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大崩山は美しい自然と高難易度のルートが待ち受ける、九州随一の名峰・秘境!
「大崩山(おおくえやま)」とは、九州の宮崎県に有る山で、標高は1644m。
山の全域が祖母傾国定公園に含まれ、日本二百名山やユネスコエコパークにも指定されている。
難易度の高い山として有名だが、名前からして既に難しく、初見で「おおくえ」と読める人は少ないだろう。
宮崎県には他にも「行縢(むかばき)」や「祝子(ほうり)」など、難解な地名が色々有る。
大崩山の名前の由来には諸説有る様だが、露出している巨大な花崗岩が、まるで山体が崩れているかのように見える事から付けられたと言う説が有力なようだ。
この花崗岩こそが大崩山の主役で、遠くから眺めて感動した後は、その上を自らの足で歩いて再び感動する事になる。
素晴らしい名峰だが難易度は高く、体力面に加えて高い技術力も求められる。
大崩山は日本アルプスや八ヶ岳連邦の多くの山よりも難易度が高く、それらよりも標高が低いからと侮っていると大変な目に遭うだろう。
コースタイムや難易度、核心部の危険さはルートによって異なるが、全般的に難易度が高く、危険箇所も多い。
6~8時間程度を行動できる体力、岩場や梯子場等を確実にクリアできる技術と精神力が必要だ。
特に深く切れ落ちている危険な難所が続くため、高所が苦手な人は注意してほしい。
登山初心者や大崩山初挑戦の人がソロで行くのはおすすめしない。
それらの難所を越えて得られる達成感と絶景を味わえば、必ずや大崩山の虜になることだろう。
私は八ヶ岳連峰や日本アルプス等も経験しているが、それらと比べても全く引けを取らない、全国レベルの名峰だと確信した。
オススメの山を全国から選べと言われたら、間違いなく大崩山をその一つに加えると思う。
九州遠征してでも登る価値はアリ! 自信を持ってオススメできる名峰だ。
魅力的で高難易度の大崩山を満喫するためには、事前に詳細な情報を得ることが何より重要だ。
当サイトでは、実際に登った者にしか分からない、豊富で有用な情報をお届けする。
大崩山に限らず、登山道は台風などの影響で付け替えや通行止めなどが頻繁に起きる。
必ず事前に最新の情報を確認しよう。
九州屈指の大自然! 大崩山を彩る圧倒的な巨岩・美しい渓谷・豊富な植物
大崩山は標高1700m弱とさほど高い山ではないが、絶景ポイントが豊富に有り、頂上付近では九州内の山々も見渡せるため、展望を大いに楽しむことができる。
祖母山や傾山、お隣大分県の九重連山など、遠方の展望も楽しめるが、遠くの景色よりも大崩山その物の景観が何より素晴らしい!
豊かな自然と圧倒的な巨岩が織りなす素晴らしい展望が味わえる。
難所を越えた先に有る絶景と自然の美しさは、全国レベルの名峰と断言でる。
地形的にも体力的にも難易度は高く危険な箇所も多いが、それ故に歯応えと達成感も格別だろう。
難所に挑む歯応えを求める人、渓流の風景が好きな人などにお勧できる名峰だ。
広大な大崩山には各地を巡る多彩なルートがあり、季節や目的などに応じて色々なプランが組める。
絶壁からの展望を楽しむルートも有れば、風光明媚な渓流沿いのルートも有る。
ここでは、大崩山の代表的な景観をいくつかご紹介しよう。


大崩山を象徴する名所は多数有るが、中でも有名なのはこの二箇所。
ガイドブックや九州の山々を紹介する文献などで良く出てくる風景だ。
左は「小積ダキ」と呼ばれる花崗岩の巨岩で、右は「七日廻り岩(なのかまわりいわ)」と呼ばれるこれまた巨岩。
人間の何百倍も有る超巨大な大岩で、途方も無い大きさに目が眩みそうになる。
「ダキ」とは、崖や岩壁を意味する言葉だ。
大崩山の最大の特徴は「絶景を眺めて終わりでは無く、そこがルートに組み込まれている」という点で、絶景を遠くから眺めた後は、今度はその場所から景色を眺めるという訳だ。
なお、道中の看板には「小積ダキ」などの固有名詞が書かれてあるので、それらが何を意味するかは事前に確認しておこう。
この二箇所は特に有名なので、実際に目の当たりにした時は思わず感動間違い無し。




大崩山には様々な名所が有るが、やはり最大の見所は各所に点在する巨岩だろう。
大きさが数十~数百メートルも有る花崗岩の巨岩を目の当たりにすれば、自然がいかに雄大で美しい物であるかを知る事ができると思う。
よく「人間なんてちっぽけな存在だ」という表現が使われるが、それを実体験できるのが大崩山だ。
とにかく巨大で雄大、見る者を圧倒するスケールなのだ。
ここまで雄大な巨岩が堪能できる山はそうそう無い。岩稜・巨岩が好きな人にはたまらない。




大崩山というと険しい岩場の絶景が有名だが、一方で美しい渓谷や滝も見事。
登山口付近を流れる祝子川は巨岩が転がる荒々しい川だが、ある程度奥に入ると一転して浅くなだらかな地形となり、そこに点在する滝の数々が実に美しい。
「ナメ」と呼ばれる平らな川底も見事で、渓流靴を履いて沢の中を歩くことも可能だ。
大崩山には花崗岩の巨岩だけでなく、様々な魅力・楽しみ方が有る。
巨岩と渓流、植物と氷瀑、実に豊富な魅力が詰まった山と言える。




