合も有る。
これらは敵の増援を演出するために導入されたと思われるが、参戦してくるまでに勝負を付けるといった駆け引きが生まれた。
また、「敗北軍事費」というシステムも導入された。
これはターン開始時に所持している軍事費が一定額を下回った場合、その陣営は問答無用で敗北になるという物で、敗北軍事費に達した場合、どれだけユニットが残っていようが強制的に退場となる。
基本的にコンピューターが担当する陣営に設定される。(全てのマップ・陣営で設定されるわけではない。)
敵陣営に設定されている場合、生産コストの高い航空機を重点的に倒したり、運用コストの高い艦船ユニットに適度な被害を与え、敢えて補充に戻らせることで大量の軍事費を消費させるといった戦法が有効だ。
一方、味方陣営に設定されることもあるので、味方の予算が枯渇しないように支援してやる必要が有る。
「重量」の要素も今後のシリーズでお馴染みとなる重要なシステムだ。
各ユニットには重量が設定され、輸送機などの輸送ユニットには、積載可能重量を超えるユニットを搭載することが出来なくなった。
また、橋の耐久度はそこを通過出来るユニット重量の上限を意味し、低耐久度の橋を重戦車などが通過することは出来ない。
メガドラ版でも橋に対する爆撃と修復の要素は有ったが、重量の要素が加わった事で、これまで以上に工作部隊の役割が重要になったと言えるだろう。
アドバンスド大戦略98はシリーズの中でもに特に難易度が高い。
特に軍事費と空港のやりくりが大変で、中盤以降は高難易度のマップがほとんどである。
しかし、収録されたマップやユニットの充実具合、見所のある戦闘シーン、歯応えのある難易度など、ゲームとしての完成度は非常に高く、ユーザーからの評価もまた高かった。
メガドラ版を文字通り進化させた内容である為、本作は実質的に「メガドライブ版の究極完成形」と言って良いと思う。
これ以降の作品はシステムに大幅な変更が加えられているので、本作が一つの最終形であると言っても過言ではないだろう。
【PC】アドバンスド大戦略98-Ⅱ(ツヴァイ)

