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難易度の評価は、各個人の体力・技術・経験、当日の体調・装備内容・天候などによって大きく変化します。
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縦走2日目 「大天井ヒュッテ~東鎌尾根~槍ヶ岳」

合戦尾根から始まり、燕岳~大天井ヒュッテと歩いた縦走初日を無事に終えたオッサン。
今回の縦走は2泊3日の予定だが、色々な意味でメインイベントとなるのが本日の二日目である。
歩く距離や高低差もさることながら、何と言っても難所が待ち受ける東鎌尾根の存在が大きい。
また、最後には最大の目的である槍ヶ岳への登頂も控えている。
長く大変な工程になるだろうが、その分楽しみもまた大きい。
表銀座縦走コースにおける、最も楽しい区間だ!

山小屋の朝は早い。
大抵の場合、朝食は朝5時から始まり、6時頃にはほとんどの宿泊者は出発を終えている。
お世話になった大天井ヒュッテを後にして、一路槍ヶ岳を目指すオッサン。
美味しい朝食を食べ、テンションはアゲアゲである。
先ほども書いたが、大天井ヒュッテから先は縦走路と牛首展望台へのルートが分岐している。
間違って展望台の方へ行かない様に注意だ!

しばらくは稜線の側面を概ね平行に歩くので大きなアップダウンは無い。
スタート直後に急勾配が有るとキツいので助かる。

大天井ヒュッテを出発して15分程歩くと「貧乏沢」の入り口が有る。
小さな看板がひっそりと有るだけなので、歩く予定の人は見落とさないようにしよう。
この分岐から先は、難所の北鎌尾根を経由して槍ヶ岳へ登頂する人が歩くコースだ。
北鎌尾根はバリエーションルートであり、素人が立ち入って良い場所では無い。
地図にも記載されていないので、うっかり立ち入らない様にすべし!

その名前の由来は不明だが、ここは「ビックリ平」と呼ばれる場所だ。
オッサンの風貌にビックリした、という事だろうか?
名前はともかく、展望が良いので小休止にはもってこいである。

ビックリ平を過ぎると、いつもの心落ち着く縦走路の風景になる。
正面に見えるピークは「赤岩岳(2768.9m)」だが、縦走路は中腹を巻いており、頂上は通過しない。
縦走路を彩る槍・穂高の稜線

遥か遠くには北アルプスの峰峰が一望できる。
右から順に「槍ヶ岳」「大喰岳」「中岳」「南岳」で、全て3000mを越える高峰だ。
なお、この稜線は長野県松本市と岐阜県高山市の県境でもある。

「槍ヶ岳(3180m)」と「大喰岳(おおばみだけ・3101m)」のツーショット。
その手前に見えるのが、これから挑む「東鎌尾根」だ。
見るからに険しそうな雰囲気だが、オッサンは武者震いでゼェハァ言っているのであった。


あんなに遠くに有った槍ヶ岳も、気が付けば随分と近づいてきたものだ。
向かって左、肩の部分に見える赤い屋根の建物は、本日のお宿である「槍ヶ岳山荘」だ。

南西の方に見えるのは、これまた有名な穂高連峰の山々だ。
向かって右が「北穂高岳(3106m)」で、左が「奥穂高岳(3190m)」である。

北穂高岳の頂上には「北穂高小屋」が有る。
何度見ても凄まじい場所に建っているな。
良くあんな凄い場所に山小屋を建て、そして維持出来ているものだと感心する。
なお、向かって右側は急激に切れ落ちているが、あそこを降りた先に有るのが有名な「大キレット」だ。
とても人が通れるようには見えないが、ちゃんとあの絶壁に登山道が有る。
北穂高小屋とキレット小屋(北アルプス)は、「立地が凄まじい山小屋」のツートップだと思う。
こんな険しい場所に建っている山小屋はそうそう無いだろう。


縦走路の前後の風景だが、この辺は本当に穏やかで気持ちよく歩ける。
この「ザ・縦走路」って感じの風景が本当に好きだ。
前方には赤岩岳が迫ってきたが、前述の様にピークは通過しない。
頂上へ登るルートが有るようには見えなかったし、地図にも記載されていない。
結構標高が有る山なので、高山ハンターは登ってみたいだろうが、無茶はしないように。
オッサンを癒やしてくれる北アルプスの動物たち