絶景が注目されがちな大崩山だが、多彩な植物群も見所の一つ。
特に春にはリンドウやアケボノツツジなどが咲き乱れ、山の各所は美しく染まる。
紅葉の時期も素晴らしく、赤く染まった紅葉のトンネルをくぐってみては如何だろうか。
標高がそこまで高くない山なので、紅葉の時期は10月~11月頃にピークを迎える。
また、頂上付近の展望所からは、祖母山・傾山・阿蘇山・九重連山などの名峰が一望可能!
特に空気が澄み渡る冬場がオススメだ。(コースによっては凍結の注意有り。)
アケボノツツジのピークは4月下旬~5月上旬の丁度ゴールデンウィークの頃。
紅葉のピークは10月中旬~11月上旬頃。(*気象により多少変動有り。)
冬期は氷瀑を求めて大崩山に来る人も居る。
主要コースからマイナーコースまで、大崩山を彩る豊富なルート
大崩山は地形や自然が多彩な山だが、一方で登山道もたくさん有り、目的やスキルに応じて様々な楽しみ方が出来る山である。
多くの登山者が歩く人気のコースから、ほとんど人が立ち入らないマイナーコースまで色々有り、一度や二度では味わい尽くせない奥深い山と言えるだろう。
このページでは主要各コースの概要を紹介しているので、気になるルートが有ったら各詳細ページを見て欲しい。
実際に大崩山を歩き回った私が、多数の写真を交えて攻略情報をお届けする。
【 湧塚(和久塚)尾根コース 】 一番人気だが難易度も高いコース




「湧塚(わくづか)コース」は大崩山の主要コースの一つで、案内板や資料によっては「和久塚」と表記されることも有るので注意してほしい。
数あるコースの中では最も人気の有るコースの一つで、谷を挟んで併走する「坊主尾根コース」を組み合わせた周回ルートで登られることが多く、シーズン中は多くの登山者で賑わう。
コースの大半は樹林帯の中だが、絶景の大展望が堪能できる展望所が点在し、終始飽きること無く登る事が出来る楽しいコースだ。
一方、標高差は1000mを越え、ルート内には急登が多数存在する。
しかもロープや梯子を駆使する場面が多く、体力的にも技術的にも難易度が高い危険なコースでもある。
一応難所を迂回するルートも有るが、絶景ポイントの多くは難所を越えた先に有る為、大崩山を満喫するためには、これらの難所を越えていけるスキルが求められる。
コースの序盤には大規模な徒渉も有る為、雨期はもちろん、大雨の後などは注意が必要だ。
橋の類は設置されていないので、くれぐれも無理はしないように。
湧塚尾根コースと坊主尾根コースを登る際は、自身の体力・装備・経験を充実させることはもちろん、大崩山に精通した経験者と同行する事を強くオススメする。
また、その地形や難易度により、このコースではヘルメットとグローブの着用を推奨している。
湧塚尾根コースは大崩山屈指の人気コースだが、初心者が行く場合は注意が必要だ。
可能な限り大崩山の経験者かガイドと共に入山しよう。
序盤に祝子川の徒渉地点が有り、増水時の通行は極めて危険だ。
また、岩稜帯は濡れると滑りやすく、滑落の危険も高まる。
雨天及びその直後の入山は遭難の恐れが有るので避けよう。
■累積標高差:約1130m(片道)
■歩行距離:約10km
■コースタイムの目安:約6~8時間
■オススメシーズン:春や秋(冬は凍結、盛夏は暑さに注意)
■見所:各展望所からの絶景。
■危険箇所:岩場の断崖絶壁や梯子場・ロープ場。迷いやすい樹林帯など多数。
■難易度:★★★★★
湧塚尾根コースに関しては以下のページで詳細を解説している。

【 坊主尾根コース 】 湧塚尾根コースと並ぶ人気と難易度




小積谷を挟んで前述の湧塚尾根と併走するのが「坊主尾根コース」だ。
大崩山では湧塚尾根コースと並んで人気があり、祝子川登山口を起点とし、この両コースを結んで周回するプランが最も人気が有る。
どちらを登りに使っても良いが、一般的には登りに湧塚尾根コースを、下りに坊主尾根コースを使う人が多いようだ。
なお、登山口から大崩山荘までの区間は湧塚尾根コースや三里河原コースと共用になっている。
湧塚尾根コースと同様に坊主尾根コースも難所が多く、ロープや梯子が大量に存在し、さらに大規模な徒渉とトラバース地点も有るなど、総合的な難易度はこちらの方が高い。
湧塚尾根コースは難所の湧塚群を迂回するルートが有るが、坊主尾根コースには基本的に迂回路は無く、そういった意味でも、このコースは大崩山の中で最も難易度が高いルートだと言る。
坊主尾根コースでもヘルメットとグローブの着用を推奨する。と言うより必須と言える。
また、悪天候時やその直後には増水に注意しよう。
坊主尾根コースの特徴も湧塚尾根と一緒で、高い人気と高い難易度を誇るコース。
危険箇所が多くやはり初心者にはハードルが高いので、経験者の同伴を推奨。
コースの大半が急斜面であり、岩の上を歩く危険箇所も多い。
また、徒渉地点も有ることから、雨天時及び直後の増水時は危険なので入山は避けよう。
■累積標高差:約1130m(片道)
■歩行距離:約10km
■コースタイムの目安:約6~8時間
■オススメシーズン:春・秋(冬は凍結、盛夏は暑さに注意)
■見所:各展望所からの絶景、歯応えの有る地形。
■危険箇所:像岩トラバースや徒渉地点など多数。
■難易度:★★★★★
坊主尾根コースに関しては以下のページで詳細を解説している。

