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【聖岳・赤石岳・荒川岳】南ア南部縦走・第4日目(最終日)

南アルプス 登山

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南アルプスの山々に別れを告げ、椹島ロッヂへ向けてひたすら下る最終日

南アルプス

三泊四日にわたる長かった縦走もいよいよ最終日。
既に今回の主目的であった聖岳・赤石岳・荒川岳の踏破は完了しており、本日はゴールの椹島を目指してひたすら下るだけである。

とはいえ、千枚小屋から椹島ロッヂまでは標高差が1500m有る。
難所は無いとはいえ、登りはもちろん下りでも結構大変なコースだ。

標高差1500mと言えば丹沢の大倉尾根や北アルプスの合戦尾根よりも大きい。
蒸し暑い樹林帯という事もあり、地味に厄介なコースと言えるかも知れない。



今回のコースはスタート地点から既に森林限界よりも下であり、一部の展望所を除いてひたすら樹林帯を歩く。
これといった難所や急勾配は無く、迷うような場所も無いのだが、単調で蒸し暑いので地味に辛い。


途中にはこの地域に関する豆知識が書かれた立て札が色々設置されている。
これを読むことで小休止にもなるので是非読んでみよう。

なお、千枚小屋は北アルプスの合戦小屋と同様に専用のケーブルカーを使用して荷揚げをしているらしい。
この付近でその下をくぐるらしいのだが、今回は気が付かずに通過してしてしまった様だ。



千枚小屋から30分程下ると、途中で「駒鳥池」への分岐点がある。
分岐から駒鳥池までは直ぐなので、息抜きを兼ねて是非立ち寄って見よう。


ちなみに駒鳥(コマドリ)とは、日本アルプスなどに飛来する夏鳥の一種らしい。



駒鳥池は小さく水深も浅いのだが、深閑とした森の中にたたずむその様子はとても神秘的で美しい。
まるで妖精か精霊でも住んでいそうな、何とも言えない雰囲気に包まれた場所だ。

日常生活で疲れ果てたオッサンの心も癒やしてくれるような、実に神秘出来な場所であった!



駒鳥池で癒やされたオッサンの足取りは軽い。
歩きやすい登山道が続くが、この辺はかつて林業において木馬道として使われた場所でもあるようだ。


本コース唯一の展望所「見晴台」に立ち寄る

千枚小屋から一時間半ほど下ったところに「見晴台」への分岐が有る。
ここは本コース唯一の展望所であり、登山道の真横に有るので是非立ち寄ってみよう。

コースから左へ少し登ると突然目の前に林道が出現!
東海フォレストの社有林であるこの地区には、同社が管理する林道が複数存在する。

綺麗に整備された林道だが、地形的におそらく千枚小屋のロープウェイに繋がる林道だろう。



見晴台からは荒川三山や小赤石岳などの展望が素晴らしい。
つい昨日はあの辺を歩いていたのかと思うと感慨深いね! また来るゾ、さらば!


林道と複数回交錯しつつ椹島を目指す

相変わらず歩きやすい登山道が続くが、標高も下がってきて段々と蒸し暑くなってきた。
このルート上には水場は一箇所しか無いようなので、飲み水の用意はしっかりと!



突然林道に飛び出してビックリするが、ここを含めて何度か林道と交わるのがこのコースの特徴だ。
非常によく手入れされていて真新しい轍も有るので、治山や荷揚げで定期的に利用されているのだろう。


「止まれ」の看板の鮮やかな赤がとてもまぶしい。
長かった縦走も終わり、いよいよ下界に近づいているのだと実感させられますな。



相変わらず謎な「FH-M」の看板を横目にひたすら下る。
所々にベンチが設置してあるが、これを運んで来るは大変だっただろうなぁ。 感謝!



鉄階段を降りた先で再び林道と交わる。

今回はまっすぐ横切るのでは無く、数十メートル程林道沿いに歩き、その先で登山道に入るので注意。
案内板が有るので間違うことは無いと思うが、うっかり真正面の藪に突撃しないように注意しよう。


中には「この林道を歩いた方が楽なのでは?」と思う人も居るかも知れない。
しかし、林道の入り口は厳重に封鎖されている様だし、そもそも一般開放されていないだろうから止めておこう。



「岩頭見晴し」と呼ばれる場所でも少し展望が得られる。
ここを過ぎれば荒川三山の眺めともおさらばなので、しっかりと目に焼き付けておこう。



岩頭見晴を過ぎるとちょっとした岩尾根を通過するが、ここがこのコース唯一とも言える難所かも知れない。
また、廃道となった旧ルートも有るので迷い込まないように注意しよう。