おお! 先日の燕岳に続き、またしても雷鳥が出現!
東鎌尾根の難所に挑まんとするオッサンを激励に来てくれたのだろうか!?
よく見たらこの雷鳥もつがいの様だ。
「雷鳥すら結婚しているのに、オッサンときたら・・・」
激励されるどころか軽い敗北感を感じつつ、オッサンは先を急ぐのであった。
オッサンの身の上話はともかく、この雷鳥の羽毛を見て欲しい。
足下の岩場と完全に同化し、完璧なカムフラージュ効果を発揮している。
天敵の存在とその危険性をDNAが理解してこういう姿に進化したのだろう。
自然や動物の神秘って本当に凄いよね。

おお! 今度は別の鳥が激励に!
これはおそらく「ホシガラス」って奴だろうか? なんとも可愛らしいお姿ですなぁ。
こうした動物たちとの出合いも山旅の醍醐味。
「俺は自然に愛されている」、勝手な自意識過剰によりテンションはアゲアゲなオッサンである。

後ろを振り返ると、先ほど出発した大天井ヒュッテが見える。
こうして見ると、本当に狭い鞍部に建っている小屋なのがよく分かりますな。
そして大天井岳への登りが凄まじい勾配である事もよく分かる。
下ってくるならともかく、登り返すのはキッツいなアレ。

南東の常念山脈方面には「常念小屋」が見える。
小屋のすぐ目の前に聳えるのが「常念岳」で、あの付近では一ノ沢コースなどが分岐している。

看板には「赤岩岳山頂→」と書かれているが、山頂へ向かうルートは見た記憶が無い。
もしかしたらどこかで分岐していたのだろうか?


現在赤岩岳の側面を通過中・・・
やはり頂上へのルートは見当たらないが、もし存在するなら再訪して登ってみたいね。

槍ヶ岳もかなり近くに見える様になってきた。
手前に見えるゴツゴツした部分が、コレから挑む「東鎌尾根」だ。
歯応えが有りそうでワクワクしてきたオッサンである。


赤岩岳を通過して暫く歩くと、ケルンの置かれた高台の様な場所に出る。
ご覧のように展望は抜群で、槍・穂高・常念と、この辺の名峰が一望できる素晴らしいスポットだ。
天気は良好、体力も万全、テンションもアゲアゲ。
オッサンの旅路に憂い無し! 前進あるのみだ。

大天井ヒュッテからヒュッテ西岳までの区間には大きな難所は無いのだが、強いて言うならこの痩せ尾根には注意して欲しい。
ご覧のように左右は切れ落ちているので滑落には注意しよう。
当然だがすれ違う際は必ず片方が待機して、相手が通過し終えるのを待つように。


季節はもう秋だと言うのに、まだまだ大きな雪渓が有る。
このまま越年しそうな気もするが、どうだろうか。
なお、北アルプスには越年する雪渓が各所に存在し、剱岳等に有るそれらの一部は氷河であると認定された。
日本にも氷河って存在したんだな!
コース中盤最大の展望所「西岳」に立ち寄ってみよう


このコースには分岐点はほとんど無いが、数少ない分岐の一つに「西岳(2758m)」へのルートが有る。
縦走路から5分程度で登る事が出来て、ご覧のように展望も抜群。
荷物を邪魔にならない場所にデポして是非立ち寄って見よう。


西岳頂上から縦走路に戻り、少し進むと「ヒュッテ西岳」が見える。
これまた表銀座コース縦走の拠点として格好の位置に有る山小屋で、展望もまた抜群だ。
ヒュッテ西岳は本日歩くコースの丁度中間地点付近に位置する。
ここでしっかりと休憩しておこう。





表銀座コースのクライマックス「東鎌尾根」に挑む

ヒュッテ西岳から先はいよいよ表銀座コース縦走のクライマックスである「東鎌尾根」に入る。
表銀座コースの中では最も難易度の高い区間。気を引き締めて突入だ!
槍ヶ岳からは四方に尾根が伸びており、それぞれ「東鎌尾根」「西鎌尾根」「北鎌尾根」という名称が付けられている。
この内の「北鎌尾根」は前述の様に熟達者向けのバリエーションルートだ。
南の方にも穂高連峰に向かう尾根が伸びているが、特に切り立ってはいないので「南鎌尾根」とは呼ばない。


東鎌尾根に入ったらいきなり下る下る!
鞍部の水俣乗越に向かって、それはもう勿体ない位に下っちゃう。
ご覧のように梯子のオンパレードで、私の様な梯子好きには堪らない場所だ。

この様な場所も有るが、ご覧の通り頑丈な作りなので安心だ。
慌てず着実に下っていこう。


梯子&梯子&梯子・・・
東鎌尾根の核心部はまだ先だが、挨拶代わりの梯子地獄!
こんな急斜面を設置し、そして維持するのはとても大変だと思う。
保守作業に従事している方々に感謝!