タイトルからして「アドバンスド大戦略98」の続編である事をアピールしている本作。
たしかに基本システムは踏襲しているものの、後述する「時間」の概念がゲームの展開に大きな変化をもたらしている。
その為、このシリーズをどこかで区切るとするならば、MD版と98(無印)で一つ、本作と2001で一つ、というくくりになる気がする。
本作におけるトピックは以下の様な内容だが、いずれも非常に大きな変更点ばかりである。
では、特筆すべき物を具体的に見ていこう。
- 1日が2時間毎に分割され、「1ターン=2時間」になった。
- 昼夜の要素が導入され、夜間戦闘という概念が生まれた。
- キャンペーンモードにおいて「配置ターン」が追加された。
- キャンペーンモードにおいて、配置したユニットを召喚可能になった。
- 「高度」の概念が追加された。
- 工作部隊で空港を建設することが可能になった。
- 潜水艦に「浮上」「潜行」という概念が追加された。
- 架空シナリオで米本土進行ルートが追加された。
まずは時間の概念の導入が最大のトピックである。
これは今までは「1日で1ターン」だったものを「2時間で1ターン」にするというもので、つまり「12ターンで1日」という事になる。
これにより「夜」の概念が生まれたのが大きい。
(さらに夜の前後には「夕暮れ」と「夜明け」が1ターンずつ入る。)
夜間はほとんどのユニットが行動力の制限を受け、さらに攻撃や占領の精度が大幅に低下してしまう。
(レーダーやサーチライトなどを装備した一部の兵器はこの制限を受けない。)
このため、夜間戦闘を得意とする夜間戦闘機などの新ユニットが大幅に追加された。
「夜間」の要素は設定でオフにする事もできるので、好みに応じて無しでプレイすることも可能だ。
夜間になると移動・占領・攻撃などが大幅に制約を受けるので、どうしてもゲームのテンポが悪化してしまう。
煩わしいと感じたらオフにするのもアリだろう。
「配置ターン」と「召喚システム」の導入も画期的だ。
これまでは1ターン目にユニットを配置していたが、敵が目前に居る状態で始まるマップの場合、配置したそばから
一方的に攻撃を受けてしまう事が有った。
今作からは1ターン目の前に「配置専用のターン」が設けられたので、1ターン目開始と同時に行動することが可能となった。
召喚システムは「一度配置したユニットを部隊表に戻す事が可能になる」というもの。
例えば敵の航空勢力が多い序盤は対空戦車を多めに配置し、制空権を取った後はそれらを召喚して、代わりに戦車を配置する、といった様な事が可能になる。
これらの変更によって、キャンペーンモードにおける不満点が大幅に改善された。
この二つは地味なようで非常に大きい変更点である。
「高度」の概念も非常に大きい。
これは特に航空ユニットに関連する要素なのだが、全ての航空ユニットは現実の性能(上昇限度や過給器の有無など)に基づいて「高度」のパラメーターが設定されている。
これが何に影響するのかというと、例えば高度が10の航空ユニットは11や12の航空ユニットに対してZOCによる壁を作れない。
つまり、自分より高高度を飛行できる相手の移動を阻止できないという事を意味する。
また、この高度性能の差は空中戦時の戦果(被害)にも補正を与えるので、非常に重要な要素となっている。
これまではFw-190AシリーズはBf-109シリーズの上位機種という位置づけだったが、高高度性能がネックであるFw-190Aシリーズに対し、高高度性能に優れるBf-109G~Kシリーズは存在価値を見出せるようになった。
高高度性能が改善されるFw-190Dシリーズが登場するまで、Bf-109シリーズも活躍の場が有るというわけだ。
この高度の要素は地上ユニットにも影響を及ぼしている。
全ての地形には標高に基づいて高度の数値が設定されており、隣接していても2以上数値が異なる地形には直接移動出来なくなった。
また、現在地よりも高度が高い地形へ移動する場合、2マス分の移動力を消費するので注意。
この他、現在地の高度が野砲の射程や索敵範囲にプラス補正を及ぼす点も見逃せない。
標高がプラス1ならば、射程や索敵範囲もプラス1になるという訳だ。
一部のマップには標高の高い山脈が存在するが(高度5~6とか)、飛行高度の低い輸送機などが通過できない場合が有るので要注意だ!
「空港の建設」もゲームに多大な影響を及ぼす新要素だろう。
これは工作部隊を使って全く新しい空港を建設できるという物で、生産拠点の周囲に造る事も出来るし、最前線に作る事も出来る。
一回当たり5000もの軍事費が必要で、建設可能な場所も平地に限定されるが、ゲームの難易度や攻略法に劇的な変化を及ぼす、ある意味で反則的な要素と言える。敵がこのコマンドを使用することは無いのでなおさらだ。
前作では空港のやりくりで苦労していたマップでも、今作では空港建設コマンドの追加によって、劇的に難易度が低下している場合がある。
前述の様に空港は平地にしか建設できない。
しかし、森を爆撃で破壊することで平地になるので、森だらけのマップでも実は建設可能な場所は多い。
潜水艦にも大きな仕様変更が加えられている。
潜水艦は「浮上」と「潜行」の二つの状態が有り、コマンドから切り替えることが可能となった。
「蓄電池」という要素が追加されており、潜行中は毎ターン蓄電池を消費していき、無くなると強制浮上となる。
潜行中は爆雷や敵潜水艦の魚雷でしか攻撃を受けないが、浮上中は砲爆撃に対して無防備の状態になり、簡単に撃沈されてしまう。
また、目視やレーダーによる索敵にも無防備となるので要注意だ。
強力な敵の潜水艦は敢えて放置して、浮上したところを一気に叩いてしまおう!
最後に恒例の架空シナリオルートだが、待望のアメリカ本土侵攻ルートが追加された。
これは大勝利を続ける事で欧州大陸を制覇した後に進む事が出来るルートで、フロリダ半島付近から上陸し、最終的にはニューヨークにおいて決戦を行うというシナリオである。
「ワールドアドバンスド大戦略」にも米本土ルートはあったが、マップ数が少なくて一瞬で終わってしまう内容だった。
今作ではこのルートだけでも7マップも有り、ボリュームはかなりのものだ。
特に最終シナリオのニューヨーク攻防戦は熱い。
マンハッタンを埋め尽くす敵の大群を排除し、君は勝利をつかみ取れるか!?
このルートは大勝利を続ける事で到達出来る訳だが、一方で「敗北ルート」にも二系統の架空シナリオが存在する。
こちらもとても面白いので、是非とも遊んでみて欲しい!
アメリカ本土侵攻ルートでは、イタリア空母「アキラ(Aquila)」が登場する。
ここでしか出てこない超激レアユニットなので、マニアならチェックしておこう。
ただでさえ名作だった前作に改良を加え、さらなる名作になった「アドバンスド大戦略98ツヴァイ」。
システム面ではますますマニアックになって、もはや初心者が迂闊に触ると火傷しかねないレベルに至った。
一方、空港の設置や召還等の大きな要素が加わったので、ゲーム自体の難易度は低下していると言える。
夜間要素の追加は善し悪しが有り、好みが分かれるところだろう。
この辺の事情を踏まえると、前作「98」でメガドラ版の系譜が終わり、本作は次作である「2001」の系譜だと言えるかも知れない。
いずれにしても本作が名作である事には違いないので、機会があれば是非ともプレイして欲しい。
【PC・DC】アドバンスド大戦略2001

本作が発売されるまでの間にドリームキャストにて「アドバンスド大戦略 ~ヨーロッパの嵐・ドイツ電撃作戦~」と「アドバンスド大戦略2001」の二作が発売されているのだが、ここでは割愛させていただく。
前者は「98ツヴァイ」ベースの作品で、後者はPC版「2001」のベースとなった作品なので、機会があったらプレイしてみると良いだろう。
さて、PCにおける「アドバンスド大戦略98ツヴァイ」の続編となるのが、2001年に発売された「アドバンスド大戦略2001」である。
前述の様にドリキャス版「2001」をベースに、PC向けに洗練させたのが本作である。
基本的な部分は一緒であるが、やはりPC環境の方が遥かに快適なので、プレイするならばこちらをオススメする。
なお、パッケージにはシャルンホルスト級巡洋戦艦やヤークトパンター等と共に「80cm列車砲グスタフ」が描かれているが、残念ながら本作には登場しない。
80cm列車砲は専用の軌道を設置して移動するため、ゲームに落とし込むのはさすがに無理が有る。
収録されないのも仕方が無いだろう。(でもパッケージに描かれると期待しちゃうよね・・・)
アドバンスド大戦略シリーズに登場する列車砲は「28cm列車砲K5」のみである。
さて、本作もシリーズの基本システムを踏襲しているものの、やはり数々の新要素が追加されている。
それらの中から主だった物を見てみよう。
- 戦闘シーンが3DCGを用いた物になった。
- 各陣営には「将軍」が設定され、思考ルーチンに個性が生まれた。
- 全てのユニットには「向き」の要素が追加された。
- 陣営の一部に「ターゲット」が設定される場合がある。
- 都市や空港の中にユニットを収納する事が出来る。
- 敵のユニットを捕獲する事が出来る。
- 航空ユニットは森の中に居る敵地上ユニットを索敵・攻撃する事が出来なくなった。
- シナリオ開始前に難易度調整を行うことが出来る。
- イギリスやソ連のキャンペーンシナリオが追加された。(パワーアップキットにて)

