- 私個人が収集した情報を公開しており、内容が古かったり不正確である場合が有ります。
- 当サイト内のコンテンツはキュレーションサイト等での利用を一切認めていません。
- 無断転載・改変(リライト)等は厳禁。 判明した場合は対処します。
【当サイトの山行記事を読むに当たって】
本サイト内で書かれている山や登山道に関する各種情報は、あくまで私個人の経験・判断に拠る物です。
難易度の評価は、各個人の体力・技術・経験、当日の体調・装備内容・天候などによって大きく変化します。
また、登山道や残雪等の状況は、あくまで取材時の物で、最新の情報では有りません。
最新の情報は現地の山小屋や地元の観光協会などに直接確認して下さい。
web上の情報だけを元に判断する事は絶対に止めましょう。
絶壁と垂直な梯子を克服して槍ヶ岳の頂へ立つ!

中房温泉から始まった表銀座コース縦走の旅。
二日目のフィナーレは、この山行における最大の目的である槍ヶ岳への登頂だ。
槍ヶ岳は国内第五位の標高3180mを誇る高峰で、登山愛好家はもちろん、一般にも広く知られた名峰である。
剱岳や白馬岳などと並ぶ、北アルプスにおけるエース級の山と言えるだろう。
槍ヶ岳の山頂直下に有る槍ヶ岳山荘までは、ルートを選べば誰でも来ることが出来る。
問題はそこから先、最後の100m程をどうやって突破するかだ。
この核心部は切り立った断崖絶壁となっており、そこにしがみつきながらよじ登る必要が有る。
滑落したらおそらくそこで人生を終えてしまうだろう。
とは言え、岩は硬く安定しているし、頑丈な鎖やボルト等も設置されている。
しっかりと経験を積んでステップアップし、正しい知識と技術を踏めて挑戦すれば大丈夫だ!
さあ、オッサンと一緒に机上演習のスタートだ!


槍ヶ岳から穂高連峰へ至る3000m級の稜線。
その一座である「大喰岳(おおばみだけ・3101m)」から槍ヶ岳を見た様子である。
ガスに巻かれつつある槍ヶ岳の神秘的な雰囲気が美しすぎる・・・
まるで天空を突き刺す槍のごとき鋭さ。 まさにその名の通りの山容だ。
手前の槍ヶ岳山荘も、改めて見ると凄い場所に立地しているな。
まるでマチュピチュの様だ。行った事は無いがな!
登りと下りが独立している槍ヶ岳の核心部

さて、前述の様に槍ヶ岳は標高3180mも有るのだが、大体3000m位までは誰でも登ってくることが出来る。
そこには槍ヶ岳山荘が有り、ご覧のように槍ヶ岳の頂上を眺めながらのんびりと寛ぐ事も可能だ。
問題となるのはそこから先、頂上に至るまでの最後の部分だ。
ここから先は岩場の絶壁をよじ登る事になり、難易度が格段に跳ね上がる。
しっかりと経験を積み、天候の安定するタイミングを狙ってチャレンジしよう。
槍ヶ岳山荘から頂上への往復時間は大体1時間程度が一般的だ。
もちろん、これには頂上での滞在時間や、途中での渋滞待ちは含まれていない。
極力身軽な状態で挑みたいので荷物は小屋周辺の邪魔になら無い場所に置いていこう。
ただし、途中で悪天候などに遭遇した場合に備え、防寒着や行動食などを入れたサブザックは必携だ。
グリップ力の高いグローブや、頭部を保護するヘルメットも必須だぞ!






槍ヶ岳の頂上部は、下から見上げると何処をどう登って良いのか見当も付かない。
当然ルートは設けられているのだが、一見するとただの岩壁にしか見えないのだ。
槍ヶ岳の核心部で重要なポイントは「登りと下りが別々になっている」という点である。
これは剱岳の核心部でも同様なのだが、狭く険しい場所でのすれ違いは命の危険が有るので、可能な限りリスクを減らすためにルートを分けたのだろう。
槍ヶ岳の登りルートの場合、概ね上の矢印のように登っていく。
上に行くほどに険しくなり、最後はほぼ垂直の絶壁登りだ!