【 宇土内谷コース 】 初心者でも安心の入門コース




大崩山のコースの大半は祝子川登山口を起点としているが、全く異なる宇土内谷登山口を起点とするのが「宇土内谷(うどうちたに)コース」だ。
「上鹿川(かみししがわ)コース」と呼ばれる事も有るが、バリエーションルートである「鹿川越コース」とは無関係なので注意。
大崩山の名物である岩場の絶景や渓谷などは無く、歯応えや展望の面では見所が無い。
しかし、距離が短く危険な難所も無いため、登りでも二時間程度で登頂可能だ。
春にはツツジが登山道を彩り、近隣の鹿納山を絡めた縦走も楽しめるなど、このコースならではの魅力が有る。
コース自体には難所が無く、登山の経験が浅い初心者でも十分登る事が出来るが、登山口までが非常に遠いという点が問題。
最寄りの主要都市である延岡市の市街地から車で二時間ほどかかり、後半は荒れた林道が続くので、対向車とのすれ違いはもちろん、落石や凍結などにも注意しよう。
宇土内谷コースは初心者でも問題無く登る事が出来る易しいルート。
ただし、途中で高難易度ルートに迷い込まないように注意。
登山口へのアクセスが悪いというのが最大の問題点である。
■累積標高差:約650m(片道)
■歩行距離:約6.5km
■コースタイムの目安:約4時間
■オススメシーズン:春・秋・冬(盛夏は暑さに注意)
■見所:初心者にも優しい穏やかな地形と美しい植物。
■危険箇所:特になし。強いて言うなら登山口までのアクセス路。
■難易度:★☆☆☆☆
【 三里河原コース 】 渓谷に魅了される癒やしのコース




危険な難所が続く湧塚尾根・坊主尾根両コースとは事なり、一転して穏やかな渓谷沿いの山歩きが楽しめるのが「三里河原コース」だ。
長く続く渓谷が「三里(約12km)ほどありそうだ」というのが三里河原の由来だそうだ。
登山口付近では荒々しかった祝子川が、三里河原付近では一転して穏やかで浅い渓流となり、「なめ」と呼ばれる美しい地形が堪能でる。
渓流のあちこちに点在する滝も見事で、渓流靴が有れば川底を歩くことも可能だ。
三里河原自体には難所は無いが、大崩山荘の分岐から三里側の入り口まの間に梯子やトラバースなどの難所が有るため、決して簡単なコースとは言えない。
また、コースの奥まで行くと湧塚尾根コース等と同じくらいの時間が必要なので、早立ちはもちろんのこと、何処で引き返すかを事前に決めておこう。
三里河原コース自体はさほど難易度は高くないが、そこに至るまでに難所が有り、コースの全長も長いので注意が必要だ。やはり初心者は経験者と一緒に行った方が良いだろう。
渓谷沿いを歩くコースなので、他のルート以上に天気の影響を受けやすい。
悪天候時はもちろん、その直後の増水時には絶対に立ち入らないようにしよう。
■累積標高差:約800m(片道)
■歩行距離:約11.5km
■コースタイムの目安:約7~8時間
■オススメシーズン:春・秋・冬(冬は凍結、盛夏は暑さに注意)
■見所:ナメをはじめとした渓流ならではの景観。
■危険箇所:登山口~吐野間の岩場・トラバース地点など。
■難易度:★★★☆☆
三里河原コースに関しては以下のページで詳細を解説している。

【 モチダ谷コース 】 色々な楽しみ方が出来る通好みのコース




「モチダ谷コース」は三里河原コースの途中から分岐しているルートで、登山口からは直接アクセスすることは出来ない。
大崩山の中ではマイナーコースだが、コース内に難所は特に無く、登山道も比較的明瞭なので、主要コースを踏破した人がさらに大崩山を堪能したいという場合にオススメだ。
このコースの最大の魅力は三箇所に有る滝で、落差30mの滝から滑り台の様な小さな滝まで、個性豊かな大小の滝が楽しめる。
コース途中の分岐点を活用すれば柔軟なプランを組めるが、個人的にオススメなのは名物「七日廻り岩」の基部を通るコース。
「七日廻り岩」は上湧塚の頂上から北西の方向に見える巨岩で、その巨大な基部を目の当たりにすれば、大崩山の雄大な自然を堪能できるだろう。
モチダ谷コース自体には難所は無いが、このルートを歩くと言う事は下山までに要する時間も相応に長くなるので、時間や体力の配分には注意しよう。
特に夏場は水の消費が激しいため、手持ちの水の量は常に確認を!
モチダ谷コースは難易度自体は低いが、そこに至るまでが遠く、全体の行程を熟慮する必要がある。
初心者はコースが分からない可能性が有るので、やはり経験者の同伴が望ましい。
■累積標高差:約600m(片道)
■歩行距離:約3.5km(七日廻り岩経由は約2.3km)
■コースタイムの目安:約2時間20分
■オススメシーズン:春や秋(盛夏は暑さに注意)
■見所:ルート沿いに点在する美しい滝。
■危険箇所:特になし。
■難易度:★★☆☆☆
モチダ谷コースに関しては以下のページで詳細を解説している。