まずは戦闘シーンに関してだが、前作までの2Dベースの物から、3DCGを用いたリアルタイムアニメーションに一新された。
臨場感と迫力が有るのは良いことなのだが、いかんせんテンポが悪すぎる・・・
HDDやSSDにインストール出来る分、サターン版よりはマシだが、とてもじゃないが毎回見ていられる物では無い。
結局の所、少し見たらオフにされる運命に有るだろう。
頑張って作ってくれた開発者には悪いが、まともに見てたら日が暮れてしまうよ。
これ以降の作品は全て同じような3D戦闘シーンになっている。
シミュレーションゲームにおける戦闘シーンはどう有るべきか、ここらで一度考えるべきだと思う。

ただし、戦闘用に各ユニットが3DCG化されたことにより、兵器図鑑において3Dモデルを堪能できるようになった点は評価したい。
3Dモデルのクオリティーに多少ばらつきは有るが、ぐるぐる回しながら堪能できるのは嬉しい所だ。

「将軍」システムも新しい試みだ。
各陣営には当時その戦場で部隊を率いた実在の軍人が「将軍」として割り当てられ、思考ルーチンもその人物の性格や功績などを反映した物になっている。
これにより、陣営単位で思考ルーチンに個性が生まれた。
戦闘機や戦車を大量生産して突撃してくる脳筋タイプも居れば、消極的で大人しいタイプも居るなど、なかなか新鮮な感覚でプレイできるようになった。
この将軍システムは、部隊を自由に編制できる次回作の「アドバンスド大戦略4」で活かされることになる。

「向き」の要素も非常に画期的で重要だ。
全ての兵器には向いている方向という要素が加わり、これが戦闘時に大きな意味を持つ。
(上の画像にて、ユニットの正面方向に太いラインが描かれているのが分かるだろう。)
知っての通り、戦車の装甲厚は部位によって大きく異なり、基本的に前面が最も厚く、逆に側面や背面は薄い。
つまり、敵に側面や背面を突かれた場合、非常に脆弱で撃破されるリスクが高まるという事になる。
また、駆逐戦車や自走砲は砲塔の回転が出来ない場合が多く、敵との位置関係によっては攻撃が出来なくなる。
戦艦や爆撃機は多数の武装を持っているが、それぞれ「射界」が存在するため、敵との位置関係によって指向できる砲門数が異なる。
この様に、方向の要素は攻撃にも防御にも大きな意味を持つ。
一般的には攻撃する時は敵の側面や背面から襲い、守る時は味方同士で密集して弱点を突かれないように陣取る事が重要となる。
敵に対して背後から攻撃すると、攻撃優先順位で有利に立てるので活用すべし!
「ターゲット設定」に関しては、特定マップの特定陣営がターゲットに指定されている場合が有り、その陣営が降伏すると、戦況に関わらずその時点でシナリオは勝利(敗北)となる。
例えば、巡洋戦艦シャルンホルストなどがブレストからドイツ本国へ帰還した「ツェルベルス作戦」をモチーフにしたシナリオが有るのだが、このマップではドイツの艦艇部隊がターゲットに設定されている。
この部隊が壊滅したら即敗北となるため、プレイヤーは全力で敵を排除して援護する必要が有る訳だ。
もちろんマップによっては敵に陣営にターゲットが設定されている場合も有る。
集中攻撃して早期クリアを狙ってみよう。

「ユニットの収納」は「捕獲」にも関連したシステムで、今作から各拠点の中に自軍ユニットを収納する事が可能となった。
収納出来る数は拠点の耐久度によって事なり、耐久度50以下で1、201以上で最大の5となる。
(上の画像において、拠点の上に書かれている数字が収納中のユニット数である。)
地上ユニットと艦艇ユニットであれば、拠点の上に居れば補給は出来るが、補充する際は収納する必要が有る。
航空ユニットは補給・補充いずれの場合も収納(つまり着陸)する必要が有る。
拠点の耐久度は収納可能数だけでなく、収納中のユニットが出撃する際にも影響を受ける。
特に航空ユニットと艦艇ユニット場合、耐久度が一定以上ないと出撃できない。
大型兵器ほど高い耐久度が必要となるので、ここでも大きな駆け引きが生まれることになる。
なお、拠点の耐久度が爆撃や占領で減少した場合、収納中のユニットの種類によっては出撃が不可能になる場合がある。
これを利用して、敵の部隊が収納されている空港や港を爆撃し、敵の出撃を妨害するという戦術も取れる。
拠点が爆撃で完全に破壊されると、拠点ごと収納中のユニットは失われてしまう。
占領した場合は収納されていた部隊を「捕獲」する事が可能だ。(歩兵を除く)
「完全に破壊しない程度に爆撃し、出撃を妨害」→「後で歩兵を送り込んで占領・捕獲する」というのが定番の流れなので、捕獲したい兵器が居る拠点に目を付け、タイミングを見計らって実行しよう。
味方の拠点に収納して補給・補充を行うことも出来る。
逆に味方のユニットが自軍の拠点に居座ってしまう事も有るので注意だ!
「森の中に居る地上ユニットの扱い」に関しても、ゲームの難易度に大きな影響を及ぼす要素だ。
なんと、森の中に居れば敵の航空ユニットから発見されず、当然ながら空爆もされない。
それでいて逆に対空射撃は従来通り行えるので、一方的に航空ユニットが不利になったと言える。
味方の地上ユニットが隣接している場合のみ空爆が可能となるが、戦線後方の拠点を爆撃する時など、森に潜んでいる高射砲に袋叩きに遭う危険性が増大した。
地上ユニットにとって、とにかく森の中に潜むことが空爆を避ける最重要テクニックとなった訳だ。
これはヤーボの驚異から身を隠す、大戦後半のドイツ地上部隊を意識したシステムなのかもしれない。
「難易度調整」はキャンペーンモードの各シナリオ開始時に実行できるコマンドで、文字通り難易度を調整する事が可能だ。
調整と言っても難易度を下げる物ばかりで、基本的には初心者救済用のシステムと言える。
設定出来る項目は多岐に渡り、中には「戦闘機生産禁止」や「中戦車生産禁止」など、もはや反則とも言えるような物まで存在する。
ただし、何か1項目でも難易度を調整した場合、そのマップでは「大勝利」が不可能となってしまう。
どうしてもクリア出来ないマップが有ったならば検討しても良いかも知れない。

