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コースは優しいが辿り着くまでが大変な宇土内谷コース

独自の景観を持つ多彩なコースが有る大崩山。
今回紹介する「宇土内谷(うどうちたに)コース」は「上鹿川(かみしかがわ)コース」とも呼ばれ、数あるコースの中でも短時間で登頂出来るコースとして知られている。
宇土内谷コースには大崩山名物の難所は無く、登山初心者でも比較的短時間で大崩山の頂に立つことが出来る。
絶景ポイントこそないものの、春や秋頃にコースを彩るアケボノツツジなどの草花や紅葉の美しさが堪能できるコースとして人気が有り、近隣の鹿納山を絡めた縦走プランもオススメだ。
宇土内谷コースに至る比叡山林道は未舗装路で路面状況は良いとは言えない。
また、しばしば台風などの影響で通行止めになる事があるので、道路状況や通行の可否は必ず事前に確認しよう。
同じ大崩山の「鹿川越コース」とは名前が似ているが別物なので注意しよう。
大崩山各コースの登山口へのアクセスは、下記ページで詳細を紹介しているので参考にしてください。

県道214号線を綱ノ瀬川沿いに進んで鹿川渓谷方面へ


県道237号線から県道214号線に入り、あとはひたすら道沿いに進もう。
併走する川は綱ノ瀬川で、道は当面この左岸沿いに続いている。
214号線に入ると、程なくして右手に「比叡山(ひえいざん・918m)」が、左手に「矢筈岳(やはずだけ・666m)」、更に奥には「丹助岳(たんすけだけ・815m)」が見えて来る。
これらの山はかつて一つの山だったらしく、それが長い年月をかけて川に浸食された結果、現在のような別の山になったのだとか。
比叡山はロッククライミングの名所としても知られ、214号線沿いに3箇所の登山口が有り、一年を通じて登られている。
比較的手軽に登れる山だが、独特の景観を持った良い山なので是非1度登ってみて欲しい。
ここから先は基本的に単線区間となり、見通しが悪い箇所も多いので注意。
また、買い物できるような場所も無いため、やはり延岡市か高千穂町の市街地で済ませておこう。
県道214号線へは九州中央道と接続する国道218号線からも行ける。
国道218号線からは一端県道237号線を経由してから県道214号線へと入る事になる。


県道214号線は山間部の道路らしく、狭く曲がりくねった隘路が多く、走りやすい道とは言えない。
中には岩をくりぬいて作った半トンネルとも言えるような場所も有り、なかなか豪快な道だ。


県道214号線を進み、綱の瀬川を渡ると右手に「鹿川渓谷」の入り口が現れる。
ここを右折すると鹿川渓谷及び鹿川キャンプ場だが、宇土内谷コース登山口へはそのまま先へ進もう。
ここから先は「比叡山林道」となる。
まだしばらくは舗装路が続くが、道幅や整備状況が悪化するのでご注意を。
なお、鹿川キャンプ場の近くに「鹿川越コース」の登山口が有るが、こちらはバリエーションルート的なコースなので、一般にはオススメできない。
また、公衆トイレと自販機はここが最後なので、必要に応じて利用しておこう。

比叡山林道を暫く進むと「地蔵岳登山口」なるものを発見!
「地蔵岳(1388m)」はどうやら割と最近登山道が整備された様で、地元でも知名度はあまり高くない様だ。
この地蔵岳は一応テープなどは付けられている様だが、知名度の低さ故に登山者も少なく、登山道もあまり明瞭とは言えない模様。
詳細な情報にも乏しいので、登山を計画する場合は注意して欲しい。
宇土内谷コースその物より辛い? 荒れた比叡山林道






地蔵岳登山口くらいまでなら舗装されていてまだマシなのだが、そこから先が比叡山林道の本領発揮(?)で、だんだんと路面状況が悪化してくる。
ご覧の通り基本的に未舗装で、しかも見通しの悪い急カーブが連続する。
一応カーブミラーも有るが、大半は朽ち果てていて役に立たない。
また、路面の凹凸が大きく、車高によっては底を削る可能性が有る。
未舗装なので雨が降ると窪みが水たまりになり、乾燥すると凄まじい砂埃が・・・
林道を抜けた後、車体が砂まみれになっていたので唖然としてしまった。
なにより恐ろしいのは、全線に渡ってすれ違いが困難な狭い道であると言う事!
待避所も非常に少なく、もし対向車が来たら悲惨だ。
大型連休や紅葉の時期には多くの人が来るらしいが、考えるだけでも恐ろしい・・・
比叡山林道は台風などによる落石・路盤流出により、しばしば通行止めになっている。
宇土内谷コースでの登山を計画する際は、必ず最新の道路情報を確認しよう。
また、この路線は治山や林業関連と思われる重機やトラックが出入りしている模様。
平日はそれらの車両と遭遇する可能性が有るので注意。
静かにたたずむ新旧「木戸元橋」