この様な岩場のトラバースも有るが、頑丈な鎖が設置されているし、足下には樹木が生い茂っているので高度感は無い。
ただし、滑落は重大事故の元なので、浮石などに注意して慎重に降りよう。


おお! これはまた見事なロング梯子の連続!
さっきも書いたが、私は梯子場が大好物なので実に楽しい。
ぱっと見は怖く感じる人も居るかも知れない。
しかし、ご覧の通り非常に頑丈な造りをしており、その意味では全く心配ないので安心だ。
梯子場が連続する尾根ルートと言えば、大崩山の坊主尾根コースが有名だ。
ただし、あちらに比べると東鎌尾根の地形は遥かに優しく、梯子の数も少ない。
なにより頑丈でしっかり固定された梯子ばかりなので、難易度は低めだ。

滑落注意! 東鎌尾根前半の難所

梯子地獄の次に待ち受ける要注意箇所はこちら。
ご覧の通り右側が大きく切れ落ちており、滑落すると無事では済まないだろう。
悪天候時は特に注意して通過して欲しい。


先ほどの続きだが、ここで大きな段差を登る。
梯子が設置されているので登る事自体は問題無い。
が、登った直ぐ向こう側が切れ落ちているので、勢い余って滑落しないように注意だ!
この場所は少しずつ崩壊が進んでいると思われる。
そのうち大きく崩れてルートが付け替えられるかもしれない。

ふと左手の方(概ね南の方角)を見ると、何やら梓川沿いに建物が見える。
あんな場所に山小屋なんて無かったはずだが?
と思ったら、あれは槍沢ロッジが管理する「ババ平キャンプ場」だった。
あそこは昔山小屋が有った場所らしく、それが移転したのが槍沢ロッジらしい。
現在ではこのキャンプ場にはバイオトイレや売店を兼ねた管理棟が設置され、かなり便利になっている。


結構な急斜面をトラバース中だが、足場や鎖がしっかりしているのでさほど怖くは無い。
繰り返しになるが、こういった登山道を整備してくれる方々に感謝しきりである。
槍沢ルートとの分岐点「水俣乗越」

ヒュッテ西岳からコースタイムで一時間ほどで、この「水俣乗越」に到着する。
ここには上高地と槍ヶ岳を結ぶ「槍沢ルート」へ繋がる分岐が有る。
このルートは特に名称は無いようだが、東鎌尾根唯一のエスケープルートとして活用出来るので覚えておこう。

こちらは槍沢ルート側の様子で、「大曲」と呼ばれる場所に分岐が有る。
この場所から一時間ほど下れば槍沢ロッジだ。

この区間はコースタイムでは登り90分・下り60分となっている。
地形はさほどキツくないので、健脚者であれば一時間も有れば登る事が出来るだろう。

このルートには難所らしい場所は特に無いが、強いて言うなら涸れ沢に迷い込まないように注意して欲しい。
涸れ沢と登山道って結構紛らわしいからな!


これはダケカンバの木だと思うが、この見事な曲がりっぷりを見て欲しい!
冬から春にかけて降り積もる大量の雪の重さで折れ曲がるらしい。
「大自然・・・なんとも美しく、そして力強いものよ」
柄にも無く思いにふけるオッサンであった。
東鎌尾根の核心部に向け、徐々に高度を上げる登山道

縦走路から右手を見ると、遥か遠くには高瀬渓谷、さらに奥には立山連峰が見える。
手前に見えるのが天上沢だろうか?
あの付近を遡行して北鎌尾根に取り付くのだろう。

正面に見えるのが東鎌尾根の核心部である。
「鎌尾根」とはよく言った物で、両側は切れ落ち、尾根の上もギザギザ・ゴツゴツしていていかにも険しそうだ。
難所ではあるが、歯応えがあってとても楽しいルートでもある。

後ろを振り返ると、先ほど登った西岳、さらに奥には大天井岳の姿も確認できる。
あんな遠くにさっきまで居たのだと思うと不思議な気分ですな。
槍ヶ岳を起点として東鎌尾根を逆向きに歩いてみたいが、西岳への登りはキツそうだ。

先ほど遠くから見て「荒々しいな」と感じた核心部付近の様子。
実際に歩いてみると想像通りに険しい。
アップダウンも大きくて疲れるし、なにより滑落にだけは注意して歩くべし!