「イギリス・ソ連のキャンペーンシナリオ」に関してはセガサターン版「ワールドアドバンスド大戦略」でも存在したが、本作では史実を元にしたシナリオとなっており、分岐も有ってボリュームも相応に有る。
これまで強敵として立ち塞がったスピットファイアやT-34などを自らの手で生産し、操ることが出来る。
マニアならば一度はやってみたかった事が存分に堪能できるというわけだ。
ただし、少しプレイしてみると、この両国でのプレイがとても厳しい物で有る事が直ぐに分かるだろう。
そう、この両国は兵器の性能バランスがとても悪いのだ。
イギリスの場合、戦車は紙装甲で汎用性が無い(榴弾が撃てない)巡航戦車と、鈍重で低火力の歩兵戦車しかなく、憧れていたスピットファイアは航続距離が短すぎて、防衛戦はともかく制空戦には使いにくい。
ソ連の場合は輸送車両や対空車両が貧弱すぎて、地上部隊の進軍に深刻な問題が有る。
特に対空車両の弱さは致命的で、とてもじゃないがJu87等から地上ユニットを守る事など出来ない。
敵であるドイツ軍の「Sd.kfz.7/1」や輸送車両を捕獲する事に命をかける日々になるだろう。
こういった苦労を味わえるのも、このシナリオモードの魅力と言えるかも知れない。
「大変だったのはドイツだけじゃ無いんだなぁ」と感慨にふけるのも一興だ。
イギリスやソ連のキャンペーンモードはパワーアップキットが必要なので注意だ!
「アドバンスド大戦略2001」はマニアをも唸らせる完成度で、まさにシリーズの集大成とも言えるタイトルである。
次回作の「4」や「5」はシステム面で大幅な変更が加えられているので、本作がシリーズにおける一つの終着点だと言える。
アドバンスド大戦略シリーズで一番好きなのは本作だという人も多いのではないかと思う。
現在では品薄でなかなか購入しづらい状況ではあるが、アドバンスド大戦略シリーズを語る上で外せないタイトルだ。
是非とも機会を見つけてプレイしてみた欲しい!
【PC】アドバンスド大戦略4

前作「アドバンスド大戦略2001」で一つの完成の域に至ったアドバンスド大戦略シリーズだが、2003年に登場した本作では、これまでになかった大胆なシステム変更がなされている。
主な変更点をピックアップしてみよう。
- 従来の戦術マップでの戦いに加え、戦略マップでの内政的な要素が追加された。
- 自由に部隊(軍団)を編成し、将軍を任命したり出来る様になった。
- 兵器の開発や生産をプレイヤーが自由に行えるようになった。
- どのマップに何時侵攻するか等をプレイヤーが任意に選択できるようになった。
等々、かなりの変更が加えられている。
例えるならば、従来のアドバンスド大戦略に「提督の決断」みたいな要素が加わった感じだろうか。

今作から新たに加わった戦略画面の様子である。
欧州各地の都市や地域が「拠点」として点在し、それらをルートが繋いでいる。
軍団を編成し、ルートを経由して敵拠点へ移動すると戦闘開始となる。

こちらはマップ内における戦闘の様子。
各マップ(拠点)での戦いは従来と同様で、基本的なシステムは「アドバンスド大戦略2001」と同じだ。
ルートによって通過出来る軍団の規模や種類が異なるため、大規模な軍団だけではなく、小規模だったり特定の属性(空軍や海軍など)に特化した軍団を作る必要も出てくる。
また、時には敵国の方からこちらの拠点に侵攻してくる場合も有るので、その際は軍団を派遣して防衛戦を行う事になる。

戦略画面でやるべき事は多岐に渡るが、兵器の開発・生産もその一つだ。
開発費を投入して完成させ、工場に生産ラインを確保して量産し、軍団に配備する。
どの兵器を優先して開発・生産するかはユーザーが自由に決められるので、手堅く戦車や戦闘機に投資しても良いし、ロマンのある超兵器に集中投資するのも自由だ。
本作では戦略画面での内政・外交と、戦術画面での戦闘を繰り返しつつゲームが進行していく。
それぞれ互いに影響を及ぼすのでかなり奥が深いと言える。
本作ではシステム面にかなり大掛かりな変更が加えられているので、これまでのシリーズ作品とは一線を画する新たなゲームとして捉えるべきかも知れない。
一方、戦術画面でのプレイは従来通りなので、シリーズのファンも安心してプレイ出来る。
圧倒的なボリュームと自由度の高さはシリーズ随一なので、新要素が気に入れば長く遊べる名作だ。
なお、本作に関しては別のページで詳しく紹介しているので読んでみて欲しい。

【PC】アドバンスド大戦略5

2025年現在、2006年に発売された本作がアドバンスド大戦略シリーズの最新(最終)作となっている。
ファンとしては寂しい限りだが、現在の所、新作が登場する様子は無い。
今後アドバンスド大戦略シリーズの新作が発売される可能性はかなり少ないが、権利関係がクリアされればリメイク移植くらいは有るかも知れない。 期待しよう。