荒れた道を黙々と進むと、突然近代的な美しい橋が出現。
これは「木戸元橋」と呼ばれる橋で、平成27年3月に新設された物だ。
直ぐ隣には先代の木戸元橋が有るが、さすがに古くて限界状態の様だ。 お疲れ様でした。


木戸元橋の直ぐ上は大きな堰堤が有るのだが、中央部の三つの巨大な金属が目を引く。
崩落してきた巨石を食い止めるのが目的なのだろうか?
橋の真下を見やると、水でくり抜かれた大穴が。
大崩山周辺の渓谷でよく見られる地形で、風情があって良いですな。
ようやく到着した宇土内谷コース(へ続く分岐点)




木戸元橋を過ぎると、程なくして林道が右へ分岐する場所に出る。
ここを右へ入った先が宇土内谷コース登山口なのだが、車はここに駐車しよう。
なお、ここから更に林道を進むと鹿納山の登山口が有り、大崩山と周回縦走する人も多い。
林道はさらに悪路となり、鹿納山登山口まで行けない場合が有る。徒歩では約60分程の行程だ。


林道分岐点から10分程林道を上ると宇土内谷コース登山口に到着。
この付近はアイスクライミングの名所らしく、冬期は氷瀑を求めてクライマーがやってくる。
分岐点から先の林道支線は直ぐに荒れてくるので、車では入らない方がいい。
そもそも歩いて10分程度なので、素直に歩いた方が良いだろう。
こちらの登山口には登山届のポストなどは無い。 登山計画は事前に提出しておこう。
登山口から杉林を抜けて稜線へ




宇土内谷コースの登山口から暫くは植林された杉林の登りとなり、時々伐採用(?)の林道を横切る。
特に難所は無く、今回のコースではこの付近が一番勾配がきついので頑張ろう。
下りの際に、林道を横切った先の登山道入り口を見失わないようにしよう。




登山口から20分程で尾根に出て、ここから先はひたすら尾根歩きとなる。
前述の様に急勾配は序盤くらいにしかなく、この後は比較的穏やかな地形が続くので安心だ。
基本的に樹林帯だが、真夏以外であれば意外と展望も楽しめる。
九州独特の雰囲気に満ちた稜線歩きを楽しもう。




穏やかな尾根道を1時間ほど登ると、右手の方に早くも山頂方面が見えて来る。
大崩山の山頂付近は比較的なだらかな地形をしており、この方角からは明確な頂上の位置は分かりにくい。




さらに登ると何やら幻想的な樹林のトンネルが登場!
特にアケボノツツジ等が咲く春頃と紅葉の秋頃が美しいので、是非タイミングを合わせて来てみよう。


ここは近隣の「鹿納山(かのうさん・1567m)」へ至る縦走路の分岐点となっている。
ここから鹿納山へ縦走し、比叡山林道に下山して戻る周回コースも良く歩かれているようだ。
そして直ぐ先にあるのが「中瀬松谷コース」への分岐点だ。
ここから三里河原コースやモチダ谷コースへ行けるが、基本的に熟達者向けとなっている。
中瀬松谷コース方面へ行くと日帰りが難しいエリアとなるので注意。
基本的に人の少ない上級者向けのコースとなっている。
湧塚尾根コース・坊主尾根コースとの縦走路と合流し頂上方面へ




鹿納山および中瀬松谷方面への分岐を過ぎると広々とした傾斜地になり、程なくして湧塚尾根コース・坊主尾根コースからのコースと合流する。
ここまで来れば頂上まではあと僅かで大きな勾配も無い。 のんびりと行こう。


頂上手前の石塚付近から宇土内谷コースを振り返る。
穏やかな尾根が続いており、このコースが初心者でも安心して登る事が出来るルートであることがよく分かる。

登山口からのんびり2時間程度で大崩山の山頂へ到着。
難所は全く無く、勾配も緩やかなので初心者でも楽に登頂できることだろう。
断崖絶壁の難所を通過する湧塚尾根コースと坊主尾根コースは凍結の可能性が有る冬期は危険だが、宇土内谷コースなら安心なのも嬉しいところだ。
展望を楽しんだら往路を戻ろう。
大崩山「宇土内谷コース」まとめ
この様に、コース上に数多くの難所が存在する大崩山において、例外的に穏やかな山歩きが楽しめるのが宇土内谷コースだ。
難所が無いだけでなく、キツい勾配も無くコースタイムも短いので、登山初心者や大崩山を初めて登るという人でも気軽に登れるルートとなっている。
一方、大崩山を象徴する絶景や渓流は一切無く、展望という点では他のコースに劣るという点は否めない。
また、登山口へのアクセスに難がある点も見過ごせない問題だろう。
繰り返しになるが、宇土内谷コースでの登山を計画する場合は、必ず事前に林道の状況を確認しよう。
■難所の多い大崩山としては例外的に優しいコースで、初心者でも安心。
■登頂時間も全コース中で最短である。
■アケボノツツジや紅葉のシーズンは美しい自然を満喫できる。
■湧塚や三里河原などの様な絶景は存在しない。
■一番の問題は登山口へのアクセスが長い上に悪路という点である。
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