この様な険しい岩稜地帯を登ってゆく。
白いペンキで矢印や丸印が書かれているのが分かるだろうか。
これらを目印にして、三点確保で確実に通過すべし!
「三点確保(三点支持)」とは、両手両足の合計4点のうち、常に3点を使って体を支え、残り1点のみを動かす技術の事だ。
絶壁や梯子などを通過する際の最重要&基本テクニックで、これなくして安全な登山はなし得ないと言える。
北アルプスの岩稜地帯や、大崩山や両神山などを登る際は必須である!

少し登ると岩の反対側に回り込む形になり、下の槍ヶ岳山荘側からは見えなくなる。
この辺は一旦地形が落ち着くので、ここらで小休止するのも良いだろう。

槍ヶ岳の核心部には、梯子や鎖の他、写真の様なボルトも設置されている。
少々見えにくいかもしれないが、電柱に付いている足場釘みたいな物だ。
この場所は手がかり・足がかりの間隔が少々開いているので、小柄な人には大変かも知れない。
あせらずゆっくり確実に通過しよう。


ひたすら絶壁をよじ登る・・・
私が初めてこの場所に挑んだ時の事はもうよく覚えていないが、ただひたすらに岩と向き合っていた様な気がする。
余計な事は考えず、何処に手足を置いて、いかに安全に通過するか、それだけを考えていたと思う。
「登山とは、身も心も山に委ね、山と一体化する事に真髄が有る。」
などと意味不明なことを呟きながら黙々とよじ登るオッサンであった。


下から見上げると「一体何処に道が有るんだよ!?」と言いたくなる程の絶壁である。
最初にここを登った人は尊敬に値する。
何処がルートかも定まっていない訳だし、そもそも梯子も鎖も無かったわけだからね。
偉大な先人達に感謝しつつ、山頂を目指してオッサンは登り続けるのであった。

よく見ると絶壁に人が張り付いているぞ!
あんな場所にあんなたくさんの人が・・・
見るからに恐ろしい恐怖映像の様に思えるが、実際に現地に行くと、案外怖くなかったりするから不思議だ。
「彼らは今まさに、槍ヶ岳と一心同体となった。 岳人達の行く手を遮る物は何も無い。」
などと意味不明なことを呟きながらオッサンは登り続けるのである。

ようやく頂上が見えて来た。
何本かの長大な梯子が見えるだろうか?
絶壁に張り付く垂直の梯子。アレこそが槍ヶ岳登頂のフィナーレを飾る最後の難関だ!

短めの梯子とボルト地帯を慎重に通過。
この付近は下りルートと隣接しているので、互いに迷い込まないように注意せよ!
剱岳の核心部を登っていた時の事だが、見知らぬオッサンが一方通行の登りルートを下ってきて仰天した事が有る。
下手すると重大事故の元になるので、ルートミスにはくれぐれも注意して欲しい。
槍ヶ岳頂上への最後の難所・垂直の梯子を突破せよ!

ここまで来れば頂上は目と鼻の先だ。
そして、そこに立ち塞がる最後の難関が、この非常に長い梯子群だ。
向かって左側が登り専用、右側が下り専用である。

この梯子場は二段構えになっており、まずはこちらの1段目。
角度はやや緩やかで(それでもかなりの急角度なのだが)、見た目ほどには怖くない。

続いてこちらが2段目の梯子。
長さはほぼ一緒だが、より傾斜がキツく、ほぼ垂直と言える。
これを越えれば待ちに待った槍ヶ岳の頂上だ!

うーむ。まさに絶壁。どうみても垂直。何とも恐ろしい!
この様な場所が苦手な人はそもそも来ては行けない場所なのだが、怖がっていても始まらない。
少しずつ経験を積んでステップアップすれば必ずや登れるだろう。
頂上からの展望はもちろん素晴らしいのだが、こういった難所を突破すること自体もとても楽しい。
難所すらも楽しめる様になると、登山の新たな魅力を見出せるかも知れない。
初心者がいきなり来ても、案外登れたりする物だ。
ただし、難所を突破する為の経験や技術・知識が不足しているまま登れたりすると、勘違いや慢心を生み、いつか重大事故を起こしてしまうかも知れない。
少しずつステップアップしてから挑戦することを強くオススメする。


