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【ゲーム業界】開発現場で使用されている開発ツールとその特徴について

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ゲームの開発で使用されているツール類

ゲーム開発の現場で使用されているツールは色々有るが、私がデザイン系の業務を受け持っているということで、ここでは主にコンピューターグラフィックス(CG)系のツールに関して軽く紹介しようと思う。

この記事では「ゲーム業界に詳しく無い人」向けに概要を紹介するというコンセプトで書いている。
事情に詳しい同業者が読んでも楽しいかは分からないよ!

あくまで私個人の経験を元に記事を書いているので、他社の事情に関しては触れない。
「全然違うだろゴルァ!」という意見も有るかも知れないが、あくまで「私が知る範囲では」という前提で読んで欲しい。


デザイン系ツールの種類を大別すると、2D系、3D系、動画系、エフェクト系、ゲームエンジン系などが有り、複数の機能を併せ持ったツールも有る。

私が知る範囲においては、ゲーム開発におけるツール環境が大きく変わったのは、当時「次世代機」と呼ばれた新世代のゲーム機である「セガサターン」や「プレイステーション(初代)」など、32bit機が登場したタイミングだと思う。
ゲーム機の性能が劇的に向上した事で本格的に3DCGや動画が用いられるようになり、関連するツール類も大々的に導入されるようになったし、同時にサードパーティー向けのライブラリー類なども整備された。

16bitゲーム機時代にもなど、動画や3DCGを使用したゲームは有ったが、リアルタイム3DCGを本格的に取り入れたゲームが普及したのは、やはり32bitゲーム機が登場してからだろう。

アーケードゲーム(ゲームセンター向けのゲームの事)においては、既に一足先にMODEL2やSYSTEM22などの本格的な3DCGボードが登場していたが、当時3DCGはまだ一部の大手ゲームメーカーしか手を出していなかった時代だった。

3DCGツール自体が凄まじく高額だったし、それを動かすための機材も、これまた高額なSGI(シリコングラフィックス)系のマシン(INDYなど)しかなかった。

それに比べると遥かに安価なWindowsNTマシン上で3DCGツールが使えるようになったのも大体この時代だし、やはり32bit機の登場は大きな転換期だったと思う。

MODEL2やSYSTEM22向けに開発されたゲームには「バーチャファイター2」「デイトナUSA」「リッジレーサー」等が有る。
いずれもゲーム史に名を刻む名作ばかりだ。

16bit時代に動画や3DCGを本格的に取り入れたゲームと言えば、例えばメガドライブ系の「夢見館の物語」「シルフィード」「バーチャレーシング」、スーファミの「スターフォックス」等が有る。

バーチャレーシング用に開発されたチップ「SVP(SEGA VIRTUA PROCESSOR)」は結局他に使用されることは無かった気がする。勿体ない!


2D・動画系のツールはAdobe製品が圧倒的に強い

ゲーム制作ツール

デザインやWeb、動画などをかじったことが有る人ならば名前くらいは聞いた事が有るであろう「Adobe(アドビ)」


この手の分野では大きなシェアを持つ企業で、特にマクロメディアを買収して以降はほとんど唯一無二の企業になったような気がする。
多くのアドビ製品はデファクトスタンダートになっていると言っても過言では無いと思う。

ゲームの開発現場においてもアドビ製品の普及率は非常に高く、恐らくクリエイティブの現場においては世界一つぶしが利くツール群ではないだろうか。

就職・転職する際にアドビ製品のスキルが有ると有利、というよりも、関連スキルが無いとお話にならないと表現しても良いだろう。

デザイナーはもちろん、企画職でも画像を取り扱う事は多いので、職種を問わずPhotoShopくらいは一通り触れるようになっておこう!

「減色ツール」などの特殊な分野では他社製品を使ったりもしたが、基本的にはアドビ製品が圧倒的に普及していた。
ツールを覚えるならば先ずはAdobe製品からだ!


時代と共に淘汰が進み、一方で新ツールも台頭した3DCGツール

ゲーム制作ツール

Adobeが非常に強かった2DCGツールに比べると、3DCGツールは当時から割と群雄割拠状態だった様な気がする。

ゲーム制作の現場においては、私の知る範囲だと大手では主に「Softimage3D」や「PowerAnimator」、「3ds Max」などを、中小企業では「LightWave3D」等を使用している現場も有った様だ。
その後「XSI」や「Maya」等に世代が変わり、一部のツールが消える一方で新しいツールも色々台頭してきて今に至る。


また、アニメーター(ここではキャラクターなどの3Dモデルに動きを付ける人を指す)の仕事においては、以前は3DCGツールの中でモーションを付けていたが、やがて「MotionBuilder」等の専用ツールを使用する様になった。