更に下ると送電線の真下に出るが、これはおそらく中部電力の管理する鉄塔だろう。
この付近で登山道は大きく方向を変えるので案内板をしっかりと確認しよう。


今回のルート(千枚岳登山道)は登山口が付け替えられており、この付近で旧道と新道が切り替わっているようだ。


真新しい吊り橋を通って林道へ合流

鉄塔から30分程下ると吊り橋に到着。
地図によると眼下の河は大井川かその支流の様だ。

ご覧のように完成間もない吊り橋で、その美しさに思わず見とれてしまった。
吊り橋の美しさやその構造を堪能するのにうってつけの存在だ。

前述の様に今回歩いたルートの登山口は近年付け替えられており、この吊り橋が新ルートの入り口になっている。
このエリアには新旧様々な吊り橋が点在しているので、吊り橋マニアには堪らない場所だろう。

ご覧のように結構な距離と高さが有り、相応に揺れる。
そういった場所が苦手な人には注意が必要だ。



この付近は管理釣り場になっており、遊漁券を購入すれば渓流釣りの可能との事。
まず現地に来るまでが大変な場所だが、自然豊かな場所なので魚も多そうだ。



吊り橋から林道沿いに歩くと橋梁が有り、その向こう(右岸側)には旧登山道が見える。
川沿いの険しい場所に有り、しかも途中で滝と沢を横切っているので見るからに危険そうだ。
おそらく、この険しい地形が原因で登山道が付け替えられたのだろう。



橋梁を渡って直ぐの所に旧登山道の入り口が有り、ご覧のように厳重に封鎖されている。
かつてはここから多くの人が入山し、千枚岳や荒川岳を目指して登っていったのだろう。


ついに到着! 南アルプスの南部の登山拠点「椹島」

先ほどの吊り橋から先は完全な林道歩きになり、10分程歩くと椹島ロッヂの入り口に到着。
長かった縦走の旅もいよいよ終わりだ!



椹島には一般登山者向けの各種施設(宿泊棟、レストハウス、資料館、神社)などの他に、業務用の宿泊棟などが混在している。
現在はリニア新幹線の建築に関連する施設も設置されていることだろう。


登山の拠点であり、各種工事の拠点でもある、とても重要な場所がこの椹島だ。



椹島で最もお世話になる施設がこのレストハウスだろう。
宿泊やテント泊の受付はもちろん、シャワーや送迎バスの受付などもここで行う。

また、食事の提供や登山グッズの販売なども行っており、まさに「登山基地」の名にふさわしい施設だ。


どの施設を指して「椹島ロッヂ」と呼んでいるのかは不明だが、おそらくこのレストハウスや宿泊棟など関連施設全てをまとめてそう呼んでいると思われる。

あと、「ロッジ」ではなく「ロッヂ」なので注意だ!



御託はいい! まずはビールだ!!

・・・美味い。 美味すぎる。
日頃アルコール類をほとんどの飲まない私でさえ、無意識に注文し、気が付いたら飲み干していた。
それくらいに美味いビールだった。 四日間の縦走で乾ききった喉を潤す、世界最高に美味いビールだった。


続いて飯だ! 色々有るが、最もボリュームの有る奴を頼む!
注文したのは「赤石カレー」なる物で、唐揚げが4個も入った実にボリューム満点のカレーだ。

当然ながら、超美味かった。 黙々と食べた様な記憶がある。 気が付いたら完食していた。

ビールを飲み干し、カレーを完食したが、まだまだ物足りない。
お次はデザートだ! 店員さん、ソフトクリームひとつ!!
・・・美味い、美味すぎる。これまた世界一美味しいソフトクリームだった。

こんな山奥でこんな美味い食事にありつけるなんて、なんとも有り難い話しですね。



利用したのは食事の前だったような気もするが、こちらの建物でシャワーを利用することが出来る。
利用する際は先ほどのレストハウスで受付をしよう。

この時間帯はシャワーのみで入浴は出来ず、利用時間も13時頃までと割と短い。
このシャワーは昼過ぎの下山用送迎バス利用者を対象とした物なのだろう。



こちらはコインロッカーや素泊まり客の宿泊棟となっている。
割と簡素な、山中に有る避難小屋のような雰囲気だ。



椹島の敷地内には東海パルプ株式会社の創設者である「大倉喜八郎」氏の記念碑が有る。
東海パルプの他にも、大成建設、帝国ホテル、サッポロビール等を興した人らしい。

椹島から赤石岳に繋がる「大倉尾根」の由来は彼の名前なのだろう。



こちらは「白簱 史朗(しはらはた しろう)写真館」である。
なるほど、南アルプスにゆかりのある人らしい。

白簱 史朗(しらはた しろう、1933年2月23日 – 2019年11月30日)は、日本の山岳写真家。ヒマラヤを始めとする世界の峰、日本国内の名峰を四季にわたって数多く撮影し、発表してきた。特にライフワークとして南アルプスの写真を多く撮影している。(Wikipediaより抜粋・引用)


なお、看板には「東海パルプ株式会社100周年事業」と書いてあったので、この写真館はこの時限りの催しだったのかもしれない。
現在は別の物が展示されている可能性も有るので、気になる人は問い合わせて見よう。



レストハウスの裏手には大きな広場が有るが、どうやらここがテント場らしい。
軽く100貼りほどは設置出来そうな広さで、地面はフラットでとても美しい場所だ。
設備も充実しているし、ここでテント泊できたらさぞかし快適だろう。

なにやらインディアンでも住んでいそうな巨大なテントが設置されているが、これは展示物の一種なのだろうか?