本作の最大の特徴は「架空シナリオ」を大々的に導入している点にある。
これまでにも「イギリス本土侵攻作戦」などの架空シナリオは有ったが、それらはあくまで史実で計画されていた作戦などを元にしたものだった。
しかし、本作では架空戦記小説「レッドサン・ブラッククロス」を元にしたキャンペーンシナリオが導入されており、完全な架空シナリオによるキャンペーンモードが展開される。
シナリオは欧州大戦が終了した後の1947年頃からスタートし、北米にドイツ軍が上陸し、そこに布陣する日・米・英の軍勢と戦うという壮大な内容となっている。
登場する兵器は既存の物に加え、新たに大量の架空兵器も登場する。
と言っても、その多くは史実で計画されていたものの実現に至らなかった兵器や、実在した兵器の延長に有る物が中心で、世界観を壊すようなトンデモ兵器は基本的に登場しない。
本作はキャンペーンモードに特化しているらしく、なんとタイトルメニューにスタンダードモードが存在しない。
ほとんどの人はキャンペーンモードをプレイするのだろうが、なんだか寂しい気もする。

本作では「レッドサン・ブラッククロス」を元にしたキャンペーンシナリオが3本、さらに従来同様の1939年から始まる欧州地域のシナリオが1本存在する。
ただし、従来のキャンペーンシナリオにも架空キャンペーンの要素が加味されているため、ゲーム全体が架空シナリオであると言える。
舞台設定のリアルさを重視するユーザーには受け入れがたいかもしれない。

本作における大きな新要素の一つが「勝利点」というシステムである。
マップ内の都市などにはそれぞれポイントが設定されており、占領することで自軍に勝利ポイントが加算され、破壊することで相手の所有するポイントを削ることができる。
これが一定値を越える事で、敵の部隊や首都が健在であっても、その時点でマップクリアとなる。
拠点によって設定されているポイントが異なるので、より高得点の敵拠点を狙う事が重要だ。
敵の拠点を占領・破壊する事で相手の所持するポイントを削ることが出来るので、前作までの「敗北軍事費」の代わりだと思えば分かりやすい。
また、クリア時の勝利や大勝利の判定にも関係してくるため、大勝利を目指す為にはたくさんの拠点を占領する必要が有る。

今作で変更となった要素の中で、特に重要な物が「耐久度」「回避」「装甲」の要素だろう。
前作までは艦艇を除く各ユニットは1ユニットあたり10機で構成され、被害を受ける毎に機数が減っていくというシステムだった。
しかし、今作では機数毎に「耐久度」が設定され、ダメージを受けても耐久度内であれば機数は減らない。
その状態で補充すれば耐久度も回復する。
(上記の例だと、1機あたりの耐久度が34で、それが10機で「耐久340」となっている。)
これにより、攻撃して命中しているはずなのに撃破できないという事態が多発することになる。
一つの敵ユニットを排除するのに時間が掛かる傾向になり、慣れない内はかなり面倒に感じるかも知れない。
防御力に関する要素が「装甲」と「回避」に、攻撃力に関しては「貫通力」と「命中率」に変更された点も大きい。
これは相手の装甲値や回避率を上回る貫通力や命中率を持つ武器で攻撃しないと、幾ら撃ってもまともにダメージが入らないと言う事を意味する。
シリーズにおいて、攻撃・防御に関する初めての大幅な仕様変更という事になる。
とにかく慣れるまでは混乱してしまうことだろう。

今作における最大の変更点の一つが「地形攻撃」システムだ。
これまでは爆撃機(かつては「Bバクダン」と呼ばれた。)の専売特許だったが、今作では基本的に全てのユニットが地形攻撃を行うことが出来る。(非武装のユニットを除く。)
しかも、対象地形に居る敵味方問わず全てのユニット丸ごと攻撃することが可能で、直接攻撃するよりも地形攻撃で巻き込んだ方が手っ取り早い場合も多い。
爆撃機だけ警戒すれば良いという状況ではなくなり、もはやゲームバランスが崩壊していると言っても過言ではない。
さすがにこのシステムは変更の余地が有ると思うのだが、残念ながらシリーズ自体が休眠状態になっている。
ちなみに、敵航空ユニットによる攻撃を受けた場合、地上ユニットに対する攻撃に対しては「対空機関砲」が反撃し、地形攻撃に対しては「高射砲」が反撃する。

ユニットの3Dモデルは相変わらずクオリティーにばらつきが有るが、全体的に見応えのある物となっている。
これらが入り乱れる戦闘シーンは迫力は有るのだが、いかんせんテンポが悪すぎてオフにされる運命に有る。
3Dモデルはユニット性能画面でゆっくり堪能しよう。

架空シナリオがメインの本作には、実用化されなかったユニットも大量に登場するわけだが、中にはマニアも唸らせる目玉ユニットも色々収録されている。
これは「4号戦車K型」で、車体前面がT-34やパンターの様な傾斜装甲になっているのが特徴だ。
4号戦車はJ型までしか製造されず、計画段階でもK型という物は存在しなかったはずなので、これは完全オリジナルという事になる。
しかし、実在した4号戦車のアップグレードプランの一つに、前述の傾斜装甲仕様が存在した。
実用的で有ると高く評価されたが、大幅な仕様変更が生産計画に与える影響を理由に却下されたらしい。