消えたツールも有れば健在なツールも有り、2D系に比べると選択肢は多い様に感じる。

全体的に見ると「オートデスク(Autodesk)」系のツールが強いかな。

「Softimage3D」は権利を持っている会社が何度も変わっていた思い出。
確かマイクロソフトが持っていた時代も有った様な。


長らく市販品が無かったエフェクトツール

ゲーム制作ツール

ゲームを構成するデザイン要素には色々有って、例えばキャラクターやステージ、オープニングなどで流れる動画などが有る。

そういったデザイン要素の中に「エフェクト」という物が有るのだが、ピンとくる人は少ないかも知れない。

幾つか例を出すと、魔法を使った際に出てくる炎や雷、剣を振った際の軌跡などがそれだ。

私が思うに、他の要素と比べるとエフェクトは地味な扱いだったように感じる。

私の勤め先においては「キャラクターチーム」「インターフェースチーム」「モーションチーム」などが有り、それぞれ専属のデザイナーが居た。(中には複数の要素、例えばキャラとモーションを兼任する人も居る。)


しかし、エフェクトに関しては関連スキルを持った人は少なく、他のパートに比べるとチームの規模も小さかった。

エフェクト作成ツールという点で見ても、2Dや3Dと違ってこれといった市販品が無い状態で、それぞれ3Dツールを使って制作したり、独自の社内ツールを使用して制作していた様だ。

つまり、デファクトスタンダート的なツールが無かった訳で、各メーカーでのエフェクト制作環境はバラバラだったように思う。
転職や派遣スタイルで働くエフェクトデザイナーは結構大変だったのではないだろうか。



その後、「BISHAMON(旧BlendMagic)」等のエフェクト制作ツールや、エフェクト作成機能を内包した「Unity」などのゲームエンジン、ミドルウェア等が登場した事により、環境は大きく変化した。

現在では選択肢として複数の市販ツールが存在するので、これらを導入しているメーカーも多い様だ。
以前のようにつぶしの利かない社内ツールを一から覚える事も減ったわけで、転職する際も安心かも?

エフェクトはキャラクターとかに比べると地味な分野かもしれないが、エフェクトの善し悪し次第でゲーム全体のクオリティが大きく変わるので、とても重要な要素だ。


ミドルウェア・ゲームエンジン

Adobe製品やAutodesk製品など、直接CG・動画を制作にするツールに比べ、ミドルウェアやゲームエンジンといった分野のツールに関しては、一般的にはあまり馴染みがないかもしれない。

「ミドルウェアやゲームエンジンってなんぞや?」と言われると説明が難しいが、例えばゲームエンジンに関しては一般的には以下のように定義されている。


ゲームエンジンとは、コンピュータゲームのソフトウェアにおいて、共通して用いられる主要な処理を代行し効率化するソフトウェアの総称である。(Wikipedia「ゲームエンジン」より引用。)

ゲームエンジンは、コンピュータゲームの動作において主要な処理を行うために用いられる共通のプログラムであるが、その定義は曖昧で、API(プログラムとオペレーティングシステムやハードウェアとの仲介をする仕組み)やプログラムライブラリ(ソフトウェアの部品として提供されるプログラム群)など様々である。一般にゲームエンジンと称されるものにも多様な形態が存在するが、ミドルウェアなどが集まりより総合化されたものをゲームエンジンと呼び、汎用性のあるプログラムライブラリ単体やその集積物とは区別する傾向も見出せる。(Wikipedia「ゲームエンジン」より引用。)

・・・多分、これを読んでもサッパリ分からないかも知れない。


凄くざっくりとした説明になってしまうが、ゲームを制作する上で必要となるツールやデータ、各種機能がセットで統合されたソフトウェア群、みたいな感じだろうか。
デザイン関連だけではなく、サウンドやプログラムなど、ゲーム開発全体に関する多くの要素をカバーしているのが特徴。

ミドルウェアも割と似たような物だと思うけど、こちらは例えばサウンド用ミドルウェアなど、用途がもっと限定されているイメージで、それらを含めたもっと大掛かりな物がゲームエンジン、とでも言えば良いかな。
(説明が下手でゴメンね)


これらのツールで特に普及していて知名度が高い物としては、以下のような物が有る。


  • Unity
  • UnrealEngine
  • CRIWARE


これらのツール群はコンソール・スマホ・PCなど多彩なプラットフォームのゲームで採用されている。
採用しているゲームは起動時にそのツールのロゴを表示するのが一般的なので、一度くらいは目にしたことが有るだろう。

ゲームを起動するとタイトル画面が表示される前に、メーカーや開発チームのロゴの他に、これらのツール類のロゴも表示される。
適当に流していたあなた! 今度はじっくり見て欲しい!

