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【大崩山】美しい渓谷沿いの「三里河原(さんりがわら)コース」

大崩山イメージ。 大崩山


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渓谷歩きに魅了される大崩山の三里河原コース

三里河原コース_001

日本アルプスや八ヶ岳連邦の山々にも劣らない程、厳しい急登と険しい岩場を持つ大崩山。
一般的な大崩山のイメージは、やはり難易度の高い山という印象が強い様だ。


しかし、大崩山には険しく荒々しいコースと並ぶもう一つの顔がある。
ため息が出るような美し渓谷沿いのルート、それが「三里河原コース」だ。


標高差はほとんど無く、美しく特徴的な地形と豊富な水にとても癒やされる。
大崩山を満喫する為には絶対に外せないコースと言えるだろう。

尾根コースほどの難所は無いが、樹林帯はルートを見失い易く、沢沿いのコースなので増水時は注意が必要だ。


三里河原コース・コースタイムの目安(無雪期・日帰り装備を基準とする。)

■祝子川登山口 → 大崩山荘 : 30分

■大崩山荘 → 吐野 : 60分

■吐野 → モチダ谷分岐 : 60分

■モチダ谷分岐 → 中瀬松谷分岐 : 50分

■中瀬松谷分岐 → 権七小屋谷分岐 : 30分

*このコースは高低差が少ないため、復路も所要時間に大差は無い。


大崩山各コースの登山口へのアクセスは、下記ページで詳細を紹介しているので参考にしてください。

【大崩山】岩稜地帯と渓谷が待ち受ける名峰の各ルートやアクセスなどを徹底紹介。
宮崎県延岡市に有る名峰「大崩山」。九州を代表する名峰であり、険しい登山道を乗り越えた先に待ち受ける絶景の数々を是非一度は体験して欲しい。多彩なコースが織りなす絶景の数々は、来る者を虜にして止まない。


大崩山荘前の分岐で湧塚尾根コースと別れ、三里河原方面へ

三里河原コースの登山口は湧塚尾根コースや坊主尾根コースと同様に「祝子川登山口」で、しばらくは同じルートを歩くことになる。

大崩山荘の近くに有る二度目の分岐で三里河原方面へ進もう。
山荘の裏手に有るトイレは大崩山で唯一のトイレなので、必要な人はここで済ませておこう。


以前は湧塚尾根コースに行く予定の人が間違ってこちらへ進んでしまうことが有ったが、近年は案内板が整備されて分かりやすくなった。


最初は坊主尾根との分岐で、その次に大崩山荘前の湧塚尾根との分岐が来る。
うっかり間違えるとかなりのタイムロスとなるので看板は見落とさないようにしよう。


三里河原コースは大崩山におけるメジャールートの一つなので基本的に整備状況は良好だ。

ただし、中には注意を要する場所も有る。


特に、各所に設置されている樹木を利用した簡易的な作りの足場・橋は歩きにくいので要注意。
腐食や苔むしている可能性も有るので、状態を慎重に見極めよう。


ガレ場の浮石と同様に、体重を掛ける前に固定されているかの確認をすべし!