こちらは「3号戦車K型」である。
3号戦車の車体に4号戦車F2型の砲塔を乗せるというプランが実在し、これが「K型」として生産も検討された。
しかし、重量バランスや生産ラインに対する影響を理由に中止となり、日の目を見る事は無かった。
この他にも、4号戦車にパンターと同じ主砲や、パンターの砲塔その物を搭載するプランも実在したが、さすがに無理が有ったので、いずれも計画の域を出る事は無かったようだ。

お馴染みシャルンホルスト級巡洋戦艦であるが、よく見たら「1943年仕様」となっている。
最大の特徴は主砲が「28.3cm・3連装3基」から「38cm・2連装3基」に換装されている点だ。
この主砲換装計画は実在し、実際に工事が進められていたのだが、戦局の推移などにより実現することは無かった。
このシャルンホルストはその38cm仕様を再現した物だと思われるが、よく見ると主砲が「38cm SK C/34 L/52」となっており、ビスマルク級の「L/47」よりも砲身が長い。
当然ながらビスマルク級よりも威力や射程で上回る事になるが、実際の計画もそうだったのかまでは不明だ。
この様に、現時点でシリーズ最終作として登場した「アドバンスド大戦略5」は、意欲的なシステムを多数採用し、基本システムやインターフェースデザインなども洗練された物となっている。
しかし、耐久度や地形攻撃などの新要素はプレイの勝手を大幅に変更する物であり、ゲームバランスの悪さも手伝ってあまり評価が高いとは言えない。
私自身もこれらの新要素はどうにも受け入れにくかった。
また、架空要素の大々的な導入に関しても、歴史シミュレーション故のリアルさを重視するユーザーにとって、賛否が大きく分かれる結果になったと思われる。
素材自体は良いだけに、せめて戦闘システムなどが過去作と同じだったら、また評価も違ったのではないかと思う。
パッケージイラストデザインに小林源文先生を起用している点は大いに評価出来る!
最近のWindowsでアドバンスド大戦略シリーズを遊ぶには
さて、長々とアドバンスド大戦略シリーズを紹介してきたわけだが、これを読んで久々にプレイしたくなった人もいれば、初めてプレイしてみようと思う人もいるだろう。
古いゲームなので入手するにはそれなりのハードルが有るだろうが、家庭用ゲーム機版であれば比較的入手しやすい。
ここでは「アドバンスド大戦略98」以降のWindows版に関しての話題だが、ひとまず手元にあるとして、プレイする前に立ち塞がる大きな問題が存在する。
それは、「古いゲーム故に最近のWindows上では起動しない」という、実に致命的な問題である。
最も新しい「アドバンスド大戦略5」でさえ既に20年近く前のゲーム(2006年発売)であり、当時のOSはXP等であった。
「アドバンスド大戦略98」にいたってはWindows95・・・もはや現物を見た事が無い人も多いことだろう。
古くても最新OS上で問題無く起動するゲームも多いが、残念ながら本シリーズは動作してくれない。
悲しい事に発売元のセガからも完全に見捨てられた状態なので、アップデートパッチやリメイク版のリリースも絶望的である。
アドバンスド大戦略シリーズの各タイトルに関しては、Windows10やWindows11上ではまず起動しない。
Windows7であれば、「2001」以降のタイトルならばギリギリ動くかな、といった感じだ。
では、もうアドバンスド大戦略シリーズをWindows上でプレイすることは出来ないのかというと、まだ方法は有る!
私が選んだ方法は「仮想環境上でプレイする」という物だ。
ここでいう仮想環境とは、簡単に言うと既存のOSの中に別のOS環境を作ると言う物。
まず仮想環境を構築するアプリケーションをインストールし、その中に別のOSを入れる訳だ。
仮想環境を作るソフトウェアには幾つか有るが、主な物として以下の物が有る。
- VirtualBox(オラクル)
- VMware(ブロードコム)
- Hyper-V(マイクロソフト)
これらの中から、「導入が分かりやすい」「無償利用できる」「快適にプレイ出来る」などの条件で試してみた結果、「VMware」を使用する事に決めた。

VMwareのインストール自体は特に問題無いので省略するが、それが終わったら必要なOSをセットアップする必要が有る。
アドバンスド大戦略シリーズの場合、「アドバンスド大戦略2001」「アドバンスド大戦略4」「アドバンスド大戦略5」はWindows7(64bit)上で起動する事は確認した。(2025年6月現在)
それ以前のタイトルの場合はまだ未確認だが、おそらくWindowsXP辺りを用意した方が良いと思う。
いずれも古いOSだが、意外と流通しているので頑張ってゲットしよう。
コレクションの意味も含め、過去のOSは処分せずに取っておこう!