こういった場所に設置されている梯子は、長さに余裕を持って上まで伸びているのがポイント。
この一見余分に思える部分が手すりの代わりになってとても役に立ってくれる。
もし地面と同じ高さの部分で梯子が終わっていたら、怖すぎて乗り降り出来ないと思う。





標高3180m・槍ヶ岳頂上からの息を呑む絶景


ついに辿り着いた槍ヶ岳の頂上!
ここにも志村けんの神様がご光臨しそうな社が有るぞ!
「とんでもねぇ、ここは槍ヶ岳だよ!」
前から思っていたのだが、これらの社や看板って、台風などの時に吹き飛ばされないのだろうか?
来る毎に看板が微妙に変わっているような気がするが、もしかしたら紛失しているのかもしれないな。


槍ヶ岳の頂上は非常に狭いのだが、それでも20人くらいは滞在できるほどの広さはある。
それを考えると意外と広いと言えるかも知れない。
とは言え、あまり動き回るスペースは無い。
滑落したら絶対助からないので無茶はしないように!

槍ヶ岳は国内第五位の標高(3180m)を誇るだけ有り、この付近では最も高い。
北アルプスにおいては、槍ヶ岳よりも高いのは「奥穂高岳(3190m)」のみである。
なので、槍ヶ岳の頂上からの展望はもちろん最高だ。
槍ヶ岳に登るなら絶対に晴れた日に来て欲しい!

南西の方向に見えるのは槍ヶ岳山荘である。
たくさんの建物から構成される槍ヶ岳山荘の巨大さがよく分かるだろう。
本館・別館・新館・・・ 日本有数の巨大山小屋というのも納得だ。

槍ヶ岳山荘からつづら折りに下っているのは槍沢ルートだ。
ここを6~8時間ほど下ると上高地へと至る。
それにしても凄まじい傾斜だ・・・ 下りはともかく登りは地獄だろう。
なにしろ、一度間違えて登る羽目になったからな! 本当にキツかったよ・・・

南の方へ伸びる稜線は穂高連峰へと繋がっている。
手前から大喰岳・中岳・南岳と続いており、いずれも3000mを越える高峰だ。
左奥に見えるギザギザの尾根を持つ山は前穂高岳である。

東の方に見えるのは先ほど歩いてきた東鎌尾根で、その途中にはヒュッテ大槍が見える。
さすが表銀座コースの難所と言われる東鎌尾根。
見るからに険しい、まさに鎌尾根といった険しい地形だ。

西の方に伸びる尾根は西鎌尾根で、その先には裏銀座コースや笠ヶ岳へのルートが有る。
こちらも両側が切れ落ちた鋭い地形をしておりますな。

そして北に延びるのが高難易度のバリエーションとして知られる北鎌尾根だ。
前述の様にここは一般登山道では無く、経験豊富な熟達者のみが立ち入る事を許されたバリエーションルートである。
よく見るとうっすらと踏み跡の様な物が見える。
やはり歩きやすい場所は大体絞られるので、少しずつ踏み跡が出来るのだろうか。
槍ヶ岳の頂上から北鎌尾根を見下ろしていると、時々登山者の姿が見える事が有る。
お互いに手を振って健闘をたたえ合った事が有り、楽しい一時だった。
大槍・小槍・孫槍

槍ヶ岳の頂上付近には巨大な岩が幾つか点在するのだが、その一つがコレである。
通称「小槍」と呼ばれ、他にも「孫槍」や「ひ孫槍」なども有るらしい。
そう、アルプス一万尺の歌に出てくる「小槍」とはこの岩の事だ!
ちなみに槍ヶ岳の本体は「大槍」と言うらしいぞ。

この小槍にはクライミングでしか登る事は出来ない。
頂上も非常に狭く、とてもじゃないがアルペン踊りなど出来そうにも無い。
あんな場所で踊ろう物なら、5秒で滑落して高い他界となってしまいそうだ。

おお! よく見たら誰かが登っているではありませんか!
凄い重装備だ・・・ 一体何本のザイルを使っているのだろうか。
あんな場所で冷静に行動できるなんて凄いよ。
経験から得られる技術と知識、それを支える装備。 それらが有るから恐怖にも打ち勝てるのだろうね。
ちなみに、槍ヶ岳山荘ではたまに小槍のクライミングツアーを募集している。
プロの山岳ガイドさんのサポートで小槍へ登頂するのだそうだ。
興味の有る人はチャレンジしてみてはどうだろうか。
展望を楽しんだら下り専用ルートで下山

槍ヶ岳の頂上は非常に居心地が良く、それこそ何時まででも居たいくらいだ。
だが、そろそろ日が傾いてくる。 名残惜しいが下山の時だ。
前述の様に今度は向かって右側の梯子を使って下山する。
間違っても左側の梯子に取り付かないように注意だ!