おお! なんとも楽しげな階段地帯ですこと!
かなりの傾斜で疲れる場面だが、なんとなく庭園の様な雰囲気で実に楽しい。
木製階段と言う事は腐食による劣化も早いだろう。
メンテナンスの際は人力で丸太を運び込むのだろうか・・・? 大変だな。


うーむ、まさに「鎌尾根」という表現が相応しい切れ落ちっぷりだ。
草木が生えていないと言う事は、あの付近の崩壊が真新しいと言う事だ。
もし大規模崩落が発生したら、新たな登山道を付け替える事は難しいだろう。
こういった場所で万が一滑落したら無事では済むまい。
晴天時はともかく、悪天候時はなるべくなら通りたくないな。


この付近における特徴的なピークと槍ヶ岳のツーショットである。
こちらは強烈な勾配にヒィヒィ言っている所だが、槍ヶ岳の頂上では大勢の人が展望を楽しいんでいる事だろう。
私があの場所に立つまであと2時間ってところだろうか? 早く行きたいですな!
東鎌尾根の最大の難所! 「窓」の崩壊地と梯子

ついに到着!
ここは通称「窓」と呼ばれる崩壊地で、ここが東鎌尾根の核心部だ。
登山道は今までひたすら登ってきたが、この窓の部分で一端下って登り返すことになる。
複数の梯子や切れ落ちた道など、東鎌尾根における最大の難所だ。

まずは小さな木製階段を下り、その後鉄製の三連梯子を下る。
三連梯子は特に二つ目と三つ目の角度がキツく長いので、慌てずゆっくりと通過だ!

2番目・3番目の梯子を真下から見た様子。
荒々しく切れ落ちた絶壁にへばりつくように設置されている。 まさに絶景だ。
この角度、この長さ・・・ 八ヶ岳連峰の「ゲンジー梯子」を彷彿とさせるな!
梯子好きな私にとってはたまらなく魅力的だ・・・

梯子を下り終わると、続いて痩せ尾根を通過する。 長さは10m程度だろうか?
ご覧のように両側は深く切れ落ちており、万が一滑落したら絶対に助からないだろう。
もし悪天候だった場合、無理をせずに水俣乗越から槍沢ルートに下った方が無難だ。

以前通過した際、向かって高瀬渓谷の方に下る謎の梯子が設置されていた。
現在はもう撤去されているかもしれないが、一体何の目的で設置されたいたのだろうか?
地図には載っていないし、存在自体が謎である。

これは窓の部分を通過してから全体の様子を撮影した物だ。
うーむ、何度見ても凄まじい場所だ。
まるで山が丸ごと崩壊したかのような、実に大規模で荒々しい崩壊っぷりである。
この場所はいつからこの様な状況になったのだろうか?
山として生まれた時からなのか、それとも最初は穏やかな地形だった時代があるのだろうか。
そして今後も崩壊は続くと思われるが、やがてもっと大規模な崩壊が起こるかもしれない。


少し先に進んだ場所から窓の部分を見た様子だ。
現在4名程のグループが通過中だが、人との対比で崩壊地の巨大さがよく分かるだろう。
この「窓」の部分がなぜこうも崩壊しているのかという理由だが、これは真下に存在する「高瀬川断層」呼ばれる活断層が原因らしい。
高瀬川断層の活動により、常時この場所は崩壊を続けているとの事。
なので、この場所が落ち着きを取り戻すことは、おそらく今後とも無いのだろう。
「窓」に関しては、槍ヶ岳山荘グループのブログに興味深い記事が書いてあった。
興味がある方は是非とも読んでみて欲しい。

「窓」の難所を過ぎたばかりだが、息つく暇も無く次なる難所が登場。
今度は岩場の絶壁に設置された長梯子を登る事になる。

ご覧のように足下の岩場は安定しており、梯子も鉄製の頑丈な物なので安心感は有る。
ただ、長さが有るのと、上に行くにつれて数段階で角度が変わっている点が少々厄介だ。
具体的には上に行くほど角度が緩やかになっている。
梯子という物は、角度が浅いほど登りにくくなる。
この梯子は極端な角度では無いが、微妙に登りづらいかもしれない。 注意せよ!