途中で「喜平越谷」という小さな沢を徒渉するのだが、ここは「木山内岳(きやまうちだけ・1401m)」への分岐点となっている。

向かって右側の沢を登り詰めて稜線に出て、右へと進むと木山内岳へ至る。


木山内岳へのコースはかなりマイナーであり、近年はこのエリアのガイドブックからも記載が無くなってしまった。
登る際はコース状況の確認などをしっかりしてから挑もう。


さらに進むと、岩が露出した場所をトラバース気味に通過するが、この辺は滑りやすいので注意。
ここは常時水がしみ出しており、岩の上の土が流出してしまった様だ。


こういった箇所にはロープが設置されているので活用しよう。


開けた急斜面地帯をトラバース

しばらく進むと森が開けた場所にスラブのトラバース地点が有る。
ここは大崩山有数の印象的な場所で、写真で紹介される事も多い。


一応ロープも有るが、足下の花崗岩はグリップが効いており、高度感もさほど無い。

ロープを使用せずとも問題無く通過できるだろう。


個人的に、三里河原コースで最も危険だと感じるのがここ。

巨大な岩のへりに有る足場を通るのだが、足場の下はえぐれていて地面が無くなっている。
この足場自体がどうやって状態を維持出来ているのかもよく分からない。


おそらく、岩の突起や樹木の根っこに土や枯れ木が堆積して足場になっていると思うのだが、何かの拍子に崩落する可能性も有る。

万が一滑落した場合、祝子川まではかなりの高さが有るので、ここを通過する際は慎重に。


この付近は沢(祝子川)との標高差が多くなっており、登山道からは直接見えない。
所謂ゴルジュ地形になっており、沢登りスポットにもなっている様だ。
ただし、過去に事故なども発生しており、迂闊に近づかない方が良いだろう。


梯子や鎖は三里河原コースでも健在

スラブのトラバースを過ぎると、またしてもスラブのトラバース地点が出現!

傾斜はきついものの、頑丈な鎖とプレートが設置してあり、グリップも効くので難易度は低い。
大崩山には梯子やロープは多いが、鎖やプレートが設置してある箇所は割と少ない。


続いてお待ちかね(?)の梯子場も出現! これぞ大崩山!

三里河原コースは高低差が少なく、梯子場はここくらいしかないので少し寂しい。

この場所に限らず、結構不安定な梯子が多いので通過する際は要注意。


このコースは何度となく支沢を徒渉するのだが、これが意外と侮れない。

水量自体は少なく、大雨の後でもなければ徒渉自体は難しくないが、どこから沢に入り、その後どこに抜けるかが分かりにくいのだ。

他の人も迷ったのか、踏み跡があちこちに有るので、どれを辿るべきか慎重に見極めよう。
対岸の登山道が何処に有るかを先に確認してから通過すると迷いにくい。


「吐野(はくの)」から祝子河原沿いのコースへ入る


岩場の難所を過ぎると樹林帯のやや開けた場所に出るが、ここが「吐野(はくの)」と呼ばれる場所だ。

「鳥獣保護区」の赤い看板が2本建っているので目印にして欲しい。
(古い方はその内に撤去されるかもしれない。)


ここから祝子川に降りて沢歩きが始まる。 三里河原コースは実質的にここがスタート地点だ。


■吐野は「はけの」や「はきの」とする資料も有り、どれが正解かは不明だ。
■なお、この場所はある程度平坦で開けており、幕営した痕跡も見られるが、大崩山では基本的に幕営は禁止されているはずなので注意。



吐野付近の簡単な見取り図を作ったので参考にして欲しい。

「1」の場所に鳥獣保護区の看板や幕営跡が有り、ここから祝子河に入る。
「2」の方向へ直角に下るのだが、ここは傾斜がきつく、上り下り共に注意。
「3」の方向にも踏み跡が有り、斜めに樹林帯を抜けても河原に降りられる様だ。

なお、帰る際に逆方向から歩いてきた場合、この吐野の入り口を見落としやすいので要注意。
入り口を見落として祝子川を下っていくとゴルジュ地帯に入り込んで危険である。


ため息が出るほど幻想的で美しい三里河原

三里河原コースは基本的に穏やかな地形で水深も浅く、増水時以外は河原の中を歩くことも出来る。
ルートは基本的に右岸側に有るが、場所によっては左岸にも踏み跡がある。


全体的に目印が乏しく、川沿いの岩の上にルートが有るのか、樹林帯の中にルートが有るのか、判断に迷う場所が多い。

ルートファインディングをしっかりと行い、慎重に行動しよう。


三里河原コースは基本的に右岸側にルートが有る。
特に徒渉地点は不明瞭なので、地形を見て慎重に判断しよう。


見所の多い三里河原コースだが、時々道路の白線の様なラインを見かけることがある。
非常に興味深い風景だが、何かの断層の跡だろうか?



