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高千穂町と豊後大野市の境にある尾平越(おびらごえ)登山口

「古祖母山(ふるそぼさん・1633m)」は宮崎県と大分県の県境に跨がる祖母・傾山系に属する山の一つである。
宮崎県の最高峰として知られる「祖母山(1756m)」と名前が似ているが全く別の山なので注意だ!
もっとも、両者は直ぐ近くに有るので縦走で登るのも楽しい。
名前の由来となった伝承でも関係が深いので、この辺の事情を調べてみるのも良いだろう。
前述の様に古祖母山は宮崎と大分の県境付近にある為、双方からアクセスすることが可能だが、今回は宮崎(熊本も含む)方面からのアクセスルートを紹介しよう。
まずは国道218号線や九州中央道などを使用して宮崎県高千穂町に来る。
そして「馬門交差点(まかどこうさてん)」から「天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)」方面へ進もう。
この道は「大分県道・宮崎県道7号緒方高千穂線」という名称で、別名「ひむか神話街道」と呼ばれている様だ。
登山口付近には何も無いので、食事や買い物などは馬門交差点付近にある「ジョイフル宮崎高千穂店」や「ファミリーマート高千穂馬門店」を利用しよう。
「大分県道・宮崎県道7号緒方高千穂線」に入り五分ほども進めば「天岩戸神社」に到着する。
高千穂峡などと並ぶ高千穂町の観光名所なので、登山の帰りに是非立ち寄ってみよう。
そこから先は山間部の隘路となるが、7号線は基本的に舗装路なので悪路という程では無い。
対向車に注意しつつ進もう。


馬門交差点から30分程進むとトンネル「尾平越隧道」が現れる。
ここが宮崎県高千穂町と大分県豊後大野市の境になっており、トンネルが跨いでいるのが祖母・傾の縦走路だ。
ここが「尾平越(おびらごえ)登山口」で、トンネルの手前側(宮崎県側)に駐車スペースが有る。
大分県側にも狭いながらも駐車スペースが有り、そこから縦走路へ登るルートも有る(有った?)様だが、地図では廃道となっている。
基本的には宮崎県側から登る事になると思われる。




前述の様に尾平越登山口には駐車スペース以外は何も無い。
トイレすら無いので、買い物やトイレは高千穂町や豊後大野市の市街地で必ず済ませておこう。


尾平越登山口の駐車スペースは十分な広さがあり、軽く30台ほどは駐車可能だ。
なお、ここは単なる駐車スペースでは無く、実は奥の方へ向かって林道が続いている。
その先には古祖母山と同じく祖母傾縦走路の途上にある「障子岳」へ登る「土呂久(とろく)橋登山口」が有るが、 あまり道路状況は良くない様だ。




駐車スペースの奥に登山口が有り、手動カウンターが設置してある。
ここから稜線上の「尾平越」まではおよそ30分程だ。
なお、道路の反対側にも登山口が有り、そこから稜線へ登る事も出来る。
本谷山・傾山方面へはそちらの方が近い。


稜線への道は明瞭で目印も豊富に設置されてある。
迷うような場所は無く、勾配も特にキツくないのでのんびり登ろう。




傾斜は比較的緩やかだし道も明瞭。
うむ・・・悪くない登山道だ!
これから始まる稜線歩きへのウォーミングアップに好適な道である。


登山口から約30分、空が明るくなってきたら稜線に到着。
ここが「尾平越(おびらごえ)」である。
ここで縦走路と合流し、向かって左側が古祖母山・祖母山方面で、右側が本谷山・傾山方面である。




尾平越に設置された看板の一つには水場と書いてある。
しかし、幾つかの地図を見たところ、水場に関する情報は無かった。
テント泊で縦走する場合は、水場が何処にあるかを入念に確認しておこう。


尾平越の広場には謎の残骸が・・・
陶器のように見えるが、送電線などに使用されるアレ(名称がわからん)の様にも見える。
その向こう側には道にも沢にも見える物が続いている。
今は廃道になっているという、豊後大野市側から登ってくるルートの跡だろうか?


九州の春山と言えばアケボノツツジ!
祖母・傾の縦走路でもそこかしこで咲き誇っておられますな。
祖母山や大崩山など、この付近の山々ではゴールデンウイーク辺りがアケボノツツジの見頃だ。
天気も安定しているので、是非とも足を運んで見よう。


この付近の稜線は地形が穏やかでこれと言った難所も無い。新緑に包まれて気持ちの良い縦走が出来る。
春の息吹の中、オッサンの足取りは軽い。
この辺の雰囲気は、何となく丹沢・大倉尾根にある堀山の家の手前辺りに似ている気がする。


右手側に特徴的な形の山が見える。恐らくあれは祖母山だろう。
健脚者なら尾平越登山口からの祖母山往復も可能だ。


うーん、やはりこの辺は大倉尾根(の緩やかな部分)に似ているな。
久しぶりに丹沢に行きたくなってきたぞ。
本当に緩やかで気持ちの良い稜線だ。
登山口から稜線までも近いし、登山初心者にも良さそうなルートですな。


途中で三角点を発見。
足下には看板が設置してあるが、文字が消えていて何と書かれてあったかは不明だ。
地図にも特に何も情報が無いが、おそらく「1231m三角点」ではないかと思われる。