上記ツール類は広く一般販売されているが、この他にも各メーカーが独自に開発して使用しているゲームエンジンやツール等も有る。
時々話題に上るので知っている人もいるかもしれない。
また、それらの一部は後に他社に有償で提供された例も有るようだ。

メーカー独自のツールとしては以下のような物が有る。

  • RE ENGINE
  • ドラゴンエンジン


これらのツール群を使用することのメリットはハッキリしている。

従来はゲーム毎に一から作る必要があった環境が最初から揃っており、しかも高機能である。
速やかにゲームの核心部の制作に取りかかることが出来るし、移植やリメイクなどをする際にも手っ取り早い。

開発期間を大幅に短縮する事が出来て、結果として開発費の圧縮が可能であり、メリットは計り知れない。
今の時代、ゲームエンジンやミドルウェア無しで開発することは考えにくいと言っても良いだろう。


社内製ツールと社外品ツールの長所・短所

私が知る範囲においては、2D・3D・動画系のツールは今も昔も市販の物が広く使用されてきたが、エフェクトツールやゲームエンジンなどに関しては、市販の物だけではなく、そのメーカーが独自に開発したツールも使用されてきた。

もちろん、どちらか一方だけというケースも有れば、分野やタイトル毎にそれらを使い分けているケースも有る。

ここでは、社内製ツールと市販ツールのメリットとデメリットを見ていこう。



社内製ツールの最大のメリットは、何と言っても自社の開発環境や開発するタイトルに特化した造りになっている事だろう。
基本的に自分たちの開発環境に都合が良い様に造られているので、使用するに当たってとても便利である。

また、そのツール自体を造っているスタッフが同じ社内に居るので、不具合の修正や機能の追加などを行って欲しい場合に話が早い。

すぐに会いに行って、膝を突き合わせながらあれこれ相談出来るわけだ。
社外ツールだったら絶対こうはいかないだろう。



一方、メリットばかりでは無くデメリットも有る。
社内ツールという事は「その会社でしか使われていない」という事だ。


これの何が問題なのかというと、社外から新しいスタッフが来た場合に一から覚えて貰う必要が有るのだ。

なにしろ門外不出のツールなので、社外の人は使いこなすスキルを持っていないのはもちろん、存在すら知らないだろう。

その対象となる人が新入社員ならばじっくり教えていけば良いのでさほど問題では無い。
しかし、開発が本格化してスタッフを増員したい様な場合、外部から招いた派遣社員や契約社員の人達に新しいツールを習得して貰うのは効率が悪すぎる。

こういう時、広く普及しているツールであれば、対応したスキルを持つ人を直ぐに戦力として増員できるので話が早い。
汎用性という点で見れば、社内ツールは市販ツールに対して非常に不利と言えるだろう。


一方、市販ツールのメリット・デメリットは社内ツールの真逆と言える。

幅広い開発環境に対応出来る反面、当然ながら自社の都合に特化した造りでは無いので、言うなれば痒いところに手が届かない事が有る。
また、多機能故に「重い」という可能性も有る。(機能が多いほどにデータ量や処理の負荷が大きくなりがち。)


何かあった場合の対応も、開発会社のサポートを通して依頼を出す訳なので手間暇が掛かる点も不利だ。

余程の大口顧客なら対応も早いかも知れないが、それでも時間は掛かるだろう。

ただ、それらを補ってあまり有る程のメリットも存在する。

前述の様に市販されているツールは、それを扱うスキルを持った人もたくさん存在するわけで、スタッフを増員したい場合にとても話が早い。
また、解説書やWeb上の情報・フォーラムなども色々存在しているので、技術情報などを調べる際にも便利だ。
閉ざされた社内ツールだと当然ながら関連情報も非常に少なく、習得やトラブル対応に苦労してしまう。



この様に、社内製ツールと市販ツールでは明確な長所と短所が存在するので、一概にはどちらが良いとは言えない。
多くのメーカーがそうしているように、今後も状況に応じて使い分けていくと思われる。

なお、社内製ツールと市販ツールのどちらを使う方が安くつくかは判断が難しいと思う。
前者は専属スタッフを抱えるという意味で人件費がかかるし、後者は当然ながらライセンス料が発生してしまう。
これに関しても一長一短で、状況次第といった所だろうか。

外部から派遣社員などを招く場合、社内ツールを使用して貰う前提だと敬遠される事が多かった。
一からツールを覚える必要が有るし、覚えても他では使えないスキルなのでつぶしが利かないからだ。

職場を選べる立場にある人にとって、「給与などの待遇」「会社の立地」と同じくらいに重要と言えるかも知れない。


ゲーム開発で使用されているツールのまとめ

この様に、ゲームの開発現場で使用されているツールには販売形態や作成する物の種類などに応じて様々な物が存在する。
ゲームを取り巻く環境の変化に伴い、ツール類もまた変化しており、新たなツールが台頭する一方で消えたツールも有る。


学生の立場からすると、どのツールを習得しておくべきかは悩む所かも知れないが、ひとまずAdobeやAutodeskなどの有名どころの物だったら間違いは無いだろう。

また、ツールのスキルだけでは無く、デザインやプログラムその物に関する基本的なスキル、言うなれば基礎力を鍛えておけば、仮にツールが変わったとしても対応しやすい。
なので、あまり特定のツールに拘りすぎなくても良いと思う。


これらの各種ツール類には学生が安価に購入できるアカデミック版や体験版も有るので是非とも触ってみよう。
条件によっては無償利用できる物も有るので、学生のうちから慣れておき、インディーゲームの一つでも造っておけば、就職活動において大きなアピールポイントになるだろう!


もし私が採用担当者だった場合、「インディーゲームを造ってSteamで販売し、○本売り上げました!」みたいな学生が来たら、とりあえず面接までは通しちゃうな!


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