「窓」及び直後の長梯子を通過すれば、もう後にはこれと言った難所は無い。
多少の勾配と空気の薄さによる息苦しさはあるだろうが、落ち着いて着実に歩いて行こう。
槍ヶ岳もだいぶ近くなってきたな。 早くあの頂に立ちたいぞ!

後ろを振り返ると、西岳や大天井岳、さらには燕岳方面までが一望できる。
あんな遠くから自分の足で歩いてきたのだなぁと、実に感慨深い。
遥か彼方の次なる目標、そして遥か後方のかつて居た場所。
それらが一望できるというのが登山の面白い所だと思う。

ヒュッテ西岳がほぼ正面に見える。
と言う事は、現在の場所が大体標高2700m程だと言う事だな!

登山道に覆い被さるような巨大な岩が出現!
軽く1トンくらいは有りそうな、実に巨大な岩だ。
調べてみると、「かぶり岩」という名称が付けられている模様。
これまた東鎌尾根のランドマーク的存在と言えるだろう。

やや注意を要するトラバース地点だが、窓の難所を突破したオッサンの敵ではない!
・・・とか油断している時に遭難事故って起きるんだよね。
オッサンに慢心は無い! 槍を目指して前進あるのみだ!

大岩に書かれた「槍ヶ岳まで1.2km」という目印、そしてその槍ヶ岳の勇姿。
ここもまた印象的な場所だ。 いよいよ目前に迫ってきたぞ。

巨岩が転がる岩場と白ペンキで描かれたマーカー。
実に日本アルプスらしい風景で、オッサンは何故か心が安らぐ。
気が付いたら登山道は岩だらけ。 槍ヶ岳が近いことが理由だろう。

右手に見える荒々しい岩尾根が、かの有名な「北鎌尾根」である。
東鎌尾根や西鎌尾根と違い、この北鎌尾根はバリエーションルートだ。
熟達者のみに立ち入る事を許された場所で、素人が安易に立ち入る事は厳禁だ。
見るからに険しそうだ・・・ オッサンも何時の日かあそこにチャレンジする日がくるのだろうか。
ヒュッテ大槍と東鎌尾根の最終区間

北鎌尾根を眺めつつ暫く進むと、突然目の前に山小屋が出現!
ここは「ヒュッテ大槍」で、燕山荘グループの一つだ。
槍ヶ岳の周辺に点在する3つの山小屋の一つで、このヒュッテ大槍は食事が美味しいことで知られる。
ランチメニューも充実しているので、縦走途中に是非立ち寄って見よう。

ヒュッテ大槍を過ぎれば槍ヶ岳はもう直ぐだ。
ここから先は表銀座コースの最終区間。 コースタイムにして約50分程度である。
ヒュッテ大槍付近では、槍ヶ岳へと続くルートと、下に有る殺生小屋・槍沢ルート方面へ下るルートが分岐している。
後者からでも槍ヶ岳へ行くことは可能だが、大幅に時間をロスする上に急勾配で体力を消耗してしまう。
間違っても迷い込まないようにしよう。
なにしろ、オッサンはここを初めて歩いた際、間違って下に行ってしまったからな!
最後の登り返しで死ぬかと思ったよ・・・

岩稜地帯とハイマツの共演。 これまた実に日本アルプスらしい風景だ。
目指す槍ヶ岳も手が届きそうな距離まで近づいてきた。 あと一息だ!