【 二枚ダキコース 】 年々荒廃が進む廃道同然のコース




大崩山に複数有るコースの中で、かなりマイナーな部類に入るのが「二枚ダキコース」だ。
祝子川登山口からさらに林道を奥に入った場所に登山口が有るのだが、そこに至る林道は朽ち果てており、登山を開始する前から既に大冒険が始まっているという有様!
しかし、朽ち果てた林道には得も言われぬ魅力があり、廃林道マニアにはたまらない場所だ。
肝心の登山口は非常に分かりにくく、登山道も迷いやすい樹林帯、歩きにくいガレ場や急登など、全く油断できない歯応えの有るルートとなっている。
二枚ダキコースには坊主尾根コース等の様な危険な難所は無いが、人がほとんど入らないルートなので、道迷いや万が一のリスクが存在する。
二枚ダキコースに挑む際は、必ず事前にコースの概要と地形を確認しておこう。
このコースも初心者向きでは無く、大崩山に精通したベテランと同行する事が望ましい。
また、林道の奥までは車で入れないので、往復2時間程度林道を歩く事になる。
林道及びコースの途中に大きな崩壊地が有り、日々崩壊が進んでいる。
迂闊に入り込むと遭難の恐れがあるため、基本的には「廃コース」と認識した方が良いだろう。
初心者・ベテランという以前に立ち入ること自体が危ぶまれる危険なルートと言える。
■累積標高差:約1000m(祝子川登山口から・片道)
■歩行距離:約12.6km(林道は約8km)
■コースタイムの目安:約6時間(林道往復2時間を含む)
■オススメシーズン:夏以外(盛夏は暑さや笹藪に注意)
■見所:廃林道の雰囲気。ルートファインディングの楽しさなど。
■危険箇所:迷いやすい尾根道や樹林帯、崩壊した林道など。
■難易度:★★★★☆
大崩山における登山道の整備状況を知っておこう
大崩山はズバリ「初見殺し」の山で、碌に情報収集せずに入山すると、コースを間違ったり、体力や時間が尽き果てて遭難しかねない難易度の高い山だ。
また、市販の地図は情報が不足しており、頼り切ってしまうのは問題がある。
地図によっては細かい迂回路やマイナールートが記載されていない点に注意しよう。
例えば「山と高原地図」では「祖母・傾・大崩山」に収録されているが、残念ながら大崩山に関しては情報が不足しており、特に多数有る細かい分岐に関する情報が足りない。
個人的には大崩山だけで一冊に纏めて欲しい位だ。
もちろん地図は必携だが、不足分を他の媒体で補う必要がある。
頂上へ向かう予定なのに三里河原方面へ進んだり、最大の目玉とも言える和久塚や小積ダキなどの展望所を見落とす人が多い模様だ。
まずはコース上に設置してある案内板に関して解説しよう。
近年流行っている登山アプリで使えるコースマップは確かに便利なのだが、大崩山に関しては細かいコースや分岐の見極めに関して、そこまで頼れるかというと疑問が残る。
「大まかな場所は合っているんだけど、実際にどこが踏み跡なのか分からない」と言う事も有りうる。
アプリに頼りすぎず、目の前の地形からコースを見極める力が求められる。
大崩山各ルート上の各種案内板の整備状況


大崩山にはコースや分岐が多数存在し、その付近には案内板が設置されているが、その内容はルートや場所によってまちまちだ。
この二つは祝子川登山口と山頂を結ぶ「坊主尾根コース」と「湧塚尾根コース」の途上に設置されている案内板で、大きくて視認しやすく、見落とすことはまずない。
この両コースは大崩山で最も人気の有るコースなので、登山道も整備状況も良い。


こちらの二つは「宇土内谷コース」と「三里河原コース」に設置されている案内板だ。
この両コースは坊主・湧塚コースに次ぐ人気のコースなので、整備状況もそれに準じている。
先ほどの案内板とはタイプが異なるが、同様に視認しやすいため、普通に歩いている限りはまず見落とす事は無いだろう。


左は三里河原コースの途上に有る案内板だが、先ほどの物と比べると随分と簡素な作りだ。
三里河原コースはかなり奥深く、進むに従って踏み跡が不明瞭になり、案内板も奥の方までは整備されていない。
右の物は二枚ダキコースへ続く林道に設置されている案内板で、やはり簡素な作だ。
奥深い場所やマイナーコースにはほとんど人が入らないため踏み跡が薄く、明瞭な目印が設置されているわけでは無いという点に留意してほしい。
朽ち果てていて自然に溶け込んでいる看板も有るので要注意。
多彩な色が使われている目印のテープやケルンなど






登山道の目印と言えば、看板よりもテープの方が数が多くてお馴染みの存在だ。
大崩山でも各コースに多数のテープが設置されている。
大崩山のテープは近年ピンクが主流となっている。
ピンクのテープは樹林帯でもよく目立つのでありがたい存在だ。
一方、他の色のテープも一部残っている。
なのでピンクを意識しすぎると、他の色のテープを見落とすかもしれない。
特定の色に気を取られないようにしよう。
崩落などでコースが付け替えられた場合、廃道となったコースにはピンク以外の古いテープが残っている場合がある。
ピンク以外のテープを見かけた場合、その先が正しいコースなのかの確認をしよう。
また、テープだけでは無く、岩や樹木などに塗料でペイントされた目印や、登山ではお馴染みの石を積み上げたケルンも存在する。
種類や強度にばらつきがある梯子やロープ




これらは湧塚尾根・坊主尾根各コースに設置されている梯子や橋の様子だ。
岩にボルト等で直接固定されていて頑丈で安定している物が有る一方で、樹木にロープで固定した様な不安定な物も有り、その強度・安定性はまちまちだ。




一方、これらのロープや木橋も同じコース上に設置されている物だ。
最低限の強度は有るが、先ほどのボルトで固定された鋼鉄製の物に比べると、やはり強度や安定性で劣るという点は否めない。
土台の部分が宙に浮いていて動く梯子や、今にも折れそうな細い木の枝を支柱にしているロープなども存在している。
この様に、大崩山のロープや梯子は、同じコースでも場所によって強度や安定性はまちまちだ。
取り付く前には必ず状況を確認し、1人ずつ慎重に通過しよう。
大崩山に限った事でないが、間違っても複数人で同時に取り付いたりしないように!
最悪の場合、耐久度の限界を超えて崩壊する恐れが有る。
「梯子やロープは1人ずつ」これは登山における常識だ。
大崩山の技術的・体力的難易度を知っておこう
大崩山は総合的に難易度が高く、日本国内の山の中では間違いなく難しい部類に入ると思う。
登山初心者や体力の劣る人、高所が苦手な人やロープ・梯子場が苦手な人にとっては漏れなく高難易度の山と言えるだろう。
また、細かい分岐や踏み跡が不明瞭な場所も存在するため、ベテランにとっても同様に難しい山だ。
可能ならば大崩山に精通した経験者とパーティーを組んで臨んで欲しい。
初心者のグループ登山の場合はガイドを依頼するのも良いだろう。
祝子川登山口を起点とした主要各コース共に行程が6~8時間と長く、しかも急勾配も多いため、いずれも健脚者向けと言える。
丹沢の大倉尾根や北アルプスの合戦尾根を問題無く登れる程度の体力は欲しい。
私も丹沢に通い詰めるうちに随分と鍛えられた。私の育ての親みたいな場所だ。
私は八ヶ岳連峰の岩稜地帯や北アルプスの三大キレット・剱岳の別山尾根ルートなども経験しているが、それらの経験を踏まえても、大崩山は難しい山だと感じる。
確かに大キレットや別山尾根ルートは危険なルートだが、大崩山は場所によってはそれらよりも危険な場合が有り、全く侮れない山という印象だ。
ルート上には滑落したらまず助からないような危険な場所がたくさんあり、例えば坊主尾根コースの「象岩トラバース」などは、個人的には剱岳の「カニのヨコバイ」よりも怖いと思う。
標高はさほど高くない山だが、難易度は下手な北アルプスの山よりも遥かに高いと言る。
標高や地形などからみると、大崩山は両神山・戸隠山・妙義山などに似ているかも知れない。
勘違いしている人が結構多いが、山の難易度は標高だけでは決まらない。
標高は難易度を決める数ある要素の一つに過ぎないと思う。
大崩山の難所の特徴