登りの時にはあまり見なかった気がする鎖だが、下山ルートにはご覧のように設置されている。
岩は安定しているし鎖も非常に頑丈なので問題無い。
後は膝などを岩にぶつけないように気をつけよう。 マジで痛いから・・・

途中にも梯子が有るが、ご覧のように短めの可愛い梯子だ。
東鎌尾根や頂上直下の長梯子を突破したオッサンの敵では無い! 前進あるのみだ!

ただでさえ北アルプスのエース格である槍ヶ岳。
シーズン中は全国各地から大勢の登山者が訪れる。
時にはご覧のように登山道が渋滞する事も有る。
人が多い上に道も険しいから致し方ない。
こういった状況で重要なのは、決して前の人をせかさない事と、近づきすぎないことだ。
背後からふいに鎖やロープを掴んで揺らすと、最悪の場合滑落させてしまう恐れが有る。
自分自身も落石などの恐れが少ない安全な場所で待機することも重要だ。
また、こういった身動きが取れない場所で悪天候に遭遇すると命に関わる。
防寒着や雨具は必ず持ってくるようにしよう。
渋滞に捕まっている間に日が落ちたりする可能性だって有る。
ヘッドライトも必須だぞ!
自他共に安全に下山する。これを意識しながらゆっくり降りよう。
北アルプスの名峰・槍ヶ岳の登頂を終えて
登山雑誌で表銀座コースと槍ヶ岳の魅力を知り、何時か登ってやると思い立ち、ついに登頂を果たしたオッサン。
合戦尾根の途中、木々の隙間から初めてその姿を目にした時は猛烈に感動したのを覚えている。
表銀座コースではそこかしこで目にすることが出来た槍ヶ岳。
最初ははるか遠くに見えていた槍ヶ岳がどんどんと近づいてきて、ついに目の前まで来た時は、その堂々たる姿に圧倒された。
そして最後の核心部では、もう夢中になって登っていったように覚えている。
順調にステップアップしてきたので、核心部はさほど問題無く登れたように思う。
山自体の魅力はもちろん、アクセスの良さや豊富なルート等、ここまで環境に恵まれた山もそうそう無いと思う。
これらを整備してくれた先人達に感謝!
槍ヶ岳は凄く山深い場所に有るのだが、幸いなことに登山コースは豊富にあり、そのどれもが十分に整備されている。(バリエーションルートである北鎌尾根を除く。)
また、上高地や新穂高温泉など、主要な登山口へのアクセスは良好で、前泊や後泊に好適な宿も揃っている。
槍ヶ岳へのルートの中で注意を要するのは、難所が有る表銀座コースと穂高連峰からの縦走コースだろう。
特に後者は大キレットはもとより、3000m級の稜線を延々と歩く事になり、高山病や悪天候などのリスクも大きい。
その分やりがいは大きいので、トレーニングを積んだ上で是非ともチャレンジしてみて欲しい。
槍ヶ岳、特に核心部の難易度だが、人によって評価は大きく違うだろうが、やはり難しいと評すべきだろう。
三点支持等の基本技術はもちろん、他の登山者がいる場面でどのように互いの安全を確保すべきかという点も大事だ。
うっかり石を落としたり、鎖を不意に揺らしたりすると、最悪の場合、相手を死なせてしまう可能性だって有るからだ。
軽い気持ちで登って良い山では無いが、十分に備えてから登れば、これほど魅力的な山はそう無いだろう。
よく「山は逃げない」と言われるし、確かにそのとおりだ。
一方、自由に山を歩き回れる時間は有限でもある。
オッサンだっていつまで元気で居られるかは分からないからな!
なので、もし槍ヶ岳に登ってみたいと思ったならば、今すぐトレーニング開始だ!
十分に体を鍛え、知識も得て、装備も整ったならば、早速槍ヶ岳にチャレンジしてみよう。



コメント