OSのインストールまで終わったら、VMwareのメニューから使用するOSを選んで仮想環境を起動する。
この場合はWin7を選ぶ訳だが、SSD環境ならば動作も快適だ。
仮想環境が無事起動したら、後はプレイしたいゲームをインストールするだけだ。
もしインストール時に何らかのエラーが出た場合、アドミニ権限や互換モードでのインストールを試み、それでも駄目ならOSの種類をより古い物にするなど、色々試してみて欲しい。
アドバンスド大戦略シリーズを振り返って思う事あれこれ
さて、そろそろ纏めに入るわけだが、最後にこのシリーズを遊んできて思った事を色々書いてみようと思う。
何時の日か最新作が発売されるといいな~と願いながら・・・
進化システムの功罪
アドバンスド大戦略シリーズでは兵器を「進化させる」という目玉システムが有る訳だが、これにより「上位の兵器は生産できない」という弊害も生まれた。
例えばスーパー大戦略では、予算や好みに応じて「T-54/55」から「T-80」まで幅広い戦車を生産出来る。
(厳密に言うとT-54/55とT-80を両方生産出来る生産タイプは存在しないが。)
しかし、アドバンスド大戦略シリーズでは4号戦車系統までしか生産出来ず、パンターやティーガーは進化させないと入手できない。
(捕獲や配備で入手するという手も有るが、これらは例外的な手段である。)
これは特に敵陣営において問題となる。
例えばソ連を相手にしている場合、初期配置のKV-1やIS重戦車を撃破した場合、後はひたすらT-34ばかり投入してくるので(KVやIS系統は生産出来ない)、敵の部隊編成が単調になるし、難易度的にもぬるくなってしまう。
これは本作以降のシリーズ全タイトルに共通する事である。
進化システムは楽しいのだが、同時に生産可能な兵器が限定されて単調になるという寂しさも感じていた。
スタンダードモードでは全ての兵器を生産可能にしても良いと思う。
史実を元にしたマップであれば、その年月日までに開発されていたユニットに限定してもいい。
キャンペーンモードであれば、敵陣営限定で少ない比率で上位兵器も生産可能にするなど、単調さと難易度低下を防ぐ為の何らかの仕様変更が欲しい所だ。
なお、「アドバンスド大戦略5」ではだいぶ柔軟になっており、幅広い兵器を編成(生産)出来る様になっている。
このシステムを旧作にも取り込んでリメイクしてほしいものだ。
収録された兵器、されなかった兵器
初代メガドラ版の時点で既に約500種、その後のPC版では1000種を軽く越えるユニットが収録されている本作だが、当然ながら物には限度という物が有り、残念ながら収録されていない兵器も存在する。
ここでは、史実において各国が最後に建造した戦艦を例に検証してみよう。
(起工したものの完成に至らなかった物も含む。)
- ドイツ:H級
- フランス:リシュリュー級
- ソ連:ソビエツキー・ソユーズ級
- イギリス:ヴァンガード級、ライオン級
シリーズではお馴染みのドイツの戦艦で、ビスマルク級の拡大版の様な設計になっている。
「H級」と言ってもH42~H44といった具合に複数のプランが有り、ゲームに収録されているのはH42の様だ。
Z計画という海軍整備計画に基づいて起工はされたものの、大戦勃発で建造中止となった。
主砲は40.6cmを2連装4基の予定だったらしい。
フランスが建造していた戦艦で、ダンケルク級の拡大版の様な設計である。
ダンケルク級と同様に4連装主砲2基を前甲板に、副砲を後甲板に集中配備しているのが特徴。
建造中にフランスが降伏したので海外に逃れ、ドイツに接収されるのを警戒した米英軍と砲撃戦を交えた後、アメリカに渡って完成するという、なんとも数奇な運命を辿った。
未成に終わった4番艦ガスコーニュは、主砲の配置が大幅に変更されている点が興味深い。
ソ連が建造を進めていた大型戦艦で、6万トンもの排水量、50口径40.6cm主砲9門など、カタログスペックだけならトップクラスの性能を誇る新鋭戦艦であった。
しかし、大型艦の建造ノウハウに乏しいソ連なので工事は難航し、独ソ戦の勃発によって建造中止となった。
イギリスが建造していた新鋭戦艦で、排水量4万トン、40.6cm砲9問という強力な内容だった。
1番艦ライオンを筆頭に、テレメーア、サンダラーの3隻が起工されたが、大戦勃発により、既存艦の改装・修理を優先する為に全艦建造中止となった。
ライオン級の建造中止に伴い、ビスマルク級などへの対応艦の必要に迫られたイギリスが建造した戦艦で、イギリスが最後に建造した戦艦である。
戦時中に急遽建造が決まった為、主砲や主機関などは既存の物を流用したが、完成は戦後となった。
全体的なレイアウトはキングジョージ5世級に類似しており、排水量は約45000トンである。
各艦の簡単なプロフィールは上記の通りだが、この内アドバンスド大戦略シリーズに収録されているのは「H級」「リシュリュー級」「ソビエツキー・ソユーズ級」である。
つまり、イギリス艦のみ収録されていない。
なぜイギリスのライオン級とヴァンガード級が収録に漏れたのかを検証してみよう。
まずライオン級だが、建造の進捗度が低いから選考に漏れたのだろうか?
いや、それを言うならH級もソビエツキー・ソユーズ級も大して進んでいない。
主にドイツ陣営でプレイするゲームなのでH級は特別扱いだとしても、ソビエツキー・ソユーズ級が収録されてライオン級がされないのはいささか謎である。
そもそも、このシリーズには計画段階で終わった兵器が大量に登場するので、進捗度で判断するという事は無いだろう。
ヴァンガード級に至っては戦後とはいえ完成している。
当然ながら戦中の段階で相当建造が進んでおり、写真をはじめとした資料もたくさん存在する。
それにも関わらず、主要軍艦が個別のユニットとして収録されるようになってから今まで一度も収録されていない。
この理由は一体何なのか・・・? 大いなる謎である。
全てのタイトルで兵器図鑑100%を達成したわけではないので、もしかしたら「5」辺りにヒョロッと出てくるかも知れない。もし知っていたら教えて欲しい!
巡洋艦「ヒッパー級」の謎
これもアドバンスド大戦略シリーズのファンにはお馴染みの船だが、ドイツ軍に「ヒッパー級重巡洋艦」という物が有る。