尾平越が標高1214m、古祖母山が1633.1mなので、標高差は約400m程だ。
全体的に傾斜は緩やかで、特に難所と言うべき箇所は無い。
往復4時間程といったところなので、日帰りの登山入門に好適だ。
縦走路途中の展望台から祖母山方面を眺める


今回のコースの中間付近、標高1430m辺りに展望台がある。
看板が設置して有って分かりやすいし、縦走路からは直ぐなので是非立ち寄って見よう。


展望台からは祖母山方面の展望が良く、縦走路とその途上に有る山々がよく見える。
頂上付近まで樹林帯に覆われた祖母山は、森林限界を超えた日本アルプスの山とは違った趣がある。
(厳密には祖母山の頂上付近は全周が開けているが。)


祖母山の手前側には特徴的な大岩が見える。
あれは「天狗岩」と呼ばれる物で、豊後大野市側から登る「黒金山尾根コース」があの付近で縦走路と合流している。


足下にたくさん転がる松毬(?)が豊かな自然を物語っておりますな。
倒木に無数に付着した(?)フジツボのような物は何だろうか。
付着と言うより、元々こういう形状をした枝なのかもしれない。


縦走路を脇の大岩が、まるで切断でもされたかの様に鋭利な断面を見せている。
登山道を通すために切断した様にも思えるが、少し横を迂回すれば済む話しなので、偶然の産物だろうか?
そにしても穏やかで気持ちの良い縦走路だ。
秋頃に来てもさぞかし紅葉が美しそうですな。
梯子マニア大歓喜! 貴重な梯子場を満喫


あああ! 梯子場だ!!
とても小ぶりな梯子であるが、本日のルートにおいてはとても貴重な梯子場なのも事実。
梯子マニアの私としては大いに歓迎するところである。




さらに梯子が出現!
今度は何処に出しても恥ずかしくない、実に立派な長梯子である。
大崩山は別格だが、祖母山周辺には梯子場が点在しており、縦走に程良いめりはりを与えてくれる。
設置・整備してくれる方々への感謝を込めて、有り難く通過させていただこう。




ゴールデンウイークという事もあり、美しい新緑が縦走路を彩っている。
広葉樹がほとんどなので、秋頃に来ると紅葉が素晴らしいでしょうな。


向かって左が天狗岩、右が祖母山である。
見る角度にも拠るが、どちらも特徴的な形状をしているのでよく目立つ。
古祖母山からのコースタイムは天狗岩までが2時間半、そこから祖母山までが1時間半程だ。
途中には梯子場が何ヶ所か有るが、全体的に歩きやすい。
エスケープルートも豊富に有るので自分なりのプランを練って歩いてみよう。
南側の展望が開けた古祖母山山頂




尾平越登山口から約2時間、稜線に出てからは約1時間半程で「古祖母山(ふるそぼさん・1633.1m)」に到着。
三角点は縦走路の直ぐ横に有る。
頂上周辺は篠竹をはじめとした樹木が生い茂っている様な資料も有るが、実際はご覧のように結構開けており、特に南側の展望が良い。
大崩山もそうだが、かつては生い茂っていたはずの篠竹はほとんど姿を消している。
季節のタイミング的にそうなのか、それとも気候の変動やシカの食害などに起因する物なのかは不明だ。




この日は雲が多くてあまり遠くまでは見渡せなかったが、前述の様に南側の展望が良い。
遠くに見える橋梁は「上岩戸大橋」だろうか?
頂上で寛いでいると何組かの登山者がやって来たが、その中の何人かは祖母山や傾山などへ向かう縦走者だった。
この祖母・傾縦走路には近隣の山や登山口とを結ぶ分岐がたくさん有り、日帰りから長期縦走まで様々なプランが組める。
1週間くらい掛けてじっくり縦走してみたいものだ。


無事下山して尾平越登山口に戻って来ると、出発時は十数台程度だった車が数倍くらいに増えていた。
そこまで多くの人とすれ違わなかった気がするが、逆方向の本谷山・傾山方面へ向かった人も多いのだろうか?
少々タフなプランになるが、健脚者ならば早朝から登れば祖母山・傾山共に日帰りできる場所に有るので、ここから登る人は結構多いのかも知れない。
高千穂町の市街地からのアクセスも比較的良いしね。
帰宅の準備をしていると、通りかかった車から人が降りてきて、「こんな山の中で何かやっているのですか?」と訪ねてきた。
なんでも、ドライブ中に突然たくさんの車が停車しているのを見かけたため、何かイベントでもやっているのかと思ったそうだ。
確かにこの車の数を見れば、何かのイベント会場かと思っても不思議は無いな!
「いや~ここは祖母山とか傾山とかに登る為の登山口でしてね!
週末や祝祭日にはこんな感じでたくさん来るんですヨ! ハッハッハのハ!」
そんな感じで暫く世間話をして別れた。
彼らはこれから高千穂観光に行くそうだ。 楽しんでね!
【古祖母山】尾平越コースまとめ
今回登った古祖母山は、祖母山から傾山、さらには大崩山などに連なる縦走路に位置する山の一つだ。
上記の山々に比べると知名度などでは一歩譲るが、比較的アクセスも良く、頂上からの展望も良好。
コースも明瞭で、際だった難所も無いため初心者でも歩きやすい。
また、登山口やルートが複数存在するため、近隣の山と絡めた本格的な縦走まで楽しめる点も大きな魅力だろう。
高千穂町には多くの観光名所がある為、登山の前後に観光を楽しむのもオススメである。




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