再び槍沢ルート方面へ繋がる分岐点が登場。
ここまで来れば大丈夫だとは思うが、ルート間違いには注意しよう。
下に見えるのは「殺生小屋(旧:殺生ヒュッテ)」だ。
槍ヶ岳周辺に有る3つの小屋の中では最も大きいテント場を備えている。
殺生ヒュッテは2026年から槍ヶ岳山荘グループの一つとなり、名前も新たに「殺生小屋」となった。
グループのブログにて積極的に情報を発信しており、登山道などの情報も満載なので是非覗いて見よう。


岩場の急斜面をひたすら登る。
地形はかなり険しいが、しっかりと梯子などが整備されているので安心だ。

景気づけとばかりに梯子場が登場!
これが恐らく東鎌尾根、そして表銀座コースにおける最後の梯子場だ。
ありがたく通過させてもらおう。


この付近から見る槍ヶ岳は実に美しい。
荒々しく威圧的でも有り、神々しくて美しくも有る。
多くの人が魅了される理由がよく分かる。 この魅力は実際に見ないと絶対に分からないだろう。
登山を趣味とする者ならば、一度は来てみて欲しい。
手間暇掛けてくるだけの価値は絶対に有る。

ふと見上げると、今までは遠くに見えていた槍ヶ岳が、何時の間にか真上に!
そう、今通過しているのは他でも無い槍ヶ岳の山腹なのだ。
遠くからは荒々しく見えた槍ヶ岳だが、下から見るともっと荒々しく見える。
恐ろしさすら感じるが、同時に神秘的で美しい。 多くの人が槍ヶ岳に惹かれる理由が分かる気がする。

最後に待ち受けるガレ場の斜面を通過すれば、ついに東鎌尾根&表銀座のゴールである。
一見すると道など無いように見えるが、ちゃんと歩ける場所が有るので安心して欲しい。
長かった旅も終わり・・・ではない!
まだ槍ヶ岳へ登頂し、さらに上高地まで下るという仕上げが残っている。 頑張れオッサン!
北アルプス有数の山小屋「槍ヶ岳山荘」

ガレ場の斜面を登り終えると、目の前に現れたのはお馴染み「槍ヶ岳山荘」である。
本館・新館・別館など、複数の棟から構成される日本最大級の山小屋だ。
例年ゴールデンウィーク頃から秋の遅い時期まで営業している。
通常、同じエリアに複数の山小屋が存在することは希で、槍ヶ岳エリアは例外の一つだ。
槍ヶ岳山荘をはじめとした3つの小屋で定員は千人ほどになると思われるが(コロナ後は減っただろうが)、それだけのキャパが必要なくらい大勢の人が訪れるエリアという事だろう。

ご覧の通り、槍ヶ岳山荘の前は登山道が交わるジャンクションになっている。
東鎌尾根、西鎌尾根、槍沢ルートに加え、新穂高温泉方面へのルートや穂高連峰への稜線ルートも分岐しており、それらを通じて行き来する登山者で常に賑わっている場所だ。
日本全国から集まった登山者がここで出合い、そしてそれぞれの目的地へ散ってゆく。
挨拶と軽い世間話を交わし、深いことは詮索せず、ただ山を楽しむ。
実に趣深い、山の上ならではの日常風景だ。
「雲上の世界における一期一会の出会いと別れ。 実に興味深いものよ。」
柄にも無く分かった風な事を呟くオッサンであった。
表銀座コース縦走・二日目を終えて
表銀座コース縦走の旅も二日目を無事に終えた。
(厳密に言うと、これからメインディッシュである槍ヶ岳へ登頂するのだが)
この区間の所要時間はおよそ6時間だった。
天気にも恵まれ、コースタイムをかなり下回る良いペースで歩けたと思う。
前半戦の「大天井ヒュッテ~ヒュッテ西岳」の区間は大きな難所は無い。
展望も良く、快適な稜線歩きが楽しめるだろう。
やはり肝となるのは後半の東鎌尾根で、連続する急登による体力の消耗がキツい。
また、切れ落ちたやせ尾根や梯子場による滑落のリスクも大きい。
核心部の難易度は大崩山の坊主尾根や大キレットなどの方が遥かに上だが、東鎌尾根が易しいという訳ではない。
体力的にも技術的にも、初心者がいきなりここを歩くのは止めた方が良いだろう。
他の場所で経験を積み、体力を鍛えてから挑んで欲しい。
今回歩いた区間は非常に長く、どこかで昼食休憩を取る必要があるだろう。
ヒュッテ西岳とヒュッテ大槍が良い感じの位置に有るので活用したい。
また、前日泊まった山小屋で昼食用の弁当を貰っておくのもオススメだ。
もちろん飲料水の確保も忘れずに!





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