ドイツ巡洋艦の最高峰であり、強力な武装と高い機動力により、ゲーム中でお世話になったプレイヤーも多いのではないだろうか。
ネームシップの「アドミラル・ヒッパー」よりも、「艦これ」に出てくる同型艦の「プリンツ・オイゲン」の方が有名かもしれないが。
で、このヒッパー級に関してだが、シリーズを通して疑問に思っていることが有る。
「なんでレーダーを装備していないの?」という事についてだ。
実際のヒッパー級は艦橋やマストなどに「FuMo23」や「FuMo25」などのレーダーを搭載しており、写真をはじめとした様々な資料で確認できる。
しかし、アドバンスド大戦略シリーズにおいては、初めてヒッパー級として登場した「アドバンスド大戦略98」から最終作の「アドバンスド大戦略5」に至るまで、結局一度もレーダーが装備される事はなかった。
ドイッチュラント級、シャルンホルスト級、ビスマルク級、H級など、他の艦艇はちゃんとレーダーを装備しているのに、なぜヒッパー級だけかたくなに「無かったこと」にされてしまったのだろうか?
前述の様にヒッパー級のレーダーに関しては豊富に資料が有るし、ユニットデータを担当するプランナーがそれに気が付かないと言う事はあり得ないだろう。
仮にシリーズの途中まで気が付いていなかったとしても、データやモデルを修正するのは大した手間ではないはずだ。
うーむ、謎だ。 もはや開発者に直接聞くしか謎を解く方法は無いが、謎のまま終わった方が面白いかもしれないな。
私自身がゲーム制作を仕事にしているので分かるのだが、ゲームの仕様に関する「謎」って意外と些細な事が理由だったりする。「え、そんな理由だったの!?」って具合に。
このヒッパー級のレーダーに関しても、もしかしたら意外な、それも些細な理由かもしれないぞ!
激レア! イタリア空母「アキラ」の謎
アドバンスド大戦略シリーズの魅力の一つに「架空シナリオ」という物が有る。
「もしあの戦いで勝利していたら?」という歴史のifを体験できる人気のシナリオだ。
各タイトル毎に色々な架空シナリオが存在するが、「アドバンスド大戦略98ツヴァイ」ではアメリカ本土侵攻ルートが収録された。
このルートでは、一部のマップでイタリア海軍が援軍として登場するのだが、その中に「アキラ(Aquila)」という空母が出てくる。
日米英と比べてイタリアは空母の建造に乗り気では無かった。
縄張りが狭い地中海とアドリア海だった為、基地航空隊の援護で十分というのがその理由らしい。
しかし、地中海を跋扈するイギリス空母への対応に迫られ、認識を改めて建造を進めていた空母がアキラである。
「大型客船ローマ」を改造した空母で、基準排水量は約23000トン、速力30ノット、搭載機は約50機というなかなかのスペックであったという。
史実では完成することは無かったのだが、本作においては援軍としてその勇姿を披露してくれるのだ。
登場するマップは確か「ゼーベーア」だったと思う。
同じ未成空母である「グラーフ・ツェッペリン」が毎回登場しているんだし、アキラも登場して良いだろう。
・・・のだが、なんと私が知る限り、このタイトルのこのマップでしか登場しない。
他にもイタリア海軍が登場するマップはいくらでもあるのに、何故こんなにもレア物扱いなのだろうか・・・?
もしかしたら「4」とか「5」でも登場するのかなぁ? でも他では一度も見た事が無い。
おそらく、シリーズのファンの中でも知らない人が多い気がする。
ここまで冷遇(?)されている理由は、全くもって謎である。
前述の様に他のタイトルでも出てくる可能性は有る。
もし見かけたら教えて欲しい!
アドバンスド大戦略シリーズまとめ ~シリーズ最高傑作は?~
長々とアドバンスド大戦略シリーズを紹介してきたわけだが、如何だっただろうか?
1人のファンとして、少しでもこのシリーズに興味を持ってくれたのなら嬉しい。
このシリーズは一作目のメガドラ版から最終作(2025年現在)のアドバンスド大戦5まで、およそ15年にわたり10作品ほどが発売されている。
間違い無く戦略SLGを代表する名作シリーズの一つだが、関連タイトルが多いとなると「どれがシリーズ最高傑作なのか?」という点が気になってくるだろう。
結論から言ってしまうと、各タイトルに独自の個性が有る以上、プレイする人の価値観次第で決まる。
しかし、それだと身も蓋も無いので、ゲームの方向性毎にベストタイトルを考えてみよう。
未だに初代メガドラ版をこよなく愛する人は多い。
となると、メガドラ版の完成形と言える「アドバンスド大戦略98」が最高傑作だという見方が出来る。
直接的な続編である「アドバンスド大戦略98ツヴァイ」は、上でも書いたように、どちらかというと「2001」の系譜に含めるべきかもしれない。
判断が難しい所だが、メガドラ版の系譜にするならこちらがベストとも言えるだろう。
収録されているマップやユニットのボリューム、システムの成熟度など、総合的なバランスで言うなら「アドバンスド大戦略2001」が最高傑作と言えるだろう。
もはや初心者お断りの敷居の高さになっているが、本作を支持する人は多いと思われる。
「アドバンスド大戦略4」は外交や内政的な要素も盛り込み、軍団の編成や兵器の開発・生産なども任意に行えるなど、自由度やマニアックさはではシリーズ随一である。
敷居は更に高くなったが、面白さも抜群で有り、本作こそが最高傑作という人も居るだろう。
また、簡略化しすぎて難易度が低くボリューム不足という点は否めないが、取っつきやすさという点で見れば「ワールドアドバンスド大戦略」を推す人も居るかも知れない。
・・・シリーズの各タイトルどれもが個性的で面白い。
なので、結局「どれもが名作でどれもが傑作。その人次第である。」という、最初に言った結論に帰結するのである!
やはりシリーズのファンならば、全体タイトルを揃えてやり比べするしかない!
初代のメガドラ版はもちろん、シリーズ全体で見ても、既にレトロゲームの域に片足を突っ込んでいる。
PC版などは価格が高騰しており、今から入手するのはなかなか難しい状況だ。
しかし、チャンスは有るはずだ!
もしプレイする機会があれば、是非とも寝る間も惜しんで堪能して欲しい!
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