これらは大崩山のメジャーコース上に有る梯子場やロープ場の様子だ。
最も人気のある「坊主尾根コース・湧塚尾根コース」を周回するプランの場合、写真の様な梯子場・ロープ場が何十箇所も出現し、まさしく息つく暇も無い。
高所が苦手な人、三点支持の基本を理解できていない人は、そもそも来てはいけない山だ。
自分の実力に見合った山・コースを選ぶのは登山の鉄則である。
大崩山は間違っても初心者が1人で来るような山では無い。


大崩山は巨大な花崗岩で出来た山なので、あちこちにスラブのトラバース地点が存在する。
一応ロープやワイヤー等が設置されているが、中には不安定な物も有り、なにより転落したら最悪の場合死んでしまうような危険な場所ばかりだ。
三点支持の基本を守り、1人ずつ確実に通過する事が肝心だ。
・一度に複数人で取り付くと、梯子やロープが崩壊する危険性が有る。
・その時は大丈夫でも、次回以降の破壊に繋がる恐れがある。


左は「上湧塚」に登るルートで、見ての通りの急斜面をロープで登る。
ここへはルート上無理に登る必要は無いが、絶景を堪能するためにはチャレンジする価値は有る。
右は坊主尾根に存在した梯子とロープが連続する難所だ。
梯子・ロープ・梯子と渡り歩く場所で、途中に有る僅かな足場は「木の根っこ」「岩の段差に堆積した土」という極めて心細い代物であった。
この場所は崩落により現在は迂回ルートが造られているが、この様な頼りない足場を通過する箇所は他にも有る。
大崩山は足だけで無く腕もフル活用するので、腕力も鍛えておこう。


大崩山は水が豊かな山なので、コースによっては大規模な徒渉が存在する。
基本的に橋は設置されておらず(過去には存在したが、台風で流された後は復旧していない)、自分で地形を見極めて通過する必要が有る。
大雨で増水した場合は根本的に徒渉不可能になるので、事前に気象情報を確認しておこう。
増水していない限り、基本的に濡れずに徒渉可能だが、水位と地形は日々変化しているので注意。
岩稜地帯と渓谷が魅力の大崩山だが、それ故に天気の影響を受けやすい。
雨天時や増水時には入山しないことをオススメします。
大崩山に備えてのトレーニングに最適な山はここだ!
大崩山が高難易度の山だという事は前述の通りだが、では、無事に登頂して下山するためにはどうすれば良いのか?
当たり前の話だが、他の山などでトレーニングを積むことが一番だ。
ここでは、個人的にオススメする山・コースをご紹介しよう。
■丹沢・塔ノ岳:「大倉尾根」「表尾根」
■北アルプス:「合戦尾根」「小池新道」「ブナ立尾根」
■八ヶ岳連峰・赤岳:「真教寺尾根」「県界尾根」
急登で知られるこれらのコースを余裕で踏破出来る体力があれば、大崩山にも余裕を持って挑むことが出来るだろう。
■八ヶ岳連峰・赤岳:「真教寺尾根」「県界尾根」
■八ヶ岳連峰:「権現岳 ~ 赤岳 ~ 横岳縦走コース」
■中央アルプス:「空木岳」
■北アルプス:「東鎌尾根(表銀座)」「槍ヶ岳」「剱岳」
赤岳の真教寺尾根・県界尾根は急登に加えて鎖場なども有る為、スキルアップにはもってこいのコースだ。
赤岳周辺はトレーニングに好適な場所と言える。
大崩山の主要登山口へのアクセス方法・駐車場・車中泊・買い物などの情報
大崩山は宮崎県延岡市に有り、宮崎県全体で見ると大分県・熊本県寄りの場所に位置する。
九州山地の奥深くに有り、延岡市の市街地からは車で約1時間程かかる。
最寄りの集落までは宮崎交通の路線バスが有ったのだが、近年廃止となってしまった。
(厳密には路線が短縮された模様。)
柔軟な日程を組める自家用車かレンタカーを利用するのが無難だろう。
なお、大崩山には「祝子川登山口(ほうりがわ)」と「宇土内谷登山口(うどうちたに)」という二つの主要な登山口が有り、ぞれぞれ場所もアクセス方法も全く異なるので注意してほしい。
下山時に間違って違う登山口へ降りてしまわないように注意。
大崩山「祝子川登山口」へのアクセス方法