しばらくはテーブル状のなだらかな川底が続く。三里河原コースの典型的な風景だ。
増水さえしなければ基本的に水深は浅く、渓流靴で歩くのも楽しそうだ。


この穏やかな風景からは想像も付かないが、沢沿いのコースなので大雨の際には濁流が押し寄せる。

その度に地形が大きく変化することも有り、歩ける場所は必ずしも同じとは限らない。


前述の様にこの付近はルートが不明瞭でコースを見失いやすい。
赤系の目印は樹林帯では地形に溶け込んで判別しにくく、特に夏場は分かりにくい。

三里河原コースには極端な難所は無いが、全体的にコースが分かりにくいので注意しよう。


途中の樹林帯(右岸側)には開けた場所が有り、一部の地図にはテント場と記されている。
一方、キャンプ禁止という張り紙も有り、どうなっているのかは判然としない。
しかし、現地にキャンプ禁止の張り紙がある以上、それに従う方が良いだろう。


湾曲した川底や大小様々な滝など、三里河原コースは美しい景観で溢れている。

コースの全長は長いが、見所が多いので時を忘れて楽しめるだろう。


大崩山と言えば春頃に満開を迎えるツツジが有名だが、ここ三里河原コースでもご覧の通り!
河原沿いに咲いている事が多いので、鑑賞する際は足場に気をつけよう。


大崩山を代表する風景・モチダ谷出合いの滝

三里河原コース最大の名所と言えるのが、モチダ谷出合いにあるこの名も無き滝。
三里河原とその周囲の沢には多くの滝が有るが、おそらく一番有名なのがここだろう。


金山谷とモチダ谷が合流する場所に有るなんとも幻想的な滝で、大崩山を紹介する写真でも良く登場する。

小積ダキなどと並ぶ、大崩山を代表する風景と言えるだろう。


この付近の登山道は右岸付近に有り、滝上部の岩がゴロゴロしている辺りに徒渉地点が有る。
モチダ谷コースとは徒渉直後に分岐・合流する。


これは本ルートの徒渉地点から少し下った場所から滝を俯瞰した様子だ。

ルート自体はこの滝が見えない位置を通っており、滝の存在を知らないとに気が付かない可能性が有る。

私も初めて来た時に見落としてしまい、「あれ、あの滝はどこにあるんだ?」と迷ってしまった。

見取り図を参考にして、是非とも見に行ってみてほしい。


この付近の登山道は一旦河原を離れ、滝の手前から右岸の樹林帯の中を進む。
登山道と河原の間には高低差が有り、しかも樹木も多いので滝は視界に入らない。

なので、コース通りに歩いていると、高確率で滝の存在に気が付かない。
(滝の音は聞こえるので、地図と現在地を把握していれば気が付くかもしれない。)

その後「1」の場所でモチダ谷を徒渉した直後が「モチダ谷出合い分岐」だ。
ここでモチダ谷コースが分岐しており、付近の樹木に案内板も有る。


滝を間近で眺めたい場合、樹林帯に入らずに河原を進もう。
この付近の河原には歩ける場所が多いので、地形を見極めてほしい。

一見「2」の場所から滝の先へ進めそうに思えるが、この付近は傾斜のきつい岩場であり、苔むしていて足場が悪いのでオススメしない。
また、「3」の場所は苔むした地面の急斜面で、地面が非常に脆い上に、草や根っこも脆くて手がかりになり得ない。 掴んだそばから千切れてしまう。

無理して登ろうとして滑落すると、高低差の有る河原に転落して大怪我は免れないだろう。
登山道に戻る際は、面倒でもある程度引き返そう。


この滝は三里河原で一番の名所なので見逃すのは惜しい。是非とも堪能して欲しい。
無理をして河原や滝壺に転落しないように注意しよう。予想以上に危険な場所でも有るのだ。