キャンプ地から奥に進み、樹林帯を20m程横切ると大井川(たぶん)の河原に出るが、ここが「水辺の広場」らしい。

風光明媚な河原で、水深が浅くながれも穏やか、水も綺麗で冷たくて最高!
ここ、泳いでも良いのだろうか? 水着を持ってきて一日中泳いでいたい・・・そんな場所だった。


椹島ロッジでたっぷり休息したら、いよいよ南アルプスともお別れ。帰路に就く時間だ。
基本的にはここから東海フォレストの送迎バスを利用して畑薙ダムへ向かう。

この区間は落石が非常に多いらしく、林道のそこかしこで落石の痕跡を見かけた。
また、この記事を書いている時にも崩落で通行止めになっていたらしい。

過去には落石が送迎バスを直撃した事も有ったらしく、現在では乗車する際にはヘルメットの着用が必須らしい。
ヘルメットは貸し出しされるらしいが、サイズの問題も有るので自前で用意した方が良いだろう。

椹島から畑薙ダムまでは一応徒歩などで移動する事も出来る。
しかし、ほぼ平坦な林道とはいえ、片道5時間程も掛かるので現実的では無い。


畑薙第一ダムから静鉄バスで静岡駅へ

13時頃の送迎バスを使用して畑薙第一ダムへ移動。
ここからは各々自家用車や公共交通機関を使用して帰路に就く事になる。

この送迎バスは畑薙ダムから出る静鉄バス(しずてつジャストライン「南アルプス登山線」)に接続している。
このバスは畑薙ダムと静岡駅を約3時間で結んでおり、往路便と復路便が有る。

片道3500円と手ごろな価格だが(2025年現在)、運行期間は比較的短いので注意。
また、要予約なので事前に確認しておこう。


湾曲している黒部ダムに対して、この畑薙第一ダムはほぼ直線の構造をしている。
地形に応じて形状は臨機応変に設計するのだろうか?



帰路では合計二回トイレ休憩で停車したが、最初の休憩がここ「大井川鐵道・井川駅」である。
自販機に加えて売店も営業していたので、みなさん色々購入していたようだ。

観光を兼ねて大井川鐵道で来るというのも有りかな・・・と思ったが、井川駅と畑薙第一ダムの間の足が無いな。
白樺荘までだったらコミュニティバスで移動出来るかどうか。 検討して見よう。



乗車してから約3時間。 ようやく静岡駅に到着。

よく考えたら、乗車した畑薙第一ダムも静岡市(というより縦走していたエリアも静岡市)で、3時間後に下車したこの場所も静岡市な訳で、本当に静岡市って広大なのね!


本当に疲れた。無事に帰ってこられて良かった。 また来るゾ南アルプス!

この時、東京まで最短で戻るため、最速の「のぞみ」に乗車しようとしたのだが、券売機でいくら探しても「ひかり」と「こだま」しか出てこない。
「なんでぇ??」と少々混乱したが、どうやら静岡駅には「のぞみ」は停車しないらしい。

静岡駅ほどの規模だったら全列車が停車すると思い込んでいた為混乱してしまった。
これほどの駅を通過するとは、東海道新幹線もなかなか思い切った運営をしておりますな。

同様に、後日北アルプスに行った際、北陸新幹線の「かがやき」が高崎駅に停車しない事に関連して焦る事が有った。
思い込みって怖いね! 物事はしっかりと確認する事が重要だと思い知らされました。


南アルプス大縦走・4日目(最終日)を振り返って

三泊四日におよぶ南アルプス南部の縦走の旅は無事(?)に終わった。


四日間という日程は個人的には最長で、日にちもさることながら、強烈な紫外線にさらされながら、延々と激しいアップダウンを繰り返す工程が本当に大変だった。

初日から両足の痙攣や靴擦れという複数のトラブルに遭遇するという波乱の幕開けとなったが(いずれも私自身の準備不足に起因するのだが)、前述の「聖平のナイチンゲール様」の助けにより、なんとか乗り切ることが出来た。

本当に感謝しております。 またどこかで会うことも有るかも知れないな・・・


このコースの楽しさ、自然の美しさは文句なしで、各山小屋も個性が有って良いところばかりだった。
アクセスの悪さが問題だが、そのおかげで静かな山旅が楽しめるという利点も有ると思う。
みなさんも北アルプスだけではなく、南アルプスにも是非足を運んで欲しい。

ただし、長大なコースが多いので体力作りはしっかりと!
あと、スリリングな吊り橋が多いエリアなので注意してね!




【聖岳・赤石岳・荒川岳】南ア南部縦走・第3日目
南ア南部縦走も後半の三日目に突入! 本日は赤石岳や荒川三山等を経て最後の宿である千枚小屋を目指す、コースタイムにして11時間を越える超ロングコースである。




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