いきなりだが、大崩山の各登山口には整備された駐車場は存在しない。
また、自販機やトイレなどの設備も一切無いので注意して欲しい。
大崩山の「祝子川登山口」は「湧塚尾根コース」「坊主尾根コース」「三里河原コース」など、主要な各ルートの登山口となっており、ほとんどの人はこの祝子川登山口から入山することになるだろう。
また、「二枚ダキコース」の登山口は、この祝子川登山口を通り過ぎてさらに奥へ進んだ林道の終点付近に有る。
この付近は林道が荒れており、車両での立ち入りは不可能なので注意しよう。
祝子川登山口付近の様子で、ご覧のように駐車場は無く、路肩に路駐する。
ただし、シーズン中はかなり混雑し、場合によっては大体朝5時の時点で一杯になる。
その場合は少し先に進み、橋を渡った先に有るスペースに駐車しよう。
また、登山口の近くに緊急自動車用の転回スペースが有るので、絶対にそこには駐車しないように。
■延岡市方面から
(1)東九州自動車道・九州中央自動車道「延岡インターチェンジ」で下車。
(2)県道207号線を祝子川沿いに遡る。
■大分県方面から
(1)国道326号線(三国街道)を南下し、「道の駅宇目(うめ)」の先にある「下赤(しもあか)稲荷トンネル」の手前を右折。(右折して17km)
(2)県道207号線に合流したら右折して登山口方面へ。
■カーナビは「祝子川温泉」にセット。
■登山口周辺には駐車場・トイレは無し。(路駐スペースは有り)
■最寄りのトイレ・自販機は祝子川温泉。
祝子川登山口へ自家用車で行く場合、東九州自動車道の「延岡インター」で降りて、祝子川沿いに県道207号線を奥へ奥へと進む。
途中で大きな廃校の横を過ぎるが、その直後にあるY字路を右へ進もう。
このY字路に建つのが前泊に便利な「大崩の茶屋」だ。
やがて「祝子川温泉・美人の湯」が見えてくるので、そこから車で10分程で登山口に到着する。
・大崩山周辺に店舗は無いので、買い物は延岡市・大分市・高千穂町の市街地で済ませておこう。
・市街地であれば、24時間営業のスーパー・コンビニ・ファミレスなどが有るので便利だ。
(1)各空港より宮崎空港へ。
(2)空港駅よりJR日豊本線で延岡駅へ。
(3)レンタカーで移動。(以降は上記参照)
関東や中部などの遠方から大崩山に行く場合、まずは空路で宮崎か大分まで移動しよう。
これらの諸空港へは羽田空港や中部空港から主要航空会社が乗り入れているが、中でもオススメなのがソラシドエアだ。
ソラシドエア(スカイネットアジア航空)は九州エリアに多くの路線を持っています。
早割チケットやバーゲンチケットを活用すれば、時には東京-宮崎間を1万円以下で搭乗する事も可能。
LCCの一種ではありますが、手荷物預かりや機内サービス(飲み物の提供)などの基本サービスは無料で行っており、利用満足度にも不満は有りません。
チキン南蛮やレタス巻きをはじめとした美味しい料理やプロ野球のキャンプなど見所もたくさん。
登山好きの人には大崩山の他、祖母山や霧島連山など、九州を代表する魅力的な名峰が色々有ります。
九州・宮崎へ行く際には是非ソラシドエアを活用して下さい。
空港にはJR日豊本線の駅が併設してあるので、そのまま乗り換えてJR延岡駅まで移動しよう。
延岡駅は特急停車駅で、この区間の特急は毎時1本設定されている。
■路線バスは廃止となったので、自家用車かレンタカーを推奨。
■東九州自動車道・九州中央道を利用する場合は延岡インターで降る。
■降りた後は県道207号線をひたすら奥へ。
■カーナビは「大崩山」か「祝子川温泉」にセットすべし。
■買い出しは延岡市の市街地で済ませておくこと。
■飛行機を利用する場合はソラシドエアが便利。
■登山口に駐車場は無いので林道脇に路駐する。ただし、シーズン中はかなり混雑するので要注意。
大崩山「宇土内谷(うどうちたに)登山口」へのアクセス方法


登山口への目印となる「鹿川(ししがわ)渓谷入り口」と、さらに先に有る宇土内谷登山口付近の様子だ。
ご覧のように登山口の周辺は山のまっただ中で何も無い。
鹿川渓谷入り口が最期のトイレ・自販機となるので、必要ならここで済ませておこう。
鹿川越コースは超マイナールートなので、一般にはオススメできない。
登山口付近には駐車場が無いので路駐することになるが、春と秋のシーズン中は混むことが有るので、なるべく早い時間に行動しよう。
■宮崎・大分・鹿児島方面から
(1)東九州自動車道「延岡JCT」から九州中央自動車道(国道218号線)で高千穂方面へ。
(2)県道237号線・県道214号線を経由して比叡山林道へ。
■熊本方面から
(1)九州自動車道「嘉島JCT」から九州中央自動車道へ。
(2)国道445号線・国道218号線を経由して高千穂・延岡方面へ。
(3)県道237号線・県道214号線を経由して比叡山林道へ。
(*2025年現在、九州中央自動車道は全通しておらず、途中で一般道を走る。)
■カーナビは「鹿川渓谷(ししがわけいこく)」にセット。
■登山口周辺には駐車場・トイレは無し。(路駐スペースは有り)
■最寄りのトイレ・自販機:鹿川渓谷入り口
さて、宇土内谷登山口へのルートだが、どうやって行けば良いのか?
「宇土内谷」ではナビに出てこないだろうし、「大崩山」だと祝子川登山口が出ると思う。
なので、ここは「鹿川渓谷(ししがわけいこく)」で検索して、まずはそこへ向かおう。
宇土内谷登山口は鹿川渓谷入り口からさらに道沿いに進んだ先に有ある。
鹿川渓谷入り口を通り過ぎた後はますます隘路となり、さらに未舗装路区間の悪路が続く。
正直車では来たくない場所なのだが、とでも徒歩では歩けない距離なので我慢するしか無い。
「鹿川渓谷の中に入る」という意味では無く、「入り口をスルーして比叡山林道を更に奥」という意味なので注意。
間違って鹿川渓谷(キャンプ場)の方に入っていかないように。
なお、登山口までの道は狭くて見通しが悪く、しかも未舗装区間も有るので要注意だ。
大崩山の登山口の周辺には基本的に何も無いが、宇土内谷コース登山口の周辺はガチで何も無い。
祝子川登山口ならば、まだ近隣に祝子川温泉や自販機なども有るが、こちらは完全に山のみ。
買い物などは事前に済ませておこう。
■路線バスは無く、タクシーでも遠すぎるので、自家用車かレンタカーで。
■東九州自動車道を利用する場合は延岡JCTから高千穂方面へ。
■九州自動車道を利用する場合は嘉島JCTから高千穂・延岡方面へ。
■カーナビは「鹿川渓谷」にセット。
■買い出しは延岡市か高千穂町の市街地で済ませておくこと。
大崩山周辺の宿泊施設・買い物の拠点
近隣には民宿「大崩の茶屋」「祝子川キャンプ場」等が有る。
以前は大崩の茶屋の近くに商店が有ったが、現在は営業していない。
他は自販機程度しか無いので、買い物は必ず市街地で済ませておこう。
食事は美人の湯に食堂が有る他、各民宿で翌日のお弁当を注文できるようだ。
登山口から登山道を30分程進んだ場所に無人の山小屋「大崩山荘」が有る。
数十人が宿泊可能な大きく立派な小屋で、トイレも有り。
なお、かつて民宿「渓流荘」が有ったが、現在は「カフェ渓流荘」として営業している模様。
大崩山に行った際には是非立ち寄って食事をしていこう。
祝子川温泉「美人の湯」

祝子川登山口から車で10分程の場所に有るのが「祝子川温泉・美人の湯」だ。
登山口へ向かう道路沿いに有るので分かりやすく、下山後の休息や入浴に大変好適だ。
スタッフは大崩山に精通しており、公式Facebookでは関連情報が発信される事も。
かつては私が知る限り最も詳細な大崩山の地図を販売していたが、残念ながら現在では売っていない。
下山後に立ち寄る場合、汚れた登山靴での入店は控えよう。
かつては登山者向けの前泊(車中泊)用に駐車場を開放していたが、現在では行っていない。
夜間は駐車場は施錠されるので注意。
■所在地:宮崎県延岡市北川町川内名10358-10
■アクセス:公共交通機関無し。自家用車推奨。市街地から約50分。
■電話:0982-23-3080
■営業時間:12:00〜18:00
■定休日:水曜・木曜
■入浴料:一般520円・小学生310円
■備考:売店、遊漁券販売
■祝子川温泉「美人の湯」 公式Facebookページ
■延岡観光協会・美人の湯紹介ページ」
民宿「大崩の茶屋」
祝子川温泉から数分ほど手前に位置するのが「民宿・大崩の茶屋」だ。
家族経営の小さな宿だが、地元産の食材を使用した料理や良心的な価格などが評判だ。
一泊二食付きで6300円と大変お手頃価格で、さらに祝子川温泉・美人の湯の入浴券付き。
弁当も300円で注文可能!(最新価格は要確認)
民宿から登山口までの送迎も有るらしいので、詳細は現地に確認しておこう。
地元の人が営む宿なので、当然ながら大崩山にも精通されている様だ。
宿泊した際には色々アドバイスをして貰えるので、遠方から大崩山に挑む人にとって心強い宿である。
■所在地:宮崎県延岡市北川町川内名10506
■アクセス:公共交通機関無し。自家用車推奨。市街地から約50分。
■電話:0982-20-1161
■定休日:現地に要確認
■料金:一泊二食6300円(美人の湯入浴券付き)、弁当300円、要予約
山小屋「大崩山荘」


大崩山に唯一存在する山小屋が、この「大崩山荘」だ。
情報によれば、初代の小屋が台風で倒壊した後、昭和63年に現在の小屋が再建されたとのこと。
通年開放の無人小屋で、有志達の手によって整備されている。
利用料金は無料だが、募金箱もあるので宿泊の際は感謝の気持ちを入れておこう。
祝子川登山口から30分程入ったコース沿いに有り、小屋の目の前が湧塚尾根コース(及び三里河原コース)と坊主尾根コースの分岐点になっているため、前泊はもちろん、数日に分けて大崩山を堪能する場合の拠点として非常に便利である。
ただし、周囲は樹林帯なので存在を知らないと気が付かない可能性も有る。
登山口付近で車中泊するよりは、広々とした大崩山荘で前泊した方が快適だろう。
無人小屋だが内部は2階建て構造でかなり大きく、定員は約60名とのこと。
春や秋のシーズン中は混み合う場合も有るので、仲良く譲り合って利用しよう。
トイレは屋外に有るが、トイレットペーパーは便器の中に落とさないように注意。
分別して別途焼却する方式らしく、中に落とすと詰まってしまう。
その他の利用方法は一般的な山小屋と同様。 マナーを守って利用しよう。
■所在地:祝子川登山口から徒歩約30分
■位置:坊主尾根コース・湧塚尾根コース(三里河原コース)の分岐点
■収容数:定員60名(条件による)
■料金:無料
■管理人:無人
■水場:無し(近隣に祝子川は有る)
■トイレ:屋外に有り(トイレットペーパー要持参)
大崩山の登山シーズン
ほぼ一年を通じて登山可能だが、夏期と冬期は注意が必要だ。
まずは冬期。 南国として知られる宮崎県だが、場所と季節によってはかなり冷え込む。
坊主尾根コース等では真冬に凍結する箇所が有り、アイゼンが有っても危険である。
氷瀑も有り、アイスクライミングの場としても知られている様だ。
宇土内谷コースの周辺ではアイスクライミングに来た人をよく見かける。
一方、夏期は猛烈に暑いため、冬とは違ったまた違った難しさがある。
標高が2千m未満で樹林帯の歩きが多いため非常に蒸し暑く、あまり好適な時期とは言えない。
草木が生い茂るため、登山道の一部が分かりづらくなる点にも注意しよう。
もし夏期に登るのならば、水類を少なくとも3リットルは用意した方が無難だ。
3月~6月、9月~11月頃が一般的な登山シーズン。
アケボノツツジは4月下旬から5月上旬にかけて、大崩山の各所で美しく咲き誇る。
ドウダンツツジ、ヨウラクツツジは5月下旬頃、ササユリは6月頃が見頃。
紅葉のシーズンは10月中旬から11月上旬頃にかけてが見頃。
大崩山に関するその他のアドバイス
ここでは、大崩山に関するその他のアドバイスをめとめている。
安全で快適な山行にするために役立てて欲しい。
大崩山のコースタイム
大崩山には多彩なルートが有るのだが、基本的に非常にコースが長く時間が掛かるので、なるべく早出を心がけて欲しい。
湧塚尾根コース・坊主尾根コースの周回コースの場合、コースタイムを7~9時間と想定し、朝6時までには登山を開始するようにしよう。
中間地点である頂上やリンドウの丘には、遅くとも正午までには到着したいところだ。
上湧塚を過ぎた時点で既に正午に達していた場合、頂上を諦めて下山する事を推奨する。
序盤と終盤は樹林帯を歩くので、暗い時間帯に行動するのはお勧めできない。
もちろんヘッドライトは必須だが、有っても転倒や道迷いの危険が有る。
上湧塚付近から頂上を往復する場合、最低でも1時間は必要。
意外に時間が掛かるので、手前の分岐点に到達した時間で判断しよう。
三里河原コースの場合、モチダ谷出合いで正午に達していた場合はそこで引き返そう。
大崩山でのストックは有効か?
ストックを持ってくること自体は良いのだが、ルートによっては持てあます可能性が高い。
例えば主要コースである「湧塚尾根コース」と「坊主尾根コース」は両手を使う難所が非常に多く、ストックを持っていると出し入れが非常に面倒だ。
特に坊主尾根コースの場合、ストックを使う余地はほとんど無いだろう。
一方、上湧塚~頂上間の上り勾配が結構辛いので、この区間用にストックを持ってくるのも良いだろう。
この場所に来る頃には疲労も溜まっている頃なので、ストックがあると非常に楽になる。
収納するのが面倒だからとストック片手に危険地帯を通過するのは絶対に辞めよう。
危険地帯における必須技術である三点支持(三点確保)が出来なくなる。
最悪の場合、他人を巻き込んで死ぬことになる。 横着な行動は事故の元だ。
坊主尾根コース・湧塚尾根コース共にヘルメットの着用を強くお勧めする。
また、両手を使う場所が多いので、グリップ力の有るグローブが有効だ。
素手で登ると手がボロボロになると思われる。
大崩山の危険箇所
大崩山の各所には絶景ポイントが多数有るが、基本的にその付近は深く切れ落ちた断崖絶壁になっている。
いずれも数十~数百メートル程切れ落ちており、滑落したらまず助からない。
危険な場所には必要以上に近づかないようにする事が大切だ。
特に積雪や凍結の有る冬場は注意しよう。
また、岩をよじ登る場合、登れるかだけではなく、降りる事も出来るかどうかに留意しほしい。
登ってはみたものの、段差が高すぎて降りられなくなる危険性が有る。
他の山にも共通する事だが、岩場は登る時よりも降りる時の方が遥かに危険で怖い。
登る際に不安を感じたら、無理をせずに諦めることが肝心だ。
下手すると進退窮まって身動きが取れなくなってしまう。
大崩山の天気
他の多くの山と同様に、大崩山は悪天候時に登る山では無い。
ルート内には徒渉視点や岩場の難所が多数存在する。
増水時に徒渉するのは自殺行為だし、濡れた岩場は滑落の危険が非常に高い。
県外から遠征してきた場合に悪天候だと諦めきれないかもしれないが、無理に登ると滑落や低体温症などによる遭難が発生しかねない。
また、雨天による霧が立ちこめる状況では折角の絶景もほとんど見えないだろう。
悪天候時には無理せずに出直す勇気を持とう。
なお、大崩山の天気予報に関してだが、延岡市の天気予報を元に判断するのは少々難しい。
延岡市の天気予報は平野部の予報であり、山間部の大崩山には当てはまらない場合が有る。
個人的には「ヤマテン」の予報を参考にしているので、興味があったら参考にして欲しい。
大崩山の概要まとめ
大崩山の概要をご紹介してきたが、大まかにでも「絶景が楽しめそうな山」「難所が多く難しそうな山」というイメージを持っていただと思う。
数ある山の中からどこに登るかを決める際に「百名山かどうか」を基準にしている人が結構居る様だ。
その基準に当てはめると、日本百名山では無い大崩山(二百名山ではある)は候補から外れる場合もあるのではないだろうか。
しかし、そもそも日本百名山というのは個人の評価によって選ばれた物だ。
また、その選定に際しては国内全ての山を登ってから決めたわけでも無いはずだ。
百名山かどうかに拘りすぎると、大崩山の様な名峰を見逃す原因になりかねない。
九州遠征をする際には、祖母山などの百名山のついででもいいので、是非とも大崩山にも登ってみてほしい。
必ずや満足していただけるはずだ。
ただし、前述の様に相応の実力や準備が求められる山で、決して容易な相手ではない。
また、悪天候や冬期など気象条件が悪い際は無理は禁物だ。
最高の条件下で挑めば、他では得がたい素晴らしい体験を得ることが出来る事だろう!
大崩山は文句なしの名峰であり、自信を持ってオススメ出来る山だ。
息を呑むような絶景が各所に有り、素晴らしい思い出を持ち帰ることができるだろう。
ただし、難易度は高く、相応の装備・技術・体力が求められる山でもある。
初心者向きの山ではないので、可能であれば大崩山の経験者と一緒に登ろう。
当サイトでは各コース別の詳細ガイドを載せているので是非参考にしてほしい。
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