モチダ谷分岐以降は不明瞭箇所が増えるので注意

滝上に有る徒渉地点を過ぎたら「モチダ谷出合い」に到着。
ここで左の方へ「モチダ谷コース」が分岐しており、七日廻り岩や山頂方面へ繋がっている。


ここにある案内板は見落としやすいので注意しよう。


モチダ谷分岐からさらに祝子川沿いに進む。
この辺は登山道が不明瞭で、今回は左岸の樹林帯の中を進んでみた。


全体的になだらかで開けた場所が多く、一見どこでも歩けそうに見てしまう。
一方、道を塞ぐ倒木なども多く、結構な迂回を強いられ時間と体力を消耗してしまった。

何処でも歩けそうな地形ほど厄介な物は無い! コースを外さないように注意。


この付近までくると踏み跡も目印も乏しく、特に夏場はルート判別に難儀する。
僅かなテープやケルンを参考に、ルートファインディングを慎重に行おう。
いずれにしてもルートが川沿いなのは間違いないので、そこから大きく逸脱しない事が肝心だ。


「中瀬松谷出合」を過ぎ、さらに上流の方へと前進。出合いを右手に進めば「金山谷コース」となる。

ここから先は大崩山と隣接する他の山へと繋がるコースになってくる。

大崩山の最深部とも言えるエリアであり、登山者は滅多に立ち入らない場所だ。


この付近になるとますます不明瞭になり、もはやルートは判然としない。
なんとなく踏み跡に見える物を辿りながら、中瀬松谷の左岸を進む。

金山谷コースは熟達者向けコースなので要注意。
こここら先は日帰りが難しいエリアになるので、戻りの事も考えて行動しよう。


三里河原コースの最深部で目にすることが出来る渓谷美

「権七小屋谷出合」を目指し進むが、道が判然とせず、所定の時刻になったので今回はここまで。

かなり出合に近い場所まで行ったと思うのだが、こうもルートが不明瞭だと進むのが困難だ。
真夏だったので水の消費が激しく、2Lでギリギリといった感じで、最低でも3Lは用意しよう。


とはいえ、周辺の風景は非常に美しく、苦労して来た甲斐は大いに有った。

前述の様にこの付近は三里河原コースの最深部で、道は不明瞭で人もほとんど立ち入らないと思われる。

しかし、地形の美しさはこの辺が最も際立っており、苦労して来る価値は有る。
紅葉や凍結する時期に来ても素晴らしい景色が楽しめるだろう。



自然豊かな三里河原コースだったが、道中で多種多様なキノコを見かけた。
野鳥や植物観察を目的に来ても十分に楽しめる事だろう。

そして倒木の上にズラリと並ぶケルンの数々! 登山道の長い歴史を物語っている様だ。


大崩山「三里河原コース」まとめ

この様に、難所が多い大崩山において、なだらかな渓谷歩きが楽しめる三里河原コースはある意味で異色の存在とも言える。

深い森の中に人知れずたたずむ滝の数々や、ひっそりと咲き誇るアケボノツツジなどの植物を目の当たりにすれば、大崩山、そして三里河原コースがいかに自然豊かな場所であるかがよく分かるだろう。


一方、不明瞭な登山道や長い道のり、少ないながらも点在する梯子場等、三里河原コースもまた決して楽なコースとは言えない。

また、基本的にピストン登山が前提の工程となるので、どこで折り返すかをしっかりと決めてから望んで欲しい。


安全な登山を実現するためには、当サイトのように実際に歩いた人間が公開している情報を参考にする事が重要だ。

万全な状態で挑めば、三里河原コースの旅は素晴らしい経験となるだろう。


三里河原コースまとめ

■大崩山においては比較的地形が優しいコースだが、あくまで「他のコースに比べたら」だと認識しよう。
■コースの大半が川沿いを歩くので、増水時は絶対に立ち入らないように。
■長大なコースなので、食料や飲料水などは十分に準備して望んで欲しい!
■コース沿いに点在する滝やナメの美しさは、湧塚やダキ群とは違った